小悪魔な君にオレはゾッコン 「ごめんね、リアン。疲れてるのに閉店後のリーベルにまで来てもらって…」
「いやいや!君のためならたとえ火の中水の中!いつだってどこだって駆けつけるよ?」
ウインクしてみせるリアンだったがおかしそうにティファリアに笑われ、少しだけ頬を染めた。
「えっとね、リアンにプレゼントっていうか…食べてほしいものがあるの」
「食べて欲しいもの?」
なんだろう、と考えているとティファリアがそのあるものを運んでくる。
「はい、どうぞ」
それはチョコレートで模られたフェンリル姿のリアンを模したチョコレートケーキだった。
「えっ……ーー」
思わず、嬉しくてたまらなくなりリアンは言葉を失う。
「前に私が疲れてへとへとだった時…リアンがケーキを作ってくれたでしょう?」
「え?あぁ…うん、」
「その時にお返しに私も何か作るって約束していて…これがそのケーキ…勘違いされたら嫌だから言うけれど、リアンのためだけに考えて作ったんだからね?」
「ーーー」
そんな殺し文句にリアンの瞳からはぽろぽろと涙が溢れていた。
「り、リアン!?ど、どうしたの!?き、嫌いなものとかあった!?」
「ち、違う…そうじゃなくて…嬉しすぎてどうしたらいいかわからなくて…こんなに幸せでいいのかなって思っちゃって…」
「もう…」
ティファリアは困ったように笑うとリアンの大きな瞳から溢れる涙を指先で拭う。
「泣いてないで、早く食べて?愛情が熱いうちに…なんでしょ?」
「う、うんっ…」
ぐいっと滲んだ涙を拭うとフォークをケーキに入れ、口に運ぶ。
「っ!うま!美味しい、美味しいよティファリア!リーベルのメニューに置いてもいいと思う」
「本当?うーん、でもこのメニューは…」
「うん?」
「リアンだけの特別だから、リーベルには向かないかも?」
「〜〜〜っ、」
わざとやっているのかいないのか小悪魔のように笑うティファリアにときめいて止まらずリアンは突っ伏しティファリアはくすくすと笑う。
「君は……ずるい、ずるすぎるよ…」
「リアンが可愛くて、つい」
「もう…ティファリアぁ……」
「ふふ…」
そんな笑い声にリアンは呻き声を上げ、心配して様子を目にきていたラディは安心した様子で階段を駆け上がっていくのだったーー。
-Fin-