生まれ変わってもいつかまた。昔、ある国の話。アーサーという美形のヴァンパイアがいた。余りの美しさに、アーサーが住んでいた町の女達は自らアーサーに己の血を与えていた。
その事が深刻化し、困った町の住民達はアーサーに一人の人間を生贄として捧げた。その人間の名前は菊。菊は男性なのだが、女の服を着せたれた。その姿はどう見ても女にしか見えなかった。そして、菊は不治の病を患っていた。そう、菊は厄介払いの存在だったのだ。
菊は、精神的にも肉体的にも重い足取りで、アーサーの居る所に向かった。
「へえ、お前が菊か」
振り返ると、アーサーがいた。菊はアーサーの美しい容姿に見惚れてしまった。白い肌、ブロンドの髪、エメラルドの瞳、そしてそれらを引き出させる特徴的な眉毛。女性が彼に血を差し出すことも仕方ない容姿だ。
2007