突然の首の圧迫感、後ろに傾く体、鼻を掠める割れたビン
「っ!!」
すぐに体勢を立て直し、空振ってバランスを崩している相手を踏み倒す。
後ろを振り返ると敵の横っ面を銃で殴り倒す有馬がいた。他の連中は仲間を見捨てて逃げたようだ。
「有馬くん、グリップで殴ると銃が傷みますよ。」
「うるせぇいちいち指図すんな。」
「話してる場合ではなさそうです。あちらは僕らが何者かもわからず絡んできたようですが、通報されるのも時間の問題ですし。」
後始末もそこそこに、足早にその場を去る。
「悪ぃ。」
「あ?なにが。」
現在の拠点まで逃げ戻り、有馬へ話しかけるもこの態度。
「助かった。」
「…?あぁ、別に、なんて事ねぇだろ。」
言葉足らずな谷ケ崎の意図は二言目で有馬に届いた。
997