おいしい研究会会員番号2番 午後15時。
それは、ロナルド吸血鬼退治事務所がもっとも静かな時間のひとつ。
事務所の主であるロナルドは日中の依頼へ出向き、住人のほとんどを占める吸血鬼たちは深い眠りの中。ブラインド越しにやわらかな午後の日差しが射しこむ事務所は、しんと静まり返っている。
――ギィ。
そんな静けさを破らぬよう控えめな音を立てて、リビングと事務所を隔てるドアが開く。
「ビ」
その音を聞きつけた事務所の門番兼帽子掛けであるメビヤツは、ぱっちりと大きな目を見開いた。
「オヌヌー」
「ビビッ」
未だ夢の中の主を起こさぬよう小さな声であいさつをするのは、アルマジロのジョン。そしてその背に背負われているのは――本マジロより大きな風呂敷包み。
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