Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    すばる

    ヒッジとなぎこさんが好きです。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 69

    すばる

    ☆quiet follow

    斎土です。お題ガチャから。我が名は人間推しに朝食を作らせるのが大好き。完全な趣味と手癖です。ごはん用意すれば食べてくれる方さん可愛いですね。

    #斎土
    pureLand

    ある朝、彼氏の奮闘寝る前に、僕の枕の下にスマホを仕込んでおいた。
    昨夜セットした通りに、スマホはバイブして僕に七時を知らせる。
    結局昨夜は裸のまま寝てしまった。布団をめくると寒くて、熱源から離れたくなくなる。細身だから平熱が低めの土方さんだが、一緒に布団にくるまっていると天国のような心地になれるのだ。
    だが、僕はそんな天国から堕天しなければならない。こちらを向いて眠っている端正な顔の、削げた頬にキスをひとつ落として、ベッドの下に落ちた下着と寝間着を着る。僕専用のスリッパを履いて、キッチンへ向かう。
    この部屋を初めて訪れた時のキッチンは、それはもう綺麗だった。沢庵を切ることと炊飯しかしないのでは当たり前だ。
    僕だって、実家にいた頃も一人暮らしを始めてからも料理なんてしたことがなかったのだが、さすがにあのキッチンに危機感を覚えた。
    今はまだ若い(僕よりは十歳ほど上なのだが、生活習慣病的な意味で)からいいが、年を経るにつれてさまざまな問題が発生するであろうことは、想像に難くない。
    米は、昨日ベッドに入る前にセットしておいた。炊飯器の蓋を開けると、豊かな湯気と日本人の郷愁を誘う香りが上がった。
    グリルで鮭を焼きながら、白菜と人参と大根と玉ねぎをざっくり切る。鍋に水とコンソメキューブを入れ火にかけ、沸騰したら切った野菜とホールトマトを放り込む。
    鮭が焼き上がったら皿に移し、小鉢にスーパーのお惣菜コーナーで買ったひじきと六種野菜の煮物を盛る。
    鍋の野菜に火が通ったら弱火にし、一センチ幅に切ったベーコンを追加する。
    皿と小鉢にラップをかけ、スープの火をいったん止めて、コンロから作業スペースに移動させる。使い古しのバスタオルと古新聞で鍋を包めば、火を使わずに保温ができる。
    空いたコンロに小さめの鍋を据え、今度はわかめの味噌汁を作る。お湯を沸騰させてだし入り味噌とふえるわかめを入れるだけだから、難易度は高くない。
    ウェブサイトとYouTubeで教えてもらった主婦の知恵を思う存分活用し、下手ながらも朝食と昼食と夕食ができた。夕食は何かメインディッシュが必要だろうけれど。
    僕の恋人は、放っておくと本当に沢庵しか食べない。少々病的に感じるほどだ。
    しかし、まだ長くないつき合いの中でも、用意されたものは食べることが判明した。
    それから僕は、お泊まりの夜にスーパーで野菜を買って土方さんの家に行くようになった。
    おっくうに感じていた料理も、基礎を学んでから挑戦すれば、上達がきちんと感じられる。最近では練習がてら、自宅でも野菜炒めや魚のソテーを作るようになった。
    朝食の鮭とひじきにラップをかけて、僕は寝室へ戻る。土方さんはまだすやすやと眠っていた。
    仰向けの顔を覗き込む。赤い目の眼力や、表情筋のこわばりがないと、少し幼く見える。歳の差が縮まったような錯覚を覚えるから、土方さんの寝顔を見るのは好きだ。
    「ごはんできましたよ」
    「もっと寝かせろ…」
    土方さんは、機嫌悪そうに寝返りを打った。
    平日の仕事がある上に、昨夜僕にさんざん鳴かされたら、それは疲れるというものだ。
    僕は寝間着のまま再びベッドへ潜り込む。背中から抱きしめれば、うなじに噛み跡や鬱血痕がある。誰がやったんだ。僕だ。
    反省…してもまた同じことをするだろうと確信しているから罪深い。
    せめて朝寝は邪魔しないようにしたい。
    僕はやましい気持ちを封じ込めるため、脳裏で素数を数え始めた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺💖💖☺🙏☺🙏💞💘💗💞👏💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works