二人だけの秘密だよ 閉じた目を開いた少年の視界に映り込んだのは、普段と変わらぬアオガミの表情。
少年以外にとっては、だが。
「嫌じゃ、ない?」
緊張で震える少年の声。
好きだと。愛してると伝えた少年に対して、アオガミは即座に首肯で答えた。私も同じだと。
だが、本当に同じか不安になった少年は咄嗟に動いてしまったのだ。目前にあるアオガミの首へ両腕を回し、唇を重ねた。
(どうしよう)
取り返しの付かない事をしてしまったと、少年は己の体も震え始めてきたことを自覚した。
――もしも。
もしも、アオガミの「同じだ」が自分の好きと違った場合、きっと、これから先は――。
「少年」
少年を呼ぶと同時に、アオガミは少年の背中へと両腕を回した。
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