十、胸(所有) 小竜は大包平の上にひっついていた。互いの体温が心地いい。小竜は大包平の胸に耳を当て、その鼓動を聞いていた。大包平の身体に小竜の長い髪が広がっている。大包平は指にその髪を絡めたり、撫でたりしていた。小竜は猫のように、大包平の胸にすりすりと頬を当ててくる。
「珍しいな」
大包平が小竜の髪を掬う。指の隙間から金がこぼれた。
「俺だって甘えたいときがあるよ」
小竜は大包平の厚い胸板に唇を付けた。
そういう質なのか、小竜は大包平にベタベタとしてこない。こうして抱きついてくるなど、滅多にない。
「そうか」
ならば、好きに甘えさせてやろう。大包平は大きな手を小竜の頭に置いた。
ちろりと小竜が、大包平の乳首を舐める。
「くすぐったい」
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