ふしぎなのかかん14バンはキングを連れ戻しに旅立って行った。見送ったエレインは少し寂しくはなったけれど、心配はなかった。ずっと希望薄く兄を待ち続けてきた数百年だったけれど、今は違う。信じて待つことができる。
魔人も一緒だし、テレビもある。
エレインは相変わらず懲りない人間の相手をしつつ、魔人とおしゃべりしたりテレビを観たりしてバンと兄を待った。
「バンもてれびにうつらないかしら」
そんなふうに考えながら待つ時間は、今までの待ち時間と全く違うものだった。
一月経ち、二月経った。
兄が森を出た時は、たったその程度の時間に経過さえ苦痛で孤独に感じた。今だって早く帰ってこないかな、と思ってしまうのは致し方ない。けれども再会の楽しみを考えると待つ時間もそう悪くはない、そんなふうにも考えられるようになった。
そして三月過ぎる頃、約束通りバンは兄を伴って戻ってきたのだ。