たまには自分が ぱち。と目を覚ます
いつもならもう少し寝ていてもいい時間だがせっかくいつもより早く起きたのだからとそのままキッチンへと向かった。
「…いつもならティファリアが作ってくれるが、今日は自分も休みではあるしせっかくだし作ってみるか。いつもの礼に」
腕をまくると早速調理に取り掛かる。――といっても、簡単なものではあるが。サラダを水で洗い食べやすい大きさにちぎり、ベーコンを焼き、溶いた卵でスクランブルエッグを。半分に切り、トーストで焼き目を付けたパンの間に挟みサンドイッチに。
「あとは――」
残っていて、使っていいと言われていたトマト缶と薄く切った玉ねぎを鍋に入れ、コンソメ、塩、胡椒で味付け。コンソメトマトスープが出来るまでグツグツと煮込んでいると――。
「イーオン?」
目元を擦りながら寝間着姿のままのティファリアが姿を現した。
「ティファリア…おはよう」
「おはよう、……ふぁ、今日は早いのね」
「つい起きてしまってな。もう少しで朝食が出来る、顔でも洗ってくるといい」
「わかったー……」
とぼとぼと歩いて行く眠そうなティファリアに小さく笑いながら鍋の中をかき混ぜた。
***
「わっ、美味しそう!」
すっかり覚醒したティファリアはテーブルの上に乗った料理にきらきらと瞳を輝かせた。
「そんなに大したものではないと思うんだが…」
「イーオンってばいつもそういうけど私にとっては大したものだよ?!それに、イーオンの作った料理、私、大好きなんだから!」
「そ、そうか……」
照れず臆せず言われてしまうとどうやら恥ずかしく俯いてしまうがティファリアはくすくすと笑った。
「イーオンってば、可愛い」
「自分みたいな男に可愛いなどと……」
「本当のことだもん」
「……っ……か、可愛いという言葉は自分ではなく、ティファリアにこそ似合う言葉だと、思う」
「!」
反撃のつもりで返した言葉にティファリアは頬を赤く染める。
「ティファリア?」
「わ、私っ、ラディ達起こしてくるから!」
「あ、ああ…」
同じようなこと自分も言っていたのに言われたら恥ずかしくなるのか…と少しおかしくなりながら自分はティファリアたちが来るまで洗い物を洗うのだった。
-Fin-