メイド服着る燐ひめ「いらっしゃいませご主人様〜」
そう言いながらにっこりと笑みを浮かべてこちらを見つめてくるのは天城燐音その人で。俺は反射的に「うわ……」と声を上げた。
「どうよ?これ。燐音くんってばメイド服も似合うだろ?」
「頭わいてるんですか?」
180超えの大男にメイド服なんて似合うはずもないだろう。しかも、メイクも何もせずただメイド服を着ただけなのだから尚更だ。
「え〜?メルメル冷たすぎねェ?せっかく買い取ってきたのによォ」
「……買い取ってきた?」
一体どこで?そんな疑問を込めて天城を見つめ返すと、彼は「撮影だよ」と答えた。
「この間収録があったバラエティ番組の罰ゲームが女装だったんだよなァ。で、その時に着たやつを買い取ってきた」
「馬鹿なんですか?」
ギャンブルと酒で常に財布はすっからかんなくせに、なぜこうも余計なものを買いたがるのか。呆れて言葉も出てこない。
愚かな我らがリーダーをじとりと睨みつけていると、天城はふっと笑みを浮かべた。そして、突如として立ち上がると俺との距離を詰めてくる。
「せっかくだからメイドの燐音くんがご奉仕してやるよ♡」