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    第二十八回膝髭ワンドロワンライ「可愛がる」

    ##文章

    語られざる恋心の話 膝丸は鏡の前に立って、髭切と出かけるのにふさわしい自分であるかを確認した。もう三回は確かめたが、それは自分の目を疑ってのことではない。いつも通りの自分であると言い聞かせて、落ち着くためだった。
     もちろん、普段より魅力的に見えるような工夫を凝らすことも考えた。しかし頓着のない兄のことだからどうせ気づかれないし、万が一気づかれて張り切ってるなあなんて思われるのも、恥ずかしくて嫌だ。なるべくいつも通りの自分で、いつも通りに接したい。二振きりになれるせっかくの機会を台無しにすることだけは、絶対に避けたい。
     膝丸は、髭切に長いこと片思いしている。きっかけが何であるかはもう忘れてしまった。膝丸たちは下された命に従うためにここに在り、本丸での生活はほとんど任務を全うするために組み立てられていた。自由時間や休暇中の過ごし方は個刃の自由だが、一度任に就けば、昔馴染みや兄弟であることは一切関係が無くなる。
     一つ屋根の下にありながらなかなか会えない状況が気持ちを加速させたのかもしれない。今では膝丸は、兄を思うだけで落ち着かなくなり、本刃を前にすると普通に話すのでも一苦労という有様だ。休みが重なる日を見計らって出かけないかと誘うだけで、口ごもって赤面しそうになる。
     思いは日に日に強まるが、自分たちの立場をわきまえている膝丸に告白する心算は無い。それでも時々、兄が自分をどう思っているかとか、自分の思いを兄は知っているだろうかなんて考えては、堪え難い胸のうずきを自ら呼び起こしている。
    「準備できた?」
     不意の呼びかけに心臓が飛び出しそうになった。部屋の外から聞こえてきたのは兄の声だ。わざわざ迎えにきてくれたのかと、緊張が一気に高まる。
    「あ、ああ。今行く」
     襖を開けると、あたたかな微笑みを浮かべた兄がそこにいる。膝丸は努めて冷静に口を開いた。
    「待たせてすまない。もう出られるぞ」
    「じゃあ行こうか」
     髭切は頷いて、先に立って廊下を歩いた。優しい声音に膝丸の緊張は次第に落ち着いてきた。
     出かける約束はしたが、行き先までは決めていなかった。本丸の外へ出ていく髭切を追いかけ、膝丸は尋ねる。
    「今日はどちらに?」
    「ないしょ。と言っても、大したところじゃないけど」
     そんなことはない、兄者と居られるならどこだって素晴らしいところだ。大きな声で言ってのけられるのは、妄想の中の自分だけだ。実際は首を横に振りながら笑ってみせるのが精一杯だった。
     ちょっと遠いかもしれないなあとつぶやいた髭切の手が、不意に膝丸の手に重なる。ぶつかっただけだと思ったが、兄はそのまま膝丸の手を優しく掴んでいる。温もりが伝わってきて、事態を理解した心臓が早鐘を打ち始めた。一体どういうつもりでと窺い見ても、髭切は弟の手を握ったまま、まるで何も起こっていないかのように、のどかな道をまっすぐ見つめて歩いているのだった。
    「やあ、着いた着いた。ここだよ」
     ぎくしゃくした膝丸の歩みにすら一切気づかない様子で、髭切は弟を一本の木の下へと導いた。
     それは田舎道の途中の、何でもない古木だ。しかし腰を下ろしてみると、遠くの山に桜が咲いているのが見えた。目の前の野原にはすみれやおおあらせいとうが咲いていて、気の早い蝶が二三頭舞っている。
     ああ、本当にどこだって素晴らしい。
     膝丸はとてつもない幸運に恵まれたような気がした。暖かい春の日に兄と肩を並べて話をするなんて、他の膝丸からしたら当たり前のことかもしれない。髭切からしたってただの散歩に過ぎないかもしれない。けれど膝丸にとってはまるで夢の出来事のように感じられた。
     他愛もない話をいくつもして笑いあっていると、髭切は突然膝丸に向き直り、再び手を取った。何が起きているのか分からず、膝丸は兄を見る。心臓が身体中に散らばってしまったかのように、あちらこちらで脈動を感じる。手は、離れない。
     髭切はただ笑顔を浮かべているだけだ。膝丸は兄の目の中に吸い込まれそうになっていた。彼から目が離せない。このままあと何寸か寄り合えば、口吸いだってできてしまう距離だ。ぼんやりした頭にそんな考えが浮かんだとき、髭切は突然膝丸の手を離して立ち上がった。
    「帰ろうか」と髭切は笑顔で言う。
     立ち上がり、兄を追う膝丸の心は深く沈んでいた。
     手に触れられただけで舞い上がった自分が恥ずかしい。あまつさえ、髭切も自分と同じように感じてくれているのではなどと思ってしまった。兄は優しいから、なかなか会えないことで自分が寂しがっていないかと気を使ってくれたのだろう。それを自分の良いように考えたりして、情けない。
     髭切は、歩みの遅い膝丸に歩幅を合わせてくれている。そのことに気が付いて、膝丸はもう一度兄を見た。
    「なあに、変な顔して」
    「……何でもない」
    「お腹すいた?」
    「それは兄者だろう」
     たとえ同じ思いでなくても良いと、膝丸は改めて思う。かけがえのない時間を共に過ごしてくれる兄への感謝が恋心を慰める。こうして時を重ねられるだけでも、膝丸には幸せなことだ。

     しかし、膝丸は知らないだけなのだ。隣を歩く兄が、弟の奥手っぷりをたいそうかわいいと思い、状況を楽しんでいることを。

    「夕飯は何かなあ」
     兄ののんびりした声を聞いて、膝丸はすぐに、「兄者の好物だといいな」と返答した。二振りの手はもうぶつからない距離にあったが、話し合う声は本丸に戻るまで、幾度も幾度も交わされた。



    (以下GPT出力の本文)
    Hizamaru stood in front of his closet, anxiously contemplating what to wear for his date with Higekiri. He wanted to look his best, but he also didn't want to appear too desperate. After all, he had been harboring a crush on Higekiri for what felt like ages, and he didn't want to mess up this opportunity to spend time alone with him.

    As he sifted through his clothes, Hizamaru's thoughts turned to Higekiri. He couldn't help but wonder what Higekiri thought of him. Did he even know that Hizamaru had feelings for him Hizamaru blushed at the thought of confessing his love to Higekiri. He was so shy and awkward around him that he could barely manage a coherent sentence, let alone pour out his heart.

    Just then, his phone rang. Hizamaru's heart skipped a beat when he saw that it was Higekiri calling.

    "Hey, Hizamaru, are you ready" Higekiri's voice was warm and friendly, and Hizamaru's nerves began to settle.

    "Y-Yeah, I'm ready," Hizamaru replied, trying to keep his voice steady. "Uh, where are we going"

    "It's a surprise," Higekiri said with a chuckle. "But don't worry, it's nothing too fancy."

    Hizamaru smiled to himself. Even though he didn't know where they were going, just being with Higekiri was enough to make him happy.

    As they walked together, Higekiri suddenly took Hizamaru's hand. Hizamaru's heart raced as he felt the warmth of Higekiri's hand on his own. He looked up at Higekiri, but Higekiri was looking straight ahead, seemingly unaware of the effect his touch was having on Hizamaru.

    They arrived at a small park, and Higekiri led Hizamaru to a secluded spot under a tree. They sat down together, their shoulders touching, and watched as the sun began to set.

    Hizamaru couldn't believe how lucky he was to be here with Higekiri. He knew that it was just a date, but it felt like so much more to him.

    As they chatted and laughed together, Higekiri suddenly turned to Hizamaru and took his hand once more. This time, he didn't let go.

    Hizamaru's heart was pounding as he looked into Higekiri's eyes. He couldn't believe what was happening.

    But then, just as suddenly as he had taken Hizamaru's hand, Higekiri let go and stood up.

    "Let's head back," he said with a smile.

    Hizamaru's heart sank as he stood up and followed Higekiri out of the park. He couldn't help but wonder if Higekiri had felt the same way he did, or if he was just leading him on.

    But deep down, Hizamaru knew that he didn't care. Even if Higekiri didn't feel the same way, he was still grateful for this moment they had shared together.
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