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    kamaitati88

    @kamaitati88

    彼方小(かなた ちい
    官ナギオンリー

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    kamaitati88

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    官ナギ ⚠️316話ネタバレ注意
    勝手な考察と、こうなればいいなという話
    途中地獄絵図です、でもハピエンだと思います
    正直、途中で終わってるけどこれがとりあえずのエンドって事にしてほしい

    #官ナギ

    ばれたとしても見つけた、我が息子


    私の血に唯一適合したのがあの小汚い餓鬼一人だったのは誤算だったが…
    充分に成長しているようだった
    しかし成長しても小汚く力が弱まっているようだ、あれでは躰を奪い取り込んでも使い物にならないだろう
    血をあげないとなァ

    薄暗い路地裏の奥にあった小さい人影が細く長く伸びていく
    その姿はまるで辻斬りナギリのようだった


    ────────────────


    「はぁ、はぁ…!」

    「おや?先生!署の前でどうされました?」
    「カンタロウさん!!はぁ、はっ、アシさんが!」
    虚弱なダンピールで漫画家の神在月が吸血鬼対策課に所属しているケイ・カンタロウの肩を掴む

    「アシさん?もしや辻田さんでありますか!!!!!お会いしたのですか!!!」
    「耳が!!!」
    爆音が虚弱なダンピールを更に弱らせる

    「先生!辻田さんにお会いしたのですね?!辻田さんは今何処に!!」
    「カ、カンタロウさんっおぢづいでッ」
    グラグラと揺さぶられダンピールは瀕死だ
    「ハッ!!これは失礼しました!!署内でお話を伺いましょう!」

    肩を支えられながら新横浜警察署内吸血鬼対策課の会議室らしき部屋に案内された
    (うわー凄い署内はこんな風になってるのか、こんな時でなければ資料用にもっと観察したかった)
    署内をジロジロと観察し、お茶を出してくれた小柄な女性にお礼を言う
    (内勤なのかな、スカートの制服もあるのか〜)
    いけない、今はそんな事よりもアシさんだ

    しかし勢いで来てしまったが、なんて説明すればいいだろうか
    まずこの人に勝手にアシさんの正体を伝えてもいいのだろうか

    辻斬りナギリ───危険度Aオーバーの吸血鬼。多くの人間を襲った吸血鬼。
    ここにいる彼もその被害者の一人だ
    そしてその吸血鬼と知らず、辻田さんと慕っている
    そんな彼に俺からバラしてもいいのだろうか

    でも、彼ならアシさんに何があっても止められるような気がしたんだ
    とても思い詰めた顔をしていた、また斬るんだと、元の自分に戻るんだと
    本当に戻りたいか聞いた時、泣きたそうな、道に迷う子供のような顔をして逃げてしまった

    何をするかわからない、止めてあげなきゃ
    それには彼が必要だ、ヒーローを熱く語ったヒーローの思想を持つ彼に。


    「アシさんは、」
    「彼が辻斬りナギリなんだ」

    「………?何を仰っているのか、わかりません」

    「彼があの、辻斬りナギリだったんだ。本人に聞いた訳ではないけど…」
    ガタンッ
    「あの辻田さんを!!!辻斬りと一緒にしないで頂きたい!!」
    机を大きく動かし、責めるように言った
    「実は、何度か思った事はあったんだ」
    「なにを、まだ言って…!」
    「き、聞いて!お願いだ!カンタロウさんの声量に勝てる気がしないから…」
    「……どうぞ」

    「彼に最初に会った時、すぐに吸血鬼だってわかった。俺、ダンピールだからね。」
    「……」
    「彼にはよく漫画のアシスタントをしてもらってて、彼トーンが上手いんだ」
    「でも、いくらトーンを削ってもカッターの刃を替える様子が無かったんだ」
    「不思議に思って手元を見たことがあってね、指先から、赤黒い刃が見えたんだ。今思えばあれが血刃だったんだ」
    「……」

    彼は悲しい、裏切られた、困った、何か思う事があるような、表情をコロコロ変えて、最後には複雑な顔をしていた

    「さっき、アシさんが家に来たんだ」
    「!!!辻田さんが?!やはりお会いしていたのですね?!今何処に!!!」
    「耳が!!!」
    静かだった彼はまたいつもの爆音で話し出した

    「そ、それが、アシさん、また人を斬って元の不死身に戻るんだって」
    「なッ」
    「俺が、本当に戻りたいのか聞いたら…走って逃げちゃって」

    「ねぇ、彼、どうしたらいいのか、わからないんだと思う、」
    「止めてあげてよ、俺ではアシさんを止められない、辻斬りを追っている君なら…!」

    「…先生は先程、ダンピールだと仰ってましたよね?辻田…ナギリの居場所に心当たりは?」

    彼の目はもう覚悟を決めていた

    「俺は力の弱いダンピールだよ。あんまり得意じゃないんだ、ごめんね」
    「そうでありますか…ではダンピールの先輩がいますので応援をお願いしてみます。」
    「吸対のダンピールか!それは凄そうだ!何も出来なくて申し訳ないけど、アシさんの事お願いします」
    「絶対に止めてみせるであります!ここに相談しに来て下さりありがとうございます!」



    ────────────────



    「はぁ…」

    人を斬ることもできない、あの吸血鬼達の輪に入る事も出来ない
    人生を、夢を、奪ってしまった、アイツに会う事ももう出来ない
    気持ち悪い

    俺は、なんで生まれてきたんだろう
    昔の記憶が曖昧だが、人間だった頃の少ない記憶も碌な記憶がない
    吸血鬼にさせられたあとだってそうだ。
    助けを求めても助けてもらえた事はなくて、殴られて虐げられて
    気づいたら血刃が出ていて、生きる為に人を襲うようになった

    分霊体を作ってからは痛みも無くなって何されても何も感じなくなった
    痛みも悲しみも何も湧かなかった
    全てが快感で楽しんで人を斬っていた

    そうだ、人を斬ること自体に何も思わなかった

    『辻斬りに斬られたあの夜以来!描きたいものなど何一つ無くなりましたので!!』

    もう吐くものなんて体に残って無いのに、俺は何度目か、もうわからない吐き気に襲われた



    ────────────────



    「半田先輩!!!辻斬りナギリの気配ありますでしょうか!!!」
    「他の吸血鬼の気配は感じるが…本当にこんな街中に辻斬りがいるのか…?」
    「先程見回った路地裏などにいないとなれば!人が沢山いる街中にいるかと思いまして!!!」
    「うむ…」

    半田先輩に協力をお願いし、よく辻田さん…がいた場所を見て回った
    辻田さんに会えなくなってから何度も行った廃ビルには、もう住んでいないのだろうと行っていない

    「カンタロウ!」
    「は、はい!」
    「何か、近くに強い吸血鬼の気配がするぞ!」
    「つ、辻斬りナギリでありますか?!」
    「わからん!だが、この人混みにいる事は確かだ!」

    辻田さんがいないか周りを見回す
    「人が多すぎて…どの方向にいるか、わかりますか?」
    「気配がデカすぎる、デカすぎてわからん!どんな吸血鬼かわからん、念の為、隊長に連絡をしておこう」
    「お願いします!」

    辻田さん、辻田さん、辻斬りナギリ…!
    何処に、
    何処だ、




    人混みから少し離れたところに人影が見えた

    いた



    「おい!カンタロウ!何処に行く!いたのか?!」


    あの長身、フードの後ろ姿、辻田さんだ、辻斬りナギリだ
    駆け寄って肩を掴み振り向かせる

    「辻田さん!!!!!!」

    ギョロッとした目が本官を見た


    「誰ダ?」


    咄嗟に距離をとった
    誰だ、辻田さんじゃない
    見た目はほぼ辻田さんだが辻田さんではない
    辻斬りナギリではない
    直感的にそう思った


    「カンタロウ!急に走って行くな!いたのか!辻斬りは!」
    「辻斬リ…我ガ息子ヲ弱ラセタノハ貴様カ?少シ血ガ混ジッテルナ…」

    「斬リ捨テトクカ」

    ___ザシュッ

    「カンタロウ!」


    一瞬だった一瞬で間合いに入られ肩から胸にかけて斬りつけられた
    ナギリと同じ血刃で
    しかし、いつもの防刃服を着ていた為、体にまで刃は到達しなかった
    防刃であるはずのこの布が、体に届く手前まで斬られてしまっているが

    半田先輩が察知した強い吸血鬼は、目の前の吸血鬼で間違い無いだろう
    なぜ、辻斬りと同じ姿で、同じ血刃を使うのかはわからない
    息子__先程そんな事を言っていた気がする
    これが辻斬りの親玉だとでもいうのだろうか

    「半田先輩!大丈夫です、体まで到達しておりません!」
    「そうか!よかった!これが辻斬りナギリなのか?」
    「いえ、本官が知っている辻斬りナギリとは違います」
    「だが血刃を使っているようだぞ!」
    「それは!…本官にもわからないでありますが、」


    「防刃カ…ソウダ、コレヲ吸ワセヨウ、チカラモ戻ルダロウ」


    「カンタロウ!来るぞ!!」
    「はい!!!!」

    パイルバンカーを構え、打ち込む姿勢をとる
    奴が近づきトリガーに指をかけ力を入れる
    杭が打ち込まれ、奴の腹に直撃した

    嗚呼、奴も不死身だったのだ
    上から攻撃を仕掛けられた為に天に向かって放った杭は、奴の腹にこそ入ったが動きを止める事まではできず、先程斬りつけられボロボロになった防刃服の上を同じように斬られた
    今度は刃が体まで到達し、出血が止まらない
    意識が遠のいていく
    遠くのほうで半田先輩の声が聞こえたが体が浮く感覚がしたあと意識を手放した

    「カンタロウ!クソッ」
    __ジジッ
    『半田か!今退治人にも声を掛けて、そっちに向かっておる!』
    「隊長!カンタロウが謎の吸血鬼に襲われ、攫われました!」
    『なんじゃと?!』
    「辻斬りナギリと特徴が似ていますが、カンタロウが言うには辻斬りではないそうです」
    『戻ってくるかもしれん!市民を誘導し避難させ、待っててくれ!』
    「了解!」




    ────────────────




    ドサッ

    目の前に突然現れた傀儡のような姿
    忘れもしない、俺を吸血鬼に変えた化け物
    俺の足元に転がったのはカンタロウだった
    真っ白い隊服が真っ赤に染まっていた

    「おぇっ」

    目の前に現れたトラウマ二つに思わずえずいた


    「長ク血ヲ吸ッテイナイナ…持ッテ来テヤッタタゾ?吸エ」


    急に現れた化け物が、まるで雛に餌をやる親のような事を言いニタリと笑う
    何が持って来てやっただ、望んでいない
    なぜ俺の人生はどれも思うようにならない
    離れようと避けた警官は今、目の前で真っ赤に染まっている
    奪ってしまった罪悪感を意識してしまった俺には避ける事しか出来なかったのに
    避けた結果がこれか?
    俺のせいで今度は命まで失うのか?こいつは


    クソッ
    死ぬなよ、バカンタロウ


    カンタロウにゆっくり近づき、血刃を構える
    刃がカンタロウに当たる直前で引っ込め抱きかかえ、窓から飛び降り逃げた

    よかった、まだ息がある、生きてる

    あの辻斬りナギリが滑稽だ
    かつて自分が斬りつけた警官を今度は助けようとしているなんて

    奴はすぐ追ってくると思ったが追ってくる気配はまったくない
    追う必要すらない程、きっと俺は弱っているのだろう


    「おみゃーさん!辻田じゃな?!な…ッ!カンタロウかそれ!」
    目の前から走ってきた吸対服を着た小柄な男
    「おい!こいつをどうにかしろ!死んでしまう!」
    「すぐそこにVRCを呼んである!そこまで運んでくれ!」
    「チッどこだ、早くしろ!」
    場所は近くの公園らしい、誘導され急足で向かう

    「おみゃーさん、辻斬りナギリ…じゃな?」
    「…気づいていたのか」
    こいつ、一瞬で俺の正体に気づいたのか?
    「善良な市民から辻斬りナギリについて報告があっての。カンタロウは数時間前に報告を受け、辻田が辻斬りと知り、おみゃーさんを探しておったんじゃ」
    善良な市民__きっとあのクズの事だろう。
    「カンタロウを襲った吸血鬼は何じゃ?おみゃーさんは見たのか?」
    「あれは…俺を吸血鬼に変えたやつだ。一度しか会った事はないし、なぜカンタロウを襲ったかは知らん」
    「おみゃーさん元人間だったのか?!」
    「昔の話だ」

    VRCの車にカンタロウを預けた
    俺は廃ビルに戻ろうとしたが吸対の男に止められた
    「おみゃー太刀打ち出来ずにカンタロウ運んできたんじゃろ、今行ってどうする、最悪殺されるだけじゃにゃーか?」
    「…」
    「とりあえずVRCに行っておみゃーも治療をうけろ、相当弱っているように見えるぞ?」
    小柄な男がニヤリと笑ってみせた

    ムカつくが実際に戦う力はほとんどない
    もう、気づけば長い間、血を吸っていない
    あのバカから貰っていた和菓子や、クズに貰うよーぐるとも食べてない
    血刃も刃こぼれどころか短い血刃しか出なくなってきている
    大人しく従うほかなかった



    ────────────────



    「良かったー!本当に良かった!アシさん見つかって!!」

    俺はあれからVRCで過ごしてる。特に拘束もされずに。ここの奴らは馬鹿ばっかなのか?
    俺は辻斬りナギリだぞクソが。
    目の前で喧しく泣き喚くこのクズは、小柄な吸対__ヒヨシから連絡がいき、来たらしい

    「君があんな事言うから凄い心配したんだよ、」
    「……」
    「カンタロウさん、まだ目が覚めないんだって?」
    聞き辛そうにそう言った
    「傷は治ったらしい、あんなに斬られたのに痕も残らんそうだ」
    「そうか、早く目が覚めると良いな」

    目が覚めたら、どんな顔で会えばいい
    俺が斬った事で人生を奪われ、夢を捨て、あげく命まで失いかけた

    「アシさん、君が辻斬りだったとしても、俺は君を信じているよ。もう君は、人を襲う吸血鬼には見えない。これからは俺たちと共存できるよ。だからカンタロウさんも大丈夫だよ。」
    「…カンタロウは辻斬りを恨んでる、俺は倒すべき相手だろう。当たり前だ、俺があいつを斬ったんだ」
    「でも助けたでしょ?」
    「今更だ」

    「…早く、目が覚めると良いな。また来るね、今度またヘルプお願いします!!!」
    「貴様アホなのか?!辻斬りだぞ?!まだ俺にヘルパシさせる気なのか?!」
    「え!!もうしてくれないの?!オーン!頼む!このゴミ虫を助けてくれー!」
    「うるさい!!殺すぞ!!とっとと帰れ!!」




    ────────────────



    「辻田さん、あ、えっと、ナギリさん?」
    「……」

    カンタロウが目覚めた
    ヒヨシに案内され、病室に向かえばカンタロウがいつものようにヘラヘラと笑っていた

    「ナギリさんが本官を助けて頂いたとお聞きしました!!ありがとうございます!」
    「お前馬鹿か?俺は辻斬りナギリだぞ?」
    「はい!知っております!!しかし!本官が何度も貴方に助けて頂いたのも事実であります!!」
    馬鹿がニコッと笑った

    「辻田さんが辻斬りナギリだと先生に言われた時は、確かに動揺しましたが…辻斬りナギリが貴方で良かった」
    「は?」
    コイツは何言ってるんだ?

    「本官が辻斬りを追っていたのは、逮捕し更生させる為でしたので!辻田さんは、ナギリさんはもう更生しておりました!」
    「…ッ、俺は更生なんてしてない、不死身じゃなくなってお前の武器に怯えて、息を潜めていただけだ」
    「たとえそうだったとしても、貴方は人を襲わずに、本官や子供を救い、先生のお手伝いをしておりました。これは更生だと本官は考えます。」
    「…お気楽な馬鹿だな」
    この新横には馬鹿しかいないのか?人間も吸血鬼も馬鹿ばっかりだ
    特にコイツは大馬鹿だ、馬鹿。鼻がツンときたが堪えた。


    「本官を襲った吸血鬼は、ナギリさんを吸血鬼に変えた吸血鬼だとお聞きしました」
    「ああ、そうだ」
    「貴方と本官の敵は同じ、ナギリさん、本官と一緒にあの吸血鬼を倒しましょう!」
    「あいつの事も逮捕する気なのか?」
    「いえ、相手は幼いナギリさんを襲った吸血鬼だとお聞きし…本官、怒りがおさまらないであります」
    「…?なんで貴様が怒るんだ?」

    カンタロウは困ったように笑って、それはいずれお伝えしますね、とはぐらかされた。
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