ダイヤモンドの一途①「じゃあ、私と結婚してくれる?」
「——えっ⁉︎」
環(わ)をえがく。
いくつもいくつも、正面から、横から、斜め上から、それぞれの方向から見た環を描く。
とっておきの白い紙に描いたそれらには、少しずつ違った意匠が施されている。
「どんな方たちなのかしら……」
ペンを走らせる手をふと止めて、レティシアは呟いた。
「指環……ですか? 私に?」
「はい」
視察及び監察の名目で、レイモンド程の頻度ではないが、マリエルも定期的にアスター四号星に訪れている。技術力の進展、国々の均衡といった星の様子をきちんきちんと調査して——この星の仲間との時間も、同じだけきちんと確保していた。
旅から帰ってきてからこちら、立場と仕事の両面の理由で、城からあまり離れられずにいるレティシアにとって、友の訪いは何よりの楽しみだった。
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