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    りま!

    @ririmama_1101

    たまに絵とか小説更新します。
    主にらくがきなので薄ぼんやり(?)見てください。
    幻覚、存在しない記憶ばっかりです。

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    りま!

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    ▼ご注意ください。
    戴天の女装
    宗戴が牛丼を食べる
    ちょっと危ないモブ女がいます
    ギャグ(にしたかった)
    宗戴がほんの少し仲良しです
    叢雲=宗雲の前提

    #宗戴

    残り香 すまない、本当にすまないと何度も謝る宗雲にいいですよと返すしか出来ず、戴天は通話を切った。

     事の発端は宗雲からの電話だった。着信を知らせる画面を見て、戴天は目を疑った。宗雲からの着信は仮面ライダーとなってから片手で足りる程しか無い。何か緊急の用事かも知れないと思い無視することはできず、素直に通話ボタンを押す。
    「もしもし…どうしました?」
    「今忙しいか?」
    「3分程度なら大丈夫です。手短にお願いします」
    「助けて欲しいんだ」
    「は?」
    「今夜、俺の恋人のフリをしてくれ」
    「……は?」
    「……」
    「……」
     珍しく宗雲も焦っているのか、なかなか話が掴めない。さらに恋人のフリをしてくれ、なんて突拍子もないお願いに戴天ですら電話する相手が間違っているのでは?ということを言うことも出来ずに沈黙が流れる。

    「社長、お時間ですが…大丈夫ですか?」
     雨竜から声をかけられてハッとする。
    「申し訳ありません、今は時間が無いのでまたかけ直します。1時間後、お時間は大丈夫ですか?」
    「あ、あぁ…大丈夫だ…すまない」
     電話を切り、商談へ向かう。今日はこれからの商談が終わればひとまず仕事は終わりだ。
    「雨竜くん、この商談が終われば私は少し出掛けます。先に帰っていただけますか?」
    「分かりました」
    そうして2人は商談の場へ向かった。

     商談は特に問題なく終了し、ビルを出る。先に帰す雨竜を乗せた車を見送ると、戴天はスマホを見つめたまま悩んだ。こちらからかけ直すと言ったものの、気が進まない。物凄く気が進まない。しかし、相手は焦っていたようだし、伝えていた1時間後が迫っている。意を決して戴天は宗雲に電話をかけた。
    「もしもし、先ほどは途中で失礼しました」
    「あ、いや、本当にすまない」
    「とりあえず、用件をもう一度、順を追って説明していただけますか?」
     1時間空いたことと商談直後ということもあり、先ほどよりは冷静に話を聞くことができた。それは相手も同じだったようで、きちんといつもの宗雲らしく手短に要点をまとめて話し出した。

    「なるほど。つまりしつこいお客様にどうしても諦めていただくために恋人のフリを…」
    「そうだ」
    「しかし人選が私とは…他にもいるのでは?」
    「だめだ。ウィズダムのメンバーは顔が割れているし、他の奴らは未成年だったり俺と並ぶには幼すぎる」
    「はぁ…」
    「あと今から女性に見立てるには時間が無い」
    「え?女性?」
    「そうだ。しかもあの人が認めるくらい品があって、とびきり綺麗でなくてはならない」
    「あの、女性に見立てなくてはいけないのですか?それでは私では…」
    「いや、いける。お前なら大丈夫だ」
    「そんな力強く言われましても…」
    「とりあえず仮面カフェに一度来てくれないか?VIPルームを抑えてる」
    「…それは私の女装姿をエージェントや藍上さんに見られるということですか?」
    「…すまない」
     そうして何度も謝る宗雲に断れる気がしなくて、戴天は仕方なく仮面カフェに向かった。

     向かった仮面カフェで宗雲自ら戴天に化粧を施し、髪の毛をセットされる。着替えて来いと言って渡された紙袋には衣服と靴。戴天も宗雲と背が変わらないので、ローヒールのパンプスに肩幅を隠すようなボリュームがあり胸を隠すようなトップス、骨格を誤魔化すためのロングスカート。服も靴もサイズがピッタリだったことにはあえて言及しなかった。
     着替えた戴天を一目見たエージェントとレオンは、パッと目を輝かせ、
    「わぁ!戴天さん綺麗です!」
    と拍手する始末。もうその頃には抵抗する気力すら失った戴天は苦笑いを漏らすしかなかった。宗雲は満足そうに戴天を眺め、よしと頷く。
    「やはりお前に頼んで良かった」
    「そうですか……」
    鏡に映った自分の姿は、写真で見た若い頃の母親そっくりでなんとも言えない気持ちになった。

     どこに行くのか何をするのか聞かされないままタクシーに乗せられ、降りた後、宗雲の隣を歩いていた戴天は、どんどんと見覚えのある道に入っていくことに気がついた。
    「あの、もしかして、ウィズダムに向かってます…?」
    「あぁ。あの人はこの付近を張っているはずだからな」
    「張っているって…もしかして」
    「そういうことだ。かなり危ないレベルの行為を繰り返している」
    「警察には?」
    「あまり事を大きくしたくない」
    「あなたのことを探られるのが嫌だから、ですか?」
    「……」
     チラリと戴天を見た宗雲が何か言おうとした瞬間、
    「宗雲…!!」
     こちらに駆け寄る女性。その姿を見た瞬間、宗雲が戴天を隠すように腰を引く。
    「宗雲!どうしてお店にいないの?今日は私が行くって言ったじゃない!……誰?その人……」
     今まで笑顔で宗雲に話しかけていた女性が戴天に気づいた途端、表情が曇る。
    「誰よ、その女…!!!!私だけって言ったじゃない!!ねぇ!誰よ!!」
     悲しげな顔をしたと思ったら怒りの形相に変わる。表情の変化が激しいなとどこか他人事のように眺めていた戴天の顔の横を不意に何かが掠める。宗雲の手だ。
    「こいつは…俺の恋人だ」
    「…!!!!」
     叫んでいた女性の表情が驚愕に変わる。ついでに戴天の顔は少し引き攣った。戴天を睨み、腕をわなわなと振るわせ、女性が走り去っていく。その姿が見えなくなると、ようやく宗雲は戴天の頬に添えていた手を離す。
    「ふぅ…。これで彼女も無駄な幻想は抱かないだろう」
    「すごい表情をしてましたね、少し可哀想でした」
    「ウィズダムでは夢のひとときを過ごしてもらう場所だ。その他では関わらない。…まぁ浄は違うみたいだが」
    「まぁあの人はそうでしょうね。この前絡んできたので少し情報を流したらすぐに女性から電話が掛かってきましたし」
    「なに?絡まれたのか?」
    「気になるのはそっちですか…。えぇ、事あるごとに絡んできては情報を得ようとしてきます。あなたよりしつこいかも知れません」
    「あいつ…」
    「さて、もう用事は済んだでしょう。私は帰ります」
    「待て。そのままのお前を1人にして帰せない」
    「は?」
    「まだ彼女が付近をうろついてる可能性だってある。あとお礼がしたい」
    「お礼など不要です。男女の修羅場…というのでしょうか。あんな間近で見る事なんて無いので」
    「それでは俺の気が済まない。何かさせてくれ」
    「何かって……あ、」
    「なんだ?」
    「あの、私…牛丼が食べてみたいです」
    「え?」
    「この前ジャスティスライドの皆さんが言ってたんです。⚪︎野屋の牛丼が安いのに美味しいって…。私そういうものを食べたことがないので一度食べてみたかったんです」
    「そんなものでいいのか……?」
    「とても興味があるんです。この前初めてコンビニのコーヒーを飲んだのですが、美味しくて。皆さんが普段口にされているもの、私も口にしたいです」
    「分かった。近くに店があるからテイクアウトしよう」
    「テイクアウト?」
    「俺はともかく、お前の今日の身なりでは浮いてしまう。持って帰って俺の家で食べよう」
    「あなたの家まで行くんですか?」
    「この近くだしそのまま着替えて帰れるだろう。そんなに警戒しなくても何もしない」
    「……分かりました。それでは」
    「あぁ。少し歩くぞ」
     そうして2人分の牛丼を買い、宗雲の自宅へ向かう。心なしか戴天がわくわくしているようで思わず宗雲の頬もゆるむ。

     宗雲の自宅へ着き、テーブルに買ってきた牛丼を並べる。お酒を出そうか迷った宗雲は、結局お茶を2人分準備する。
    「いただきます」
     そう言って恐る恐る牛丼を一口食べる姿を見て、牛丼なのに食べる人が違えばこんなに上品に見えるんだなとぼんやり考えていた宗雲だが、何も言わない戴天に気づいて声をかける。
    「どうした?口に合わないのか?」
    「…いえ、とても美味しいのですが、少し私には味が濃いみたいで。でも美味しいですね。若い子達がいかにも好きそうです」
    「安いしな。年齢層は広いと思うが」
    「そうなんですね。まだまだ私にも知らないことがたくさんあります」
     ポツポツと会話をしながら全て食べ終えた戴天に宗雲が話し出す。
    「実は今日のことでお前に嘘をついていた」
    「え……?」
    「あのお客様の対応については前から困っていた。なんとかしようとウィズダムメンバー…というか浄に対応するように言ったんだが、別のお客様の対処を任せたことを根に持たれていて。今度は自分で解決しろと言われてしまってな」
    「つまりあなたが考えついた策だった、と」
    「そうだ。やろうと思えば他に方法があったかも知れない。ウィズダムに関係のない誰かを巻き込まない方法も。けど思いつかなかった」
    「まぁ……最善かどうかは首を傾げたくなる形でしたしね」
    「言い返す言葉が無いな。ただ、お前を選んで本当に良かったとは思っている」
    「そうですか?お役に立てたようで何よりです」
    「お前は本当に綺麗だな。そんなお前と一瞬でも2人きりで会えて良かった」
    「……どうしたんですか、突然」
    「浄も颯も皇紀も、お前と会った時のことを話していたことを思い出した。単純にずるい、と思ったんだ。俺だってお前と話がしたい。もちろん過去のことを水に流せとは口が裂けても言えない。けど、どうしても」
    「ふふ」
    「何がおかしい」
    「あなたが嫉妬だなんて。珍しいですね」
    「俺だって嫉妬くらいする」
    「ずいぶんと可愛らしい」
     未だにおかしいのか、くすくすと笑っている戴天に愛おしさが込み上げる。衝動のままに手を伸ばそうとする宗雲を戴天の声が静止する。
    「待ってください。このままの格好は嫌です。メイクも落としたいですし、服も着替えたいです」
    「分かった。待ってろ」
     宗雲はリビングの片隅に置いてあった着替えを戴天に渡し、洗面所に行くように告げる。
    「クレンジングは洗面所に置いてあるから使え」
    「へぇ。あなたクレンジングなんて使うんですね」
    「何が言いたい。お前のために買っておいただけだ」
     最初から私を部屋に連れ帰る予定だったんですか、なんて野暮な質問はしない。別にそうでなくても、女性を部屋に入れていても構わなかったのだ。なのに、宗雲の回答にどこか安心している自分がいて、戴天は細く息を吐く。

     洗面所でメイクを落とし、着てきた服に着替える。だらしがないとは思いつつスラックスとシャツだけを身に纏い、リビングに戻る。
     机の上はすっかりと片付けられ、ワインボトルとグラスが2つ置いてある。
    「あまり長居するつもりはありませんよ」
    「いいから、とりあえず座れ」
    「全く。強引な人ですね」
     戴天がソファーに座ると、慣れた手つきで宗雲がグラスにワインを注ぐ。どうぞ、と差し出されたグラスを持ち、カチリとグラスを合わせる。飲む前に香りを嗅ぎ、一口飲むとまろやかで上品な味が広がる。さすが高級ラウンジの支配人、お酒選びに間違いは無いようだ、と戴天は感心する。
     じっとりとした視線を肌に感じ、グラスをテーブルへ置くと、間を置かずに宗雲の手が戴天の顔へ伸びる。
    「何もしないんじゃなかったんですか」
    「お前が可愛くて」
    「接客の常套句ですか?」
    「今は接客中じゃない」
    「どうだか。そうやってあなたは女性を」
    「いいから、黙れ」
     まだ何か話そうとする戴天の頬を両手で挟むように包み、顔を寄せて口を塞ぐ。ぐっと閉じられた戴天の唇を舌で舐めとる。
    「んん、……ッ」
     くぐもった声を漏らす戴天の唇が驚きに少し開いた隙を見逃さず、舌を差し入れる。先ほど飲んだワインの味が広がる口の中を宗雲の舌が無遠慮に蹂躙する。
     宗雲が唇を離すと、息を乱した戴天が宗雲を睨む。白い肌が上気し、ほんのりと赤い。
    「ごちそうさま」
     戴天の目を見つめたまま、宗雲は自分の舌で自らの唇を舐めとる。戴天は恥ずかしさに手で顔を覆う。
    「あなたって……前よりも粘着質になりました?」
    「さぁどうだろうな。ただ、離れている間にお前への執着は増したかもな」
    「唖然失笑。自ら手放した人間の言葉とは思えません」
    「過去はもう変えられない。ならばこれからを変えるしか無いだろう」
    「非常に前向きで結構。私とは違いますね」
    「どういう意味だ?」
    「私は過去も大事にしています、ということです。さぁ、そろそろ本当に帰らないと」
     ちらりと時計に目をやった戴天が、ソファーから立ち上がる。上気していた頬はすっかりと白さを取り戻していて、先ほどまでの甘い雰囲気は霧散していた。
    「すぐにタクシーを呼ぶ」
     職業柄よく呼ぶのだろう、慣れた手つきで宗雲がタクシーの手配を始めたのを見て、戴天も帰る支度を始める。ネクタイを締め、ジャケットを羽織る。

     見送りは不要です、と玄関で靴を履こうとしていた宗雲に戴天が断りを入れ、そのまま家を出ていった。リビングに戻ると、わずかに戴天から香る匂いがして、ほくそ笑む。そのまま窓に向かい、タクシーが止まるであろう場所に目を向けると、ちょうど戴天がタクシーに乗り込むところだった。タクシーのドアが開いた瞬間、こちらを見上げた戴天と目が合った、ような気がした。それが気のせいでも良かった。この部屋に香る戴天の香りが真実だった。

    end
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