Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    かわな

    もろもろ載せます
    ましゅまろ→https://marshmallow-qa.com/tukyat1112
    wavebox→https://wavebox.me/wave/cqjyioz3nns6292j/

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🌹 🐶 💚 💛
    POIPOI 16

    かわな

    ☆quiet follow

    令和悪魔くん。一郎×メフィスト3世

    出会ったばかりのころの話。ご都合主義

    #令和悪魔くん
    #🥞🎩

    魔法の布巾は上の棚の奥の奥/🥞🎩「お茶請けにはホットケーキがいい」
    そう言ったのは悪魔くんだった。
    出会って三日ほど経った、天気の良い昼下がりのことだ。
    パパとおじさんに引き合わされたのはいいけれど、いったい何をしたらいいのかまだつかみ切れていなかったおれは、なんとなく体にまとわりついてくる居心地の悪さを脱ぎ捨てようとした結果、おやつでも食べようかな、なんて言った。それに対して返ってきた言葉がお茶請けにはホットケーキがいい、だ。まあ、たしかにホットケーキはおいしい。
    「それって、焼けってことかよ」
    「ほかになにがあるんだ? おやつにしようと言ったのは、君じゃないか」
    「それはそうだけど、だれも作るなんて言ってないだろ」
    「そうなのか。じゃあ、チョコバーを買ってきてくれ」
    「いやなんでだよ!」
    おかしくないか? オレはただ、おやつでも食べようかな、と言っただけだ。誘っちゃいない。いや、誘う気はあったけど。気まずかったし。
    でも、さも当然のようにリクエストを要求し、さらには買いに行かせようというのはわがままがすぎるだろ。絶対にそうだ。横暴すぎる。しかも、顔も上げやしないで当然のような口ぶりで言うからムカッとくる。せめて目をみろ、こっちみろ!
    朝から晩までずっと本を読んでいる。たまにラジカセから音楽を流す。パパにもたせてもらったおにぎりとお茶で昼食にして、また本を読む。まだ部屋には開けてもいない段ボール箱がいくつもあるのに、まったく気にも留めない。この三日間、その繰り返しだ。
    なにかしら二人でするべきだろうに、今のところ会話さえうまく成立しない。きっとこいつは、眩しそうに目を細めていたらカーテンを引いて、日が暮れたときにオレが電気を点けていることさえ知らない。
    ため息を吐いた。呆れて立ちあがる。
    すると、悪魔くんが今日初めてちらっと視線を寄越した。
    「なんだ、焼くのか」
    あ、カチンときた。
    「あー、そうだよ。材料買ってくる!」
    おまえが言ったんだろ、ホットケーキが良いって! どっちみち買い物に行かなきゃならないのなら、食べたいほうが良いじゃないか。ついでにチョコバーも買ってきてやるよ!
    ムカムカする気持ちを宥めながら、必要になるかもしれないからとパパにもらったエプロンのひもを乱暴にほどく。はぁーあ、とため息を吐こうとしたき
    「上の棚にある」
    と、悪魔くんがなんともないふうにさらっと言った。
    「は? なにが?」
    「材料だ」
    「へ? うそ?」
    「うそを言ってどうする」
    「いや、だって掃除したときは……」
    ソファにエプロンを投げおいて、飛び出すようにキッチンに向かう。ここに来たとき、パパたちは必要なものは仕舞っておいたよ、と言っていた。フライパンや鍋、包丁、ボウルは下の棚だからね。上の棚は空いているから好きに使いなさい。にこやかなパパたちの言葉を思い出しながら、部屋の隅に置いてあった脚立を持ち出した。
    踏み台の上に足を乗せ、踏みしめる。手を伸ばし、勢いよく棚の扉を引く。うわっ、と声がでた。
    「ま、まじかよ……というか、ホットケーキミックスばかり、多すぎるだろ」
    脚立に乗ってもまだ奥まで覗き込むことができない高い棚の中に、赤が目印の見覚えのあるパッケージが数えるのも億劫になるぐらい重ねてある。パパたちが言っていたスペースなんてものはまったく見当たらない。
    とりあえずミックスを一つ取り出して、まさかと思いながら冷蔵庫も確認してみる。
    予想通り、中には見つけてほしがっているみたいに堂々とした佇まいで、卵とココアと牛乳、さらにバターとメープルシロップが鎮座していた。初日にみたときはすっからかんだったはずだ。いったい、いつ買ったのだろう。
    「えーと、賞味期限はっと……」
    粉系は良いとして、乳製品はさすがに期限に気を付けないといけない。人間だろうが悪魔だろうが、食べ物にはあたってしまう。たぶん。
    卵と牛乳の日付を確認して、ホットケーキミックスの裏側にある作り方を読み込む。指折り数えて、期限内に卵と牛乳を使い切るにはこれから毎日焼いて、それでもなお余る牛乳はほかで活用しなくちゃならないことに気づく。ただでさえこれから毎月家賃を払わないといけないと思うと頭が痛くなるのに、これらを無駄になんてできやしない。
    腕まくりをしながら部屋を横切り、
    「今から焼くから机の上を片づけておいてくれよ。あ、端に寄せるのはナシだからな!」
    と、言いたいことだけ簡潔に伝え、脱いだばかりのエプロンを身に着け後ろ手に結ぶ。もくもくと本を読んでいた悪魔くんはちらっと顔を上げたあと、机の上に視線を落として、ゆっくりと本を閉じた。

    結果からいうと、ホットケーキの出来栄えはさんざんだった。なぜなら、ホットケーキを食べたことはあっても作ったことはなかったからだ。理想と思い出の中にある厚みのある三段重ねのホットケーキは、思ったよりも膨らまず、焼きムラのせいで猫のブチ模様みたいだった。
    「……ほらよ」
    「……」
    なにか言えよな~!
    なにか言ってくれたら言い訳でもなんでもできるっていうのに、悪魔くんはたいして興味がないのか、差し出したお皿に載った不格好なホットケーキにフォークを勢いよくさして、口にした。溶けかけのバターがたっぷりのメープルと一緒に二段目のホットケーキに落ちていくのも気にせず、もくもくと食べている。その食べっぷりが、わりと良いなーなんて思ったりして、ついつい口を滑らしてしまった。
    「ココアも飲むか?」
    「飲む」
    「ちょっと待ってろ」
    「わかった」
    なんだよ、やけに素直だな。
    笑ってしまいそうになるのを隠すようにキッチンへと引き返した。当然のように、棚の下にはミルクパンがあって、これはきっと真吾おじさんが準備したものだろうと考えた。
    ココアは作ったことがあった。眠れない夜に、温かいものが飲みたくてたまに作るからだ。それでも作り方を読み込んで、丁寧に作った。というか、おいしく作ってやりたいなと思った。だからか、ココアはまあまあの出来栄えだったと思う。
    「焼きムラの原因はこれだと思うんだよなぁ」
    ココアをいれたマグカップを差し出し、一応片付いている机の上にホットケーキミックスのパッケージをドンと置く。裏には丁寧すぎるぐらいにホットケーキのおいしい作り方が載っていて、おれはある一点をとんとんと指で叩いた。悪魔くんの視線を指先に感じて、ほんのわずかに声が弾む。
    「熱したフライパンを濡れ布巾に一度置くってやつ。やっぱりしないとだめだな」
    「当然だ。レシピというのは、誰が作っても正しく作り上げられる方法が書かれているんだからな」
    「分かってるよ、それぐらい。でも、布巾が見当たらなかったんだから仕方ないだろ」
    悪魔くんの口ぶりにも慣れてきたのか、おれは反論をしながらココアを口に含んだ。少し多めに溶いたココアが甘い。
    「なあ、悪魔くん。そもそも布巾がここのどこかにあると思うか?」
    まだ開けてもいない段ボールを眺めながら尋ねると、視界の端で悪魔くんがパッと顔を上げた。
    「なんだよ。知ってるのなら教えてくれよ」
    「……知らないな」
    「そりゃそうか。お前、荷ほどきほとんどしてないもんな」
    「一人でしたほうが早いって、メフィストが言ったんじゃないか」
    「はぁ? 言ってないだろ」
    「言った。僕は本を片づけようとしていたのに、君は本なんて後回しで良いと言って、僕のやる気を削いだんだ」
    淡々とした口調で、でもしっかりと記憶が残っているらしい悪魔くんがただただ真実を突き付けるように答える。
    「あー……、たしかに言ったかも」
    「たしかにじゃなく、言ったんだ」
    「……えーっと、その、ごめん!」
    悪魔くんがじっとこちらを見つめる。
    「でもさ、ここはおれたち二人の場所なんだから、二人で使うものを先に片づけたほうが良いと思うんだよ」
    おれはそれっぽいことを言った。悪魔くんは「ふうむ」と頷く。
    「……まあ、理はあるな」
    「だろ? それに、二人でやったらすぐに終わるって! よし、食ったら残りの箱も開けよう、悪魔くん。それで、明日から千年王国研究所を開店させるんだ」
    「ここは店じゃないから、開店はおかしい。言うなら開業だ」
    おれのやる気のある提案に、分かりにくいけれど、たぶん嫌そうな顔をしているんだろう。悪魔くんはちらっと床に置いたらしい本の山に視線を向けて、ため息を吐いた。
    言い忘れないうちに、言っておくことにした。
    「それとな、悪魔くん。机のものを床に置くのは片づけたってことにはならないから」
    視線を遮るように悪魔くんがココアをごくごくと飲んで「机の端には置いてないだろ」と子どもみたいなことを言った。
    ホットケーキもココアも、きれいに平らげていた。


    パパとママと夕飯を食べているとき、悪魔くんはホットケーキとココアが好きなのだということを話した。聞いてはいないけれど聞かなくても分かることもあるということを、あらためて実感した気がする。
    ホットケーキの焼きムラについても聞かせると、パパが絶対にきつね色に焼けるという魔法の布巾をくれた。ただの安い布巾に違いはないけれど、パパの作るホットケーキはすごくおいしいから、これで明日はきれいに焼けるだろう。
    翌日、研究所に魔法の布巾を持っていった。今日からはお昼も作ろうと材料をスーパーで買い込んできたからけっこう重い。しかしそこで、おれはある一つの仮説にたどり着いた。
    それは、悪魔くんは千年王国研究所で会ったその日に、ホットケーキの材料を買いそろえたんじゃないか、ということだ。きれいに陳列された卵と牛乳のコーナーで、賞味期限を確認した結果から導き出された答えだ。けっこう、自信もある。
    荷物を抱え直し、磨いたばかりの研究所の扉を開けると、中から小さく曲が聞こえてきていた。悪魔くんのよく聞いている曲だ。昼食はラーメンにすっからー、と言いながらまっすぐにキッチンへと向かう。返事はないけれど、今日は特に気にならなかった。足取りも軽い。
    しかし、おれはキッチンであるものを見つけて、うわっと声を上げた。
    慌てて口を噤み、両手に抱えた材料をひとまず置くと、無造作に置かれたそれをおそるおそる手に取る。
    値札がついたままの新品の布巾。
    昨日、どの段ボールからも見つけられなかった布巾。
    心の奥が湧きたつような、頭のてっぺんがむず痒いような、とにかくあらゆる良い感情が体中に巡っていく感覚に口がむずむずと動く。
    「……はぁー」
    落ち着け、まだ四日目だ。なんなら、今日が開業初日だ。おれはつとめて冷静に買い込んだ材料を並べていく。
    悪魔くんのことは、まだなにも分かっちゃいない。今日のことは、たまたまかもしれない。でも、今感じている気持ちを出会ったときの印象で差し引かなくてもいいはずだ。だって、おれはけっこう、いやかなり、うれしく思っている。
    顔を上げ、棚の上を睨みつける。パパからもらった魔法の布巾をぎゅっと握り、脚立を引っ張りだして棚の扉を勢いよく引く。
    まだまだ悪魔くんのことはよく分からないけど、できれば今日は昨日よりも、ホットケーキをおいしく作りたいと、おれはそう思っていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺☺🍜🍜☺☺☺☺☺☺💖💘☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺💖☺☺👏❤💯💯💯💯💯💯👏👏☺💖☺❤💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    pagupagu14

    DONE遅すぎた言葉/愛忠
    DRパロ。スーダンパロkzpkを意識しとります。DRパロなので死ネタです。忠が愛之介のオシオキを邪魔して死ぬ話です
    遅すぎた言葉 愛忠
     処刑がはじまる。あと少し、もう少しという思いで手を伸ばす。スケートを走らせ、ボードを蹴る。殺させはしない。どんなに罪を犯したとしても、罪を重ねたとしても、それは私の罪と同じなのだから。罰を受けるのは私こそ、相応しい。
    「愛之介様ぁ―――ッ!」
    「っ、忠…」
    そう、愛之介様が私の名前を呼ばれる。それだけで私は生きていてよかったと思えるのだ。あなたの傍にもっといたかった、生きていたかった、けれどあなたの人生を捻じ曲げた私にはこれくらいの罰受けても仕方がないことだろう。
    トリガーが引かれる。そして稲妻のような音と共に私の脳髄を弾丸が、撃ち抜いた。
    「忠!」
    オシオキ場は幕を引き、私は愛之介様の腕の中にいた。
    「あ、い…のすけさま……」
    私の顔に映る愛之介様は泣き出しそうな、けれどそれを我慢しているような顔をしていた。
    「…大きく、なられましたね。愛之介様は」
    「お前、どうして…」
    「これは私の咎であり罰です。本来、これを受けるべきなのは私です。愛之介様は生きるべきお方なのですから、私の屍など超えていって下さい」
    「忠…お前、」
    「……モノクマ、それでいいだろう?私が代わ 1219

    pagupagu14

    DONE愛する二人に幸を運ぶ/愛忠
    幼少期愛忠→現在のくっついてる愛忠の話。
    白蛇の脱皮シーンを見る愛忠、白蛇の脱皮皮をお守りにして持つ愛忠。それを今も変わらず持っている愛忠。そんな話です
    愛する二人に幸を運ぶ 愛忠
     「愛之介様?何をされているんですか?」
    水の入っていないプールから少し離れたところ、そこで忠の家族が使える家族の息子であり忠が仲良くさせてもらっている相手、愛之介が何を見るようにしゃがみ込んでいたから、つい声をかけてしまった。
    「…忠、うん…白蛇が」
    そう言う愛之介の視線の先には白蛇だけでも珍しいのに二匹もいて、しかも仲良く脱皮をしているところだった。
    「す、すごいです愛之介様!」
    「…すごい?」
    「ええ。白蛇だけでも縁起が良いと言われているのに、二匹もいてしかも脱皮をしている現場だなんて生きているうちで見られない人も多いものなんですよ。さすが愛之介様、幸運を引き寄せてしまうのですね」
    ふふ、と忠がまるで自分のことのように喜ぶのだから愛之介は何故だか嬉しくなってしまった。
    「幸運、か。…うん、ありがとう忠」
    「?いえ、本当のことを私は言っただけですので――」
    そんなことを話しているといつの間にか二匹の白蛇は脱皮を終え茂みの方に仲睦まじく並んで歩いていっていた。
    「…この脱皮した後の皮、お守りにしましょうか」
    「お守り?」
    「ええ。さっきも言いましたが白蛇は 2215

    pagupagu14

    DONEゆびきりげんまん/愛忠
    DK忠と中学生愛之介の話。忠の文化祭にお忍び&内緒で遊びに行く愛之介の話。愛之介が幼い頃ブラックコーヒー飲めなくて練習して現在飲めるようになったっていう設定で書いてます。両片思いの無自覚イチャイチャのつもりで書いてますが愛(→)忠気味です
    ゆびきりげんまん 愛忠

     「いらっしゃい…ま、せ――」
    ぱちぱち、と瞬きをして。幻覚、はたまた夢ではないだろうかと思い目を擦る。けれど忠の視界にはあの広大な海を思わせる見事な青色が揺らめいて、柘榴を思わせる真紅色が真っ直ぐ忠を見つめていた。
    「ご主人様、は言わないのか?忠」
    「……愛之介、様」
    どうしてという言葉は乾いた忠の口の中で消え、満足げに楽しそうに愛之介は口角を上げ笑みを浮かべた。
    ***
     「愛之介様、どうしてここに…私の学校の文化祭などに――」
    愛之介を席まで案内した忠はそうやって困惑の言葉を投げるがくすくすと愛之介は楽しそうに笑う。
    「前に、忠の部屋で見つけたんだよ。お前の部屋に行った時に」
    「ああ…成程」
    「お前が僕に渡すような素振りを見せるなら良かったんだけど最後の最後まで何も言ってこなかったから拝借した。悪かったよ、興味があったんだ」
    「いえ、別にかまいませんが…」
    よかった、と言って花が咲いたように愛之介は笑う。
    「でも喫茶店なんてすごいな。」
    「…愛之介様が普段食べているものと比べると質は下がったものにはなりますが」
    「そんなもの分かってるよ。なあ、忠のオスス 2666

    pagupagu14

    DONE僕の幸せの青い鳥 愛忠
    #春の愛忠fes2021
    愛忠が喧嘩をしてビーフをする話です。一応これも童話を絡めてるとので愛忠FES用として上げます
    僕の幸せの青い鳥 愛忠
    #春の愛忠fes2021
     はじまりは些細なことであった。けれど、以前の忠なら苦言を呈することもなかったが愛之介がゆっくり心を解きほぐした結果、忠はある宣言をした。
    「…分かりました。愛之介様、次のSでビーフをしましょう」
    「…ほう?」
    「勝った方が負けた方の言うことをなんでも一つ、聞く…ということで」
    「逃げるなよ」
    「逃げませんよ」
    そう、不敵に笑う忠にゾクリとしたものを感じたのを愛之介は静かに心の内に秘めた。
    ***
     決戦の日、キャップマンとしていつも帽子を被っている忠は帽子を腰に付けると顔を晒した。愛抱夢とスネークのビーフというのはあれ以来別におかしなことではないが今日の二人の気迫がいつもと違うことを語っていた。ブザーが鳴り、二人が走り滑る。観客に徹しているスケーター達からは驚きの声が上がった。
    「…スネーク、トーナメントの時よりも早くないか?」
    そう口にするのはチェリーで近くにいたジョー達も頷いた。視界が開けたからか、余計なことを考えずに済んでいるからか、愛抱夢と大きく距離を取って前を走り滑っている忠ことスネークは本来の力を取り戻したようにのびのびし 2383

    hinoki_a3_tdr

    DOODLEガスウィル
    ウィル女体化
    ガストを女性下着売場に放り込みたかったなどと供じゅ(ry
    ピンクや水色のふわふわとしたものから、赤や黒のきわどいデザイン、どこを見てもテイストの違う下着が並んでいるだけで逃げ場がない。自身の存在が明らかに場違いであることを肌で感じながら、ガストは足元を見つめることしか出来なかった。

    「なあ、アドラー。その、ちょっと行きたいところがあって……」
    もじもじと指をいじり、恥ずかしげに問いかける恋人に、一も二もなく頷いた。ウィルの頼み事だから、てっきりカップル限定スイーツのあるカフェだとか、購入制限のあるケーキ屋だとかそういうものだと思ったのだ。
    「……えっと、ここ?」
    「うん……」
    ウィルに連れられてやって来たのは、いかにも女の子のための店、といった外観の店だった。それもそのはず、ディスプレイに飾られているのは表に出していいのかと心配になるほど小さな布を身にまとったマネキンたち。そう、女性下着店だ。
    ガストは目を疑ったし、耳も疑った。今、「うん」って聞こえたけど実は「違う」の間違いだったんじゃないか? うん、きっとそうだ。
    「行こ」
    「お、おう」
    そうだよな、そんな訳ないよな。
    動かない俺の袖口を軽く掴んで、ウィルは店内へと足を進め 1106