真夜中の流砂 整った筋肉の奥、首筋を辿ればトクトクと規則正しく送り出される血流がある。
自分が再び他の命を側に置くことになるとは思ってもみなかった。案外自分はチョロい人間なのかもしれない。
彼の逞しい腕にすっぽりと抱かれて眠る時、時折何処かで砂の流れるような音が聞こえる。
ああ、分かってる。お前だけだ。
◇
枯れ枝の集合体のように見えて意外とタフな体。そうわかっていても側で守りたくてたまらない。薄い皮膚の奥には確かに熱があって、感じる度に安心と不安が綯い交ぜになる。
彼を懐に抱いて眠る時、どこかで砂の流れる音を聞くことがある。
ごめん。でも、俺たち仲良くなれる気がするんだ。駄目かな?