桑名江はキスがしたい【くわぶぜ】「おけーり、桑名。今日も畑楽しかったか?」
ニコニコの笑顔で、豊前が両手を広げて胸に飛び込んでくる。
僕はそれを、両手を広げて受け止める。
「うん、いっぱい収穫したよぉ」
僕が、豊前の身体を引き離すようにして声をかけると豊前は満面の笑顔で「そっか、よかったな」と言いながらその唇に優しくキスをした。
これは大広間での出来事。
夕食前のひととき、歓談するもの、テレビを見るものなどたくさんの刀剣男士たちが集う大広間での出来事だ。
キスをする僕たちに、びっくりするもの。冷やかしの声を上げるもの。にこやかに微笑むものなどその反応はさまざまだが、豊前は、そんなことは全くお構いなしのようだった。
まあ、僕も豊前のかいた胡坐の膝に、頭を乗せようとしているわけだし、僕たちが恋人同士だということを知らない男士はこの本丸にはいないわけだし、日常の後継だといわれればその通りなのだが……。
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