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    vermmon

    @vermmon

    @vermmon 成人済/最近シェパセ沼にはまった。助けて。

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    シェパセが付き合うようになるまでのなれそめその1の序盤だけ。パセさんの内心は妄想だけど、セリフの端々からにじみ出る苦しみをシェーシャくんは解ってくれると信じてる。

    #シェパセ

    傷と誘惑1 シェーシャがパッセンジャーと最初に二人きりで話したのは、パッセンジャーがロドスに来て数日後のことだ。彼は技術部のエンジニアとして配属された。新人の案内という余計な仕事は彼をロドスに連れてきたシェーシャに押し付けられたのだが、その途中、彼はそっとシェーシャに囁いた。
    「『あの話』は、まだ有効ですよ」
    「……ッ」
     密かに息を呑む。
     ついに──と思った。サルゴンでの任務を終えてロドスに帰還するまで時間はあったが、他の人間がいたせいで詳しい『話』をすることはできなかった。シェーシャとしては、正直心待ちにしていた申し出だ。
    「今夜でどうだ?」
     動揺を抑えて囁き返すと、パッセンジャーはその美貌に張り付けた微笑みを僅かに深くした。
    「いつなりと、君の都合の良い時間でよろしいですよ。正直、暇を持て余しているので」
     闇市の主という立場がどれほど忙しいかは想像もつかなかったが、確か彼は沁礁闇市の全ての取引を把握していると豪語していた。それだけの量の仕事が突然無くなったのだ。手持ち無沙汰になるのも当然といえば当然だろう。
    「俺の件はいい暇つぶしになるってか?」
    「それは内容次第ですね」
     楽しみにしています、と呟いて、パッセンジャーは今の会話などなかったように振る舞い始めた。シェーシャも真剣に(後の事故につながってはいけないので、普通の話し方で)機材の説明をする作業に戻ったが、高揚を面に出さないよう必死だった。
     サルゴンの闇市に潜んで数年。わかった事と言えば、クルビアはまだ兄の技術を再現できていないか、少なくともテスト段階には至っていないらしいということくらいだった。アーツが苦手な者でも仕える銃――少なくとも武器──そんなものが実用化されれば、クルビアはサルゴンにそれを流すはずだった。他国民の血で、武器の性能をテストするために。
     だが、シェーシャは自分が改造した武器以外で、それらの品が流通しているという情報を手にすることはできなかった。
    「──そういった武器が取引されたという話は、私も耳にしたことはありません。沁礁闇市での取引記録はありませんし、単なる情報としても。もちろん、“ブリッジ”が改造した武器以外で、という意味ですが」
    「…………そうか」
     安堵したシェーシャは、止めていた呼吸を吐き出した。
     消灯時間の後、パッセンジャーは密かにシェーシャの部屋を訪ねてきた。こういった隠密行動には慣れっこという顔で――彼は非常に目立つ容姿をしているし、ロドスに来て数日しか経っていないはずなのだが、二十年以上闇市で過ごしてきた経験の為せる技かもしれない。
     彼は優れた聞き手となってシェーシャからあらかた話を聞き出すと、サルゴン式の甘い紅茶を口にしてかすかに眉をひそめた。
    「……私も、クルビアへは何度も腕利きの密偵を送り込んでいます。しかし、わかったのは軍部の隠蔽工作が巧みであるという証明ばかりでした。それをふまえた上で、私の推測をいくつかお話します」
     彼の語った推測は、あるものはシェーシャの疑念を裏付けるものであり、あるものは全く思いもよらない可能性を示すものだった。結局の所、黒幕はいまだ不明――クルビアの軍部にいる何者かであろうという推測だけ。
    「さて、私から一つ質問させてください――」
    「……っ」
     失望を隠せずにいたシェーシャにも、相手の口調の変化には気づいた。これでも長年闇市にいたのだ。鈍感であることは、殆どの場合危機に直結している。長閑なロドスで過ごしたことで多少勘が鈍りはしたが、染み付いた習性は簡単に消えはしない。
     数日前までは闇市の主サンドソルジャーであり、いまはパッセンジャーと名乗る男は、瞳の奥に赤々と燃える火を灯し、シェーシャを見つめた。
    「君は、真実を知りたいと仰いましたが……本当にそれだけで満足なのですか?」
     同性とは思えない麗貌に浮かぶ非人間的な微笑に気圧されて、急に口の中が乾いて舌がもつれた。
    「ど、ういう……意味だ」
    「君のお兄さんは事故死したのはではなく、殺されたというのが真相だったとして……君は、犯人に正当な裁きが下ると思っていますか?」
    「それ、は……」
    「直接手を下した者は、裁かれるかもしれません。ですが、それを命じた者はどうでしょう?」
     シェーシャは、男の中でパチパチと弾ける憎悪の音を聞いた。
     角度によっては燃え尽きた灰の色に見える瞳は、実は燃え滓の色ではなく、熾火を宿す炭の色なのだと思った。とうの昔に冷めきったように見えても、その奥には消えぬ怒りの炎を隠している。
    「何が言いたい……」
    「任務で人を殺すのは良くても、私怨で殺すのは嫌なのですか?」
    「それじゃ、ただの人殺しだ……俺は……」
    「決して裁かれぬ罪人に報いを与えるには、自らの手を汚す覚悟が必要です。憎しみで人を殺すことで魂が汚れるのだとしても……それを忌避するなら、そもそも復讐など志すべきではないでしょう?」
     虚ろに響く声には、失望が含まれていた。同類だと思ったのに、とんだ意気地なしだ――かすかな無念が伝わってくる。
     今の自分に、相手を言い負かせるだけの信念があるわけではなかった。
     兄の仇を取りたいだけなら、それこそ目の前の男がしたように、少しでもその死に関わったものを一人残らず殺して回るべきだ。
     自分はそんなことをしたいわけではない。人々が簡単に戦争を始められる武器が世界に広まることを止めたいだけ――だが、是が非でも遂げたい願いだと主張するには、自分が行ってきたことはあまりに生ぬるい。
     仇は憎い。だが、私怨で人を殺すのは間違っている──ならば、黒幕を殺す正当な理由が伴えば、自分は引き金を引くのか?
     シェーシャは長年その問いを持て余してきた。今も答えは出ない。兄の死に関しる真実がわからないのだから決めようもないと、逃げ続けている。
     反論の言葉はなく、燃える瞳から目を反らさないでいるだけで精一杯だった。
    「ふっ……」
     だが、それで良かったのかもしれない。パッセンジャーは小さく笑みを漏らし、シェーシャを解放した。
    「情報も足りないことですし、今日はここまでといたしましょう。何か新しい情報が入り次第、ご報告いたします」
    「……ッ、そ、うか……まあ、頼むわ」
    「おやすみなさい、シェーシャくん。よい夢を」
     精一杯の強がりを返したシェーシャの耳元で皮肉に満ちた挨拶を囁いて、パッセンジャーは音もなく身を翻す。
     その姿がドアの向こうに消えても、シェーシャはまだ動けなかった。


     後日、パッセンジャーはドクターに釘を刺されたと告げてきた。ロドスは自社のオペレーターであるシェーシャがクルビアと全面的に対立し、それに巻き込まれることを恐れたのだろう。当然の話だ。そんなことは、ロドスに身を寄せた時からわかりきっていた。そもそも、任務でサンドソルジャーと出会うまで、自分は復讐を半ば諦めていたのだから。
     二人の取引は、ひとまず表向きはお預けとなったが、シェーシャはなんとなくほっとしていた。
     血みどろの暗闇へ同朋を差し招くパッセンジャーの指先が、とても恐ろしく感じたからだ。
     得体のしれない、危険な男だ。
     恐怖を敵愾心に変え、シェーシャは彼を「気に入らない相手」のカテゴリに入れた。お互いエンジニアなので職場は同じだが、接触を最低限にすることはできる。
     パッセンジャーもドクターの言いつけを守っているのか、ことさらシェーシャにちょっかいをかけることはなく、それなりの時間が過ぎていった。

       ×××

    「あれ? 端末がねぇな……」
     シェーシャが忘れ物に気づいたのは消灯後のことだった。通信用の携帯端末がどこを探しても見つからない。
    「……多分、作業場だな」
     最後に触れた場所を思い出し、ため息をつく。別に明日回収してもいいのだが、それでは緊急通信が会った場合に対応できない。同じ艦内ではあるのだし、取りに行くのは難しくなかった。
     シェーシャは自室を出ると、誘導灯だけがついている廊下を進む。宿舎エリアは静まり返っていたが、個人の専用ラボの立ち並ぶエリアはまだ眠りについていなかった。ラボのいくつかはまだ明かりがついて、凝り性のエンジニアたちは徹夜の構えなのだろう。
     コツコツと踵を鳴らしていくつものドアを通り過ぎれば、共有の作業場に辿り着く。
     入り口にIDをかざすと、ドアが開いた。中の照明は落ちていたが、資料や機材が山積みになったデスクの奥に明かりが見える。デスクライトが一つ灯っているのだ。
    「誰かいんのか……?」
     専用ラボを持っていなくても、エンジニアたちが時間を忘れて己が作業に没頭するのは珍しい事ではなく、毎日誰かしらが残っているのは当たり前のことではあった。だが、明かりの位置からして、およそ自発的な残業とは縁遠いはずの相手だ。
    (パッセンジャーかよ……)
     内心で舌打ちする。シェーシャのデスクはさらにその奥だ。パッセンジャーがいるなら、顔を合わせないわけにはいかないだろう。あれ以来、二人きりにならないようにしてきたというのに。
     無駄な努力と知りつつ長身を屈め、足音を忍ばせて近づくと、苦しげな息遣いとかすかなうめき声に気づいた。
    「マジか」
     いくら気に食わない相手でも、流石に見過ごすことはできなかった。パッセンジャーは鉱石病患者だ。発作でも起こしているのなら、即座に医療オペレーターを呼ばなくてはならない。
    「おい、大丈夫――か……」
     背筋を伸ばして覗き込む。パッセンジャーは、椅子に座ったままうなだれていた。いかにも書き物の途中で眠ってしまったかのように、デスクに伸ばされた手のそばにペンが転がっている。
     新型兵器の設計図は、ぐしゃぐしゃに塗りつぶされていた。確か、彼が今日一日かかりきりになっていたものではなかっただろうか。進捗は芳しくないようだったが、執拗に塗りつぶされた図面は、うまくいかない苛立ちよりも、存在そのものへの嫌悪の情を感じさせる。
     彼は嫋やかな美貌を歪ませ、額にじっとりと汗をかいていた。シェーシャが再び声を掛けようとした瞬間、形の良い唇から恐怖と悲痛に満ちた呻きが絞り出される。
    「せん、せい…ソーン先生…っ……私は…っ……」
    「……ソーン?」
     シェーシャの視線が、デスクに置かれたドローンに向かう。自分の作品に一切の執着を見せないパッセンジャーが、唯一名付けたその機械の名が「ソーン」ではなかったか。
     彼の左手首のサーベイランスマシンは体調の急激な悪化を示してはおらず、シェーシャは大きく溜息をついた。どうやら悪夢を見ているだけのようだ。
    (ったく……人騒がせな奴だぜ)
     再び足音を殺して、そっと部屋を出る。パッセンジャーを起こすつもりはなかった。日頃あれだけ済ました顔で過ごしているのだから、うなされている姿など誰にも見られたくはなかったはずだ。自分がそうだからよくわかる。あれは、誰も見てはいけないものだった。
     閉じたドアに背中をもたれる。深く深く息を吐いても、胸の中の重苦しい気分は消えなかった。
     サンドソルジャーの復讐は終わったのではなかったのか。彼は人生の目的がなくなったので、それを探しにロドスへ来たとか言っていたし、こちらの復讐に関わろうとしたのは暇つぶしのためだと思っていた。
     それなのに──
    「クッソ…見たくもねぇモン見ちまった……ふざけんな、畜生」
     紅の髪をぐしゃぐしゃとかき回して毒ついても後の祭りだ。
     パッセンジャーのことを、何を考えているかわからない薄気味悪い男、危険な相手だと思っていられたなら良かった。だが、違うのだ。もうすっかり心は空っぽになってしまったのだという顔をして、その実、彼の魂はいまだ暗闇に迷い、苦しんでいる。シェーシャを同じ場所へと誘いながら、妖しい微笑の裏では傷を負った心がまだ死にきれずにいる。
     そんなことは知りたくなかった。たとえ境遇が似ていても、自分とはまったく違う類の人種だと突き放していられたら良かったのに。
     もう一度溜息を吐いてなんとか気持ちを切り替え、自室に戻ろうときびすを返した瞬間、そもそもここにやってきた目的を思い出す。
     まだ携帯端末を置きっぱなしのままだ。
    「チッ……しゃあねぇか」
     シェーシャは腹を括り、再びドアを開けた。今度はわざと大きな足音を立てて部屋に踏み入る。
    「おい! 誰かいんのか?」
     声をかけると、がたっと音がした。狙い通りパッセンジャーが目を覚ましたようだ。シェーシャは踵を鳴らして大股に歩み寄り、普段相手を目にした時のように少し顔を歪めてみせる。
    「あんたか──てか、まだいたのかよ。とっくに消灯時間だってのに、珍しく仕事熱心じゃねぇか」
     片手で顔を覆って俯いていたパッセンジャーは青ざめた顔を上げ、こちらをじっと見つめた。
    「なんだよ」
     シェーシャはじろじろ見られて不愉快だという顔をして見せたが、相手は呆れたような顔で決めつけた。
    「君は完璧な演技をするくせに、嘘は下手なのですね」
    「何の話だ?」
    「フッ」
     我ながら声も表情もタイミングも完璧だったはずだが、その偽装をパッセンジャーは鼻で笑った。
    「シェーシャくん、気を使わなくていいんですよ。眠っていても、誰かが近くに来るとわかるんです。サルゴンで生き延びるためには必要なスキルでしたからね」
     そう言うと、彼は表情を消す。
    「私は、何か寝言を言っていましたか?」
     よほど「スキル」とやらに自信があるのか、それともはったりなのか──駆け引きが面倒くさくなったシェーシャは、素直に答えることにした。
    「──『ソーン先生』って言ってたぜ」
    「そうですか……」
     パッセンジャーはそれきり、同僚の存在を忘れたように、虚無の眼差しを部屋の暗がりに向けた。その態度が気に食わず、シェーシャは作り物のように整った横顔を睨みつける。知らんぷりをしてやった気遣いを無視してここまで言わされたからには、質問の権利くらいあるだろう。
    「『ソーン』って、それの名前だろ。てめぇの作ったモンを浪費することに躊躇いのないあんたが、唯一大事にしてるドローンだ」
    「そうですよ」
     パッセンジャーは素直に認めた。
    「そして、この源石技術を研究していた、私の恩師の名でもあります。彼はサルゴンで、殺されました……」
    「あんたの復讐は、その先生のためのものだったのか?」
    「ええ。そのとおりです……」
     質問に一つ答えるたびに、男の声はますます陰鬱に、虚ろになっていく。シェーシャは舌打ちしたい気分を抑えた。なぜ自分がこんなに苛立っているのかわからない。
    「あんたの先生は、弟子が復讐を遂げて喜んでるんじゃないのか?」
     ──だのに、なんだってあんたはそんな顔してるんだよ。
     半ば慰めか励ましのつもりで掛けた言葉だったが、パッセンジャーは黙り込んだ。瞳からは光が失われ、彼が見つめる暗闇そのものになってしまったようだった。
     重い苦しい沈黙に耐えかねたシェーシャが口を開こうとしたとき、風に吹かれる砂のような、かすかな囁きが聞こえた。

     先生は、決して、私をお許しにならないでしょう──

     どういう意味だと問いかける前に、パッセンジャーは唐突にいつもの調子を取り戻し、手袋に包まれた指でシェーシャのデスクを示した。
    「どうぞ。君の忘れ物ならあちらですよ」
     彼はそう言って立ち上がり、自ら反故にした設計図を丁寧に引き裂いてシュレッダーにかけ始める。その背中は、これ以上の質問を頑なに拒絶していた。どうやら何がしかの地雷を踏んだらしい。
     シェーシャは彼の背後をすり抜けて携帯端末を掴むと、ポケットに押し込んでさっさと退散した。足早に通路を戻りながら、あの男がそのまま首でも括るんじゃないかという考えを必死に振り払う。
     ──くそっ、あいつがそんなタマか。心配してどうする。
     何度自分に言い聞かせても、翌朝パッセンジャーの縊死体が発見される妄想を振り払うことができない。それというのも、かつてサルゴンで知人があんな目をしているのを見たからだ。その知人は数日後、自宅で首を吊っているのが発見された。元より大して交流のあった相手ではない。だか、苦しみに気づいていたのに何もしてやれなかったことは悔やんでいる。
     だが、今すぐ駆け戻ったところで、パッセンジャーは奇妙な顔をするだけだろう。あれはそれほどやわな男ではない──そのはずだ。
     もやもやした嫌な気分のまま就寝したせいか、その夜はひどく夢見が悪かった。
     内容は、いつも見る悪夢の一つだ。顔の見えない黒幕に銃口を突きつけている自分。扉の外では、世界中の誰もかれもが銃を持って殺し合っている。
     黒幕が笑う――何もかも遅いと。この事態をもたらしたのはお前たち兄弟なのだと。
     怒りに頭が沸騰する。なのに、引き金にかけた指はぴくりとも動かない。躊躇いの理由は倫理感か、それとも単に臆病さゆえか──嘲笑う声。やがて自分は嘲笑を止めるためだけに引き金を引き――いつもそこで夢は終わる。
    「あの野郎のせいだ……」
     汗まみれで目を覚ましたシェーシャは、力なく呟いた。


     案の定、パッセンジャーは翌朝、涼しい顔で出勤してきた。彼の見せた暗闇につられて一晩中悪夢にうなされたシェーシャが憎らしく思うほど、いつもどおりの態度で。
     シェ―シェは昨日の事を誰にも話さなかったし、パッセンジャーも何も言わなかった。だが、相手の態度には確実に変化があった。シェーシャとて、裏社会でそれなりの時間を過ごしている。言葉や声音、表情には敏感なほうだ。元闇市の顔役が、シェーシャへの評価に(「煮えきらない臆病者」以外に)何かしらの修正を加えたのは間違いない。
     シェーシャ自身もまた、自分の対応に変化が起きていることを自覚せざるを得なかった。普段通りに過ごす男の振る舞いは、かえって隠された傷の深さを物語っているような気がしたからだ。
     寝言で恩師の名を呟いただけだったなら、パッセンジャーがあえて弱みをさらし、彼を拒絶するシェーシャを心理的に惹き付けようとしているのではないかと疑っただろう。だが、彼が漏らした「自分が亡き師に許されることはない」という苦しみは本物だった。
     それだけの苦悩を抱えた相手を邪険にできるほど、シェーシャは冷淡ではない。
     結果として、シェーシャはパッセンジャーを避けなくなったどころか、そのふるまいを気に掛けるようにさえなっていた。
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