赤きライバル ある一室に集められたアーチャークラスのサーヴァントたち。僕、高杉晋作も眠たく思いつつもマスターくんの話に耳を傾けていた。
「えー、この度初期から活躍してくれた子ギルくんがめでたく絆10に達しましたので前線メンバーの変更のお知らせのため集まっていただきました」
予想通りの言葉に納得しつつも僕とアルジュナは変わらないだろうなと思い特に気にしていなかった。いなかったのだが…、
「今後のアーチャーパーティ、アルジュナ、高杉さん、そしてドラコーで行きます!」
「はっ……はぁぁぁあああっ…!?」
クラスビースト。弓兵ではない者の名前が出たことにより思わず叫んでしまう僕だった。
***
「ぷりぷりと怒ってどうしたんですか?」
集まりが終わった僕にお茶を出しつつ雅は横に座った。
「どうしたもこうしたも!」
そう怒りを露わにする僕の頭上から笑い声が聞こえ思わず顔を上げ、そして絶句した。
「怒りを撒き散らすようでは程度が知れるよな。のぅ?マサコ」
第三の姿で金色の髪を濡らしながら現れたソドムズビースト。ドラコー。雅の隣に座ったらドラコーはそのまま雅の髪を一房手に取るとその上に唇を押し当てた。
「今宵の貴様も星々のように…いや星々に勝るほどの最上の輝きを宿しているな?マサコ」
「ど、ドラコー…そんな戯言を…」
「戯言ではない。なんせ…」
「ええい!僕の前で雅を口説くな!」
そう言ってドラコーから引き剥がすがドラコーは高らかに笑うばかり。
「嫉妬深い男は嫌われるぞ」
「雅に嫌われなかったらいいんだよ!」
それにまたドラコーは笑うから僕は更に後ろから雅を抱きしめる腕の力を強めた。
「ふふ…ははは!!」
「な、なんだよ…」
「いや?その顔が真正面から見れぬというものお前に同情する思いだよ」
「はぁ?」
「マサコ、またその可憐な顔を見せてくれ。そしてまた酒を酌み交わそう」
そう言うとドラコーは去っていく。そんなドラコーの背中を見ながらこれからはいつもあいつの顔を見るのか…と思うと疲れてきてしまう僕だった。
「あ、あの…し、晋様…」
か細い声で僕に抱きしめられたままの雅は声を漏らす。
「うん?どうしたんだい」
「い、いつまで抱きしめられたままでいれば…?」
震えた声で言う雅にドラコーがさっき言っていたセリフに合点する。いつからかわからないが雅は顔を真っ赤に染め上げていた。それが僕は愛おしくたまらず腕を緩めると正面から雅を抱き上げた。
「きゃあ!?」
「暴れちゃ危ないぞ、雅」
「あな、あなっ、あなたっ…こ、これは一体…」
「野暮なことを言うなあ、雅は」
そう言ってにんまり笑えば静かになった雅はまた顔を赤く染めた。そんな雅の体重を感じながら僕は、僕らの城。僕たち二人に与えられたマイルームへと向かうのだった。
-Fin-