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    oio_oi3

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    ⚠️なんでも許せる方向け
    ☑︎平和世界線
    ☑︎先天性女体化夫婦曦澄♀
    ☑︎捏造子有

    #曦澄
    #先天性女体化
    congenitalFeminization
    #先天性女体化曦澄
    #江澄
    lakeshore
    #女体化
    feminization

    I was born (血は水よりも、或いは:婚前おじおばばか双傑)「阿凌」
     腕の中の幼子はあたたかくずっしりと重い。小さな手足を丸めて眠り込んでいるのを見ていると自然と口が笑む。
    「江澄は叔母馬鹿だな」
    「魏無羨!お前だって姑蘇から飛んで来たくせに言えた口か⁈自分のそのにやけた顔を鏡で見てこい」
     意地の悪い笑みを浮かべる兄に考えるよりも先に憎まれ口を叩いてしまうが少しも気分を害した様子はない。
    「俺だって叔父馬鹿だな。こんなに可愛い子はどこを探したっていない」
    「そうだな」
     今度は素直に頷けた。
    「でも同じくらい可愛い子はいるだろうな」
     笑んだ口から放たれたその言葉は江澄の導火線に火を付けた。
    「阿凌が世界で一番可愛い!同じくらいなんているわけない!」
    「おまっ、どんだけ叔母馬鹿なんだ⁈それこそお前ほどの叔母馬鹿こそ世界を探したっていないよ」
     魏無羨は笑いながら腹を抱えて転げ回って涙を流す。三毒で叩き斬ってやりたかったが抱えた金凌が江澄の校服を幼子特有の頑是ない強さで掴んでいるので体を動かすことが出来なかった。笑い過ぎてまだ息が整っていない魏無羨は深く呼吸をしてから真面目な顔をして言う。
    「お前の子だよ、江澄。お前の子なら阿凌と同じくらい可愛いさ」
     子供の頃からふざけあっていた奴に面と向かって言われると胸に込み上げるものがある。
    「俺に子供は産めないが姉妹の産んだ子ならいくらでも愛せる」
     金凌を心底愛おしそうな目で見詰めながら言う。その言葉に嘘偽りなどない。
    「なんせ夫から沢山の愛を貰ってるからな」
     片目を瞑って戯けてみせる。
    「阿苑はお前の子だろう」
     兄は子を拾った。その子を慈しんでいるのを知っている。揶揄って遊んだりしているようだが金凌より月齢が上で歩き回れる幼子に足に抱きつかれ江澄が固まってしまった時に子を宥めた様子はまるでそこらにいる本物の親のようだった。
    「面倒は見てるけど阿苑は俺の子じゃない。あの子には産みの親がちゃんといるんだから」
     少し寂しそうな顔をする。
    「だがお前は藍忘機と共に育ての親になる選択も出来るだろう」
     兄は目を見開き驚いている。
    「魏無羨、お前と藍忘機は腹立たしくはあるが天も認めた道侶だ。お互いに深く相手を愛し愛されている。血が繋がっていない、産んだわけでもない子だってその愛情で育てることが出来るだろう」
     嫁いだ兄のことに口を出すのは野暮だと思ったが言わずにはいられなかった。
     藍忘機がどんな目で魏無羨と阿苑を見ているか、魏無羨が阿苑と呼ぶその時どんな目で子を見て抱き上げ夫と甘やかに視線を交わすか知っているからこそ後押しをしたくなった。
    「差し出がましくすまない。何が言いたいかというと、その、まあ、阿苑が阿凌の良い兄になるだろうということだ。阿凌にとっても歳の近い遊び相手が出来るのは好ましい」
     自分の目線がつい腕の中の阿凌に泳いでしまっていたが彼が笑っているのには気配で気付いた。睨み付けてやろうと視線をあげると兄の目が潤んでいたので口をつぐむ。
    「ありがとうな、江澄」
    「まあ、私の子といっても相手がな……気長に待ってくれ。阿凌達と歳が近い方が好ましいがこればかりはどうにも」
     江澄はこのところ見合いに惨敗していた。雲夢江氏の跡取りであるのだから結婚して子を成さねばならない。だから相手を探しているのに上手く行かない。
    「こんな性格のひね曲がった女のところに誰も婿に来ないな。可愛げがない。慎ましさもない。愛も…」
    「そんなことない。だって腕の中で寝落ちるほど阿凌が懐いてるんだから!それにあの江おじさんと虞夫人の娘なんだからどうしようもなくラブラブな夫婦になるって」
     魏無羨のその言葉に江澄はげんなりした。金鱗台に遊びに来ている理由の5割である。もう5割は可愛い甥に会う為だが。
    「あの二人は本当に……。なあ、魏無羨。父上と母上は今は同じ屋根の下にいるんだ。なんなら夜狩の時以外は父上の手母上の腰に回っている」
     兄は今度こそ死ぬんじゃないのかというぐらい笑い転げた。ひきつけを起こしそうな程笑う彼を見て雲夢のおしどり夫婦から程遠い雲深不知処に住む兄が羨ましく憎くなった。
    「おま、…おまえ、二人のラブラブっぷりに心底辟易してますって顔してるぞ。俺と藍湛が付き合ってるって言った時の顔にイチャついてるのを見られた時の顔を足して二で割らなかったみたいな顔だ」
     笑い足りないようでまた床を叩きながら涙を流している。ここで兄を笑い死にさせたら自分はきっと藍忘機に乱葬崗に突き落とされるんだろうなと思った。
    「笑い事じゃないんだぞ。家庭内別居が改善されたと思ったらこっちにお構いなしに付き合いたての初心な恋人同士のように人目も憚らずイチャイチャと……」
     思い出して苛々してきた江澄に兄は静かに言う。
    「でも、嬉しいだろう」
     兄は江澄と共に不仲な夫妻を見て育った。嫌い合っているようには見えないのにどこか噛み合わずに顔を合わせては口喧嘩になって虞紫鳶は怒って部屋を出ていき江楓眠は諦めたように溜息を吐く。
     彼らの諍いの理由の大部分を占めていた江澄と魏無羨は、間を取り持つのが得意な孟瑶が近習として江家にやってくるまでずっと二人で涙を堪えていたのだ。
     夫妻が仲睦まじいことは子として気恥ずかしさを覚えるのは事実だが嬉しいのもまた事実だった。
    「憧れてる。愛し合う関係に」
     江澄はこれだけ騒いでも腕の中ですうすうと規則正しく可愛らしい寝息をたてる金凌の幼子らしく丸い頬を撫でる。姉の江厭離と義兄の金子軒の愛が形をとった甥の金如蘭。光り輝いて見える。
    「姉上には許嫁がいて紆余曲折あったが今は一心に愛されて幸せそうだ。魏無羨、お前には違えようの無い運命がいて楽しく暮らしている。父上と母上も行き違いはあれど愛し合っていたし今となってはおしどり夫婦だ」
     江澄は化粧っけの全くない、白粉も付けない顔を皮肉げに歪め紅も付けない唇で言う。
    「俺には何もない」
     威厳のある雲夢江氏の校服を見下ろす。江厭離は同じ年頃の時には紫を基調とした絹の衣に身を包み髪を複雑に結っていた。装いに年相応に気を遣っていた娘時代の姉とはとは似ても似付かぬ無愛想で年の頃に合わぬ無骨な格好の江澄は溜息を吐く。
    「だが、生まれた時からの婚約者や何度生まれ変わっても結ばれそうな運命の相手や見合いといえども元から相思相愛じゃなくてもいい。そんな、無いものを求めても仕方ない」
     魏無羨は得意の口八丁手八丁で彼女を元気づけてやろうと動きかけた口を少しの間噤んでいることにした。
    「見合いの席で全く恋愛感情なんてない相手の顔を見る。別に絶世の美青年じゃなくてもいい。話す時にどんなふうに眉が動くかとか、視線の運び、唇の動きを見て好きになるんだ。話す内容が興味のないことでも夫になる人のことなのだからしっかりと聞いて好きなことを知っていく。声だって話す調子や声色を好きになるかもしれない。その積み重ねでいい。段々と好きを積み重ねていけば時間が流れていくうちに愛になるだろう?許嫁じゃなくても運命じゃなくても相思相愛じゃなくてもいい。そういうことにしたんだ。段々と愛を育む。そうする。」
     兄や姉の道は平坦ではなかった。それでも成就した大恋愛。母と父のような市井で評判になるようなすれ違った末に愛に気付くめくるめく恋物語。そんな大層なものでなくていい。好きを重ねた時を愛にしていけばいい。
     それが江澄の求めるものだった。
    「いいな。それ。応援する」
     兄がまじめくさった態度をとるとむず痒い。
     話題を変えたくなって、そうやって人の気分転換をするのが上手い者の不在に気付く。恋といえば、もう一人、既婚者の家族が足りない。金鱗台に上った後も彼を江家の誰もが家族だと思っていた。
    「そういえば孟瑶がいないな」
     江澄の問いに魏無羨は苦虫を噛み潰したような顔をする。「沢蕪君のところだ」
     たくぶくん…と呟きながら彼を思い出してみる。座学時代、物静かで泰然としていながらも武芸に秀で人々に慕われている様は次期宗主として尊敬していた。
     それに憧れのようなもの……淡い、恋心のようなものもあった。といっても御伽噺に出てくる公子のように完全無欠な藍曦臣。誰の目にも魅力的にうつったようで他の女修士達が黄色い声をあげているのと自分が同じに感じ嫌気が差し一瞬でその恋のようなものは終わった。
     反対に孟瑶は己を対等に扱う藍曦臣の真摯で潔白な様に感銘を受けた様子でとても慕っていた。彼ら二人の話に入ったこともあるし江澄と孟瑶が話していると藍曦臣が入ってきたこともある。藍曦臣との出来事を孟瑶が話してくることもよくあった。それを聞きながら遠い雲の上の人を、完全無欠の公子をきらきらとした夢物語に閉じ込めたのは記憶に遠くない。
    「沢蕪君がどうかしたのか」
     全く親しくはない。しかし金光瑶が兄弟のような江澄と魏無羨が金鱗台に揃うのにわざわざ雲深不知処に行くのはただことではないだろう。魏無羨は歯に何か挟まったように少しの間口を閉じていたがやがて渋々と話し始めた。
    「どうかしたのは沢蕪君じゃない。父の青蘅君だ。病を得て体調はずっと芳しくなかったんだがいよいよらしい。藍湛も気が沈んでる。本当は蓮花塢で蓮の実をとって藍湛に食べさせてやろうと思ったんだ。ひどく辛そうだから。でもやっぱりひどいことだけどその隣にいると気が滅入ってさ。金鱗台に江澄もいるっていうし阿凌の顔も見たかったし来た」
     きた、と簡単に言える程の距離ではない。随便はよく働くなと少し気の毒になったがそんな無茶をするほど兄もまた気が沈んでいたのだろう。
    「献身的な夫を持って藍忘機は幸せだな」
    「俺もそう思う」
     兄は普段と変わらぬ人好きのする笑みを浮かべた。
    「だから俺はもう行かないと」
     金凌のでんでん太鼓で名残惜しそうに手遊びしながら兄は言う。
    「ならこっちは思う存分阿凌と遊んでおく。自分の番はまだまだ遠いしな」
     このまま蓮花塢に帰っては縁組みよりも見合う相手がいなくなるのが早そうな見合いについて頭を悩ませ両親の仲睦まじさにあてられてげんなりすることになるのだからもう少しいようと江澄は思った。
     恋はまだ遠くていい。
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