Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    かわな

    もろもろ載せます
    ましゅまろ→https://marshmallow-qa.com/tukyat1112
    wavebox→https://wavebox.me/wave/cqjyioz3nns6292j/

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌹 🐶 💚 💛
    POIPOI 16

    かわな

    ☆quiet follow

    7月新刊。リュウイケ進捗

    #リュウイケ
    japaneseYew

    リュウイケ「映画を観たいって言ったの、君だったよね?」
    映画のエンドロールが終わり、たっぷりと余韻を味わったらしいイケルさんが面倒くさそうに言った。立ちあがり、入り口の横にある室内灯のスイッチを指先でぱちんとはじいたあと、「コーヒー淹れるけど、飲む?」と尋ねられ、ソファにのしかかるように振り返った俺は「イケルさんのコーヒー、おれっち好きっス」と答えた。
    「それ、答えになってない」
    明るくなった部屋がまぶしかったのか、イケルさんの目が細く横に伸びた。嫌そうな顔がかわいくて、俺の声は分かりやすく弾む。
    「飲むッスよ。もちろん。愛情いっぱい込めてくださいね。イケルさん」
    「ただのインスタントなんだから、込め方が僕には分からないな」
    「じゃあ、お手伝いしてあげましょうか。おれっち、愛情込めるの大得意ッスよ」
    腕まくりをして力こぶを作って見せると、イケルさんは一瞥だけしてそっけない。
    「いらない。キッチン狭いんだから、じゃま」
    「じゃまって、ひっでー言いぐさ」
    「本当のことだからね」
    頬を膨らませてぶーぶー文句を飛ばしていると、じゃぼじゃぼと水が流れる音がした。数秒ののち、きゅっと水音が止まる。
    「それに、君。僕の言葉が本気じゃないって分かってるんだろ」
    手にケトルをもって、ふてぶてしいような、それともこわごわとしているような、器用な表情でイケルさんは言った。
    「そりゃあ、まあ。イケルさんは素直じゃないッスからね」
    「ふうん、悪かったね」
    「あのねえ、言わせておいて不貞腐れるのやめてくださいよ。すっげえかわいいんだから」
    答えると、一瞬沈黙が下りた。俺の体の中でふつふつしている熱みたいに、ケトルがしゅんしゅんと音を立てている。
    イケルさんは眼鏡をくいっと押し上げて、狭いキッチンのシンクに腰掛けた。
    「……君、酔ってるのか?」
    「そ。イケルさんにね」
    にっこりと笑いかけたところで沈黙の幕は上がらない。ケトルが熱を上げるのと、イケルさんのため息が部屋に広がったのはほとんど同時で、俺のふつふつと湧き上がる熱もまた同時に最高潮を迎えた。
    マグカップにコーヒーをたっぷり注いで、テーブルに置く。イケルさんは俺をじっと見つめたあと、しぶしぶ隣に腰を下ろした。
    「それで? 映画が好みじゃなかったから暇だったの?」
    イケルさんがフーッとマグカップに息を吹きかける。眼鏡が曇って、きれいな瞳の色が隠れるのが嫌で距離を詰めた。
    「おい。急に近づくな」
    「でも、近づかないとイケルさんを感じれないッスもん」
    「嫌な言い方をするな、まったくもう」
    とかなんとか言っちゃって、ソファと腰の間に滑り込ませた腕には文句を言わない。
    左手でカップを取り、顔に近づける。鼻先に濃いコーヒーの匂いがした。イケルさんはブラックコーヒーみたいな苦味のある声で、気を付けるんだよ、と甘いことを言う。コーヒーは苦いくせにカフェオレみたいな味がした。
    「ねえね、イケルさん」
    横目でイケルさんが俺をちらりと見た。
    「なに?」
    「コーヒー、おいしいッス。ありがとうございます」
    「……どういたしまして」
    ふっと、立ちのぼるコーヒーの湯気が消える。
    「映画、面白かったッスか」
    コーヒーを飲みながら、回した手で腰を撫でる。慣れているからか、イケルさんは気にすることなくコーヒーを口に運びながら、机に置きっぱなしになっていたスマートフォンを手に取った。片方の指が器用に文字を打ち始める。
    「面白かったよ。君は、面白くなかったみたいだけど」
    「そんなことないッスよ。俺は俺で、きっちりあの時間を楽しんでたんで」
    「よく言うよ。ちっとも集中してなかったくせに」
    ぴしゃりと放たれた言葉には、腰に回した手で肉をつまむことで答えた。この人は、もうちょっと肉がついてもいいと思う。胸は揉んだらデカくなるっていうけど、一年揉み続けたかいがあって、最近こぶりだけどふっくらと柔らかく胸が育った。おなかもこれぐらいふっくらしたら、額や頬を押し付けたとき気持ちがいいはずだ。
    「……ねえ、どんなところが面白かったんスか。イケルさん、すっげえ真剣だったから、おれっちこうみえて妬いてるんスよぉ。甘やかしてほしいなあ」
    「そうだな。まず、主演の演技が良かった」
    「あれ? 俺の嫉妬アピールはスルーな感じ?」
    「ほら、この俳優。香賀美タイガ。プリズムスタァらしいけど、最近は映画やドラマにもけっこう出てる」
    「え、ほんとに無視ッスか」
    コーヒーをイケルさんの太ももの上に置いて、体をぴったりと引っ付ける。首筋に鼻先を押し付けるように肩に頭を預けた。寂しい気持ちを紛らわせるように手にさらに力を込めて、差し出されたスマートホンの画面をのぞき込むと、そこには一人の男の宣材写真とプロフィールが映っていた。
    香賀美タイガ。
    仏頂面で面倒極まりないってありありと顔に書かれたその写真は、たしかに顔は良いのかもしれないけど、俺の好みじゃない。なんかどっかで見たような顔で、むしろイラッとくる。
    「……気に入ったんスか」
    「香賀美くんを?」
    「あー! ひどい! なんスか、その呼び方! おれっちだってまだ苗字呼びなのに、こいつもなんてずるいッスよ」
    「なに言ってるんだ、君。いくら有名人だからって呼び捨てにするのは気が引けるだろ」
    「じゃあ、俺のことはリュウガって呼んでくださいよぉ! 気心も気安さもあるし、なにより恋人だし!」
    「はいはい。もうちょっとしたらね」
    「そう言っていつもごまかす! そろそろ本気でごまかさせてあげないッスからね」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏👏😭😭😭😭❤❤❤❤🙏🙏💗💗💗💗💗💗👏👏👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    pagupagu14

    DONEchocolate Kiss/愛忠
    幼少期の愛忠→最終回後くっついてる愛忠のVDの話。
    季節外れですが思いついたので。ネタは鮮度が大事!忠視点は脳内セリフが煩くしやすくていかに愛之介様を好きか書けるから楽しいね
    chocolate Kiss  愛忠
     「忠、それ何食べているの?」
    水の入っていないプールの傍で甘ったるそうな匂いをさせているものを食べている忠に声を掛けると嬉しそうな顔で僕の名を呼ぶ忠。僕はその顔が一等好きだった。
    「チョコレート菓子ですよ」
    「チョコレート…」
    「ええ。今日はバレンタインデーなので本命のついでだとは思うのですが、皆さんよくくれるんですよ」
    忠はそう言っているが僕は知っていた。明らかにそのチョコレート菓子の山の中に明らかな本命が混じっていることを。この量のチョコレート菓子は普通ではまずもらうことのない量だと言うことを。救いなのは当の本人である忠がその気持ちに気づいていないということだった。
    「あ、愛之介様も食べますか?」
    「え、僕…?」
    「はい。手作りとかはさすがに食べさせられないんですがこういう市販のものとかなら…」
    「…いい、いらない」
    「そうですか?わかりました」
    不思議そうな顔をしてお菓子を食べるのを再開させる忠の袖を摘まむ。
    「愛之介様?」
    「なんか…それ、やだな…僕」
    「ええっと…嫌、とは?」
    「忠が…誰かにもらったお菓子食べてるの嫌だ…」
    特に今日もら 2807

    pagupagu14

    DONE死がふたりを分かつまで/愛忠
    DRパロ。未来編izrrパロです。当然の通り死ネタです。心中してほし~~~~~~~~という気持ちから。
    死がふたりを分かつまで 愛忠
     「忠」
    「はい」
    「僕の名前を呼べ」
    「できません」
    「忠」
    「嫌です」
    「たーだーし…」
    「あなた様が何をしようと、何を言おうと絶対に呼びません」
    そう言って愛之介の目の前の秘書兼犬は断固として拒否した。いつも、忠は愛之介至上主義で愛之介が言うことを最優先する。だからこそそれだけ、よっぽどの理由があるとして愛之介ははっとした。
    「忠、やっぱりお前のNG行動…」
    「……」
    顔を逸らす忠の顎を掴む。若緑色の瞳がゆらゆらと揺れ、それでもなお愛之介ただ一人を見つめている。
    「なんだ、そういう…そういうことか…」
    ハハ、と愛之介が笑うのを忠は普通に見つめていた。
    「…お前が僕の名を呼ぼうとしないから、何なんだって思ったじゃないか…」
    「申し訳ありません…」
    「まあ、いいか。ここから出られる手立てがあるわけでもなし、きっといつか僕らは餓死で死ぬだろう」
    「そんな…希望を捨てては…!」
    「僕のNG行動、知りたくはないか?」
    「え?」
    「【何か食べ物を口にすること】」
    「!そ、それは…あまりにも」
    「ここから出られなくても餓死で死ぬし、生き延びるために食べても死ぬ。だ 1157

    hinoki_a3_tdr

    DONEガスウィル
    別れようとしたウィルと荒療治でつなぎとめることにしたガスト
    「別れてくれ」
     たった一言。それだけで、世界から一人と残されたような、うら寂しさがあった。
     俺とアドラーは恋人同士というものだった。俺は、アドラーが好きだった。アキラの一件があったのにも関わらず、俺はアドラーに惹かれていた。そんなときに、アドラーに告白されたのだ。嬉しかった。が、同時に怖くなった。だって、俺の中にあるアドラーへの感情はプラスのものだけではなかったから。
     アドラーへの恋心と一緒に、彼への恨みのような感情もまだあった。そして、それが今後消えないだろうことも、なんとなく分かっていたのだ。こんな俺では、いつかきっと振られる。今が良くても、いずれ破綻することだろう。そんな想像から、俺はアドラーを先に振った。そうすれば、無駄に傷つくことはないと。
     だが、アドラーは諦めなかった。何度も何度も俺に告白してきて、その度に俺は、アドラーを振って。傷つきたくないからと始めたことが、どんどん傷を増やしていく。俺だけじゃなくて、アドラーにも。それは、本意ではなかった。だから、受け入れることにしたのだ。アドラーの粘り勝ちと言ってもいいだろう。
     大喜びするアドラーに、これで正解だったのかも 4699