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    こはく

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    こはく

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    🔗👟。付き合って1年ちょっとのある朝。

    #negibanana

    名前のない朝「………ん、」
    がさごそと何かが動き出した音を聞いて、シュウは穏やかに目を覚ました。
    「あ、せんぱい。すみません起こしちゃって」
    たしか今日はお仕事お休みでしたよね、と申し訳なさそうにあたふたしているのは、半同棲状態の恋人、サニーであった。
    「ん〜ん。しごと、いくの?」
    サニーはひゅっと息を呑んで、視線を斜めに逸らした。
    何かを察したその顔は、既に真っ赤であった。
    「いっちゃやだ」
    そう言いながら、シュウは彼が着ていた灰色のTシャツの裾を控えめに引っ張る。
    サニーは声にならない叫びを噛み締めながら、逃しきれなかった分で近くの机を叩いた。
    そのまま何とか精神状態を整えてから、言った。
    「せ、せんぱいあの、俺ちゃんと帰ってくるし、朝も昼も作っておくんで…」
    「ん〜?」
    曖昧な返事が返ってくる。
    シュウはまだ、ふわふわとした意識の中にいた。
    のそり、とベッドから降りて立ち上がると、彼の体にはだいぶ大きいサニーのTシャツから、真っ白な素足が露わになった。
    「ズボン!履いてください!」
    そんな言葉は露ほども聴こえないようで、彼はそのまま抱き着いてくる。
    頭をぐりぐりと擦り付けられる。何かのマーキングなのだろうか。いやそうじゃなくて。
    「せんぱい〜俺今日本当に必ず出なきゃいけないんです〜そんなかわいいことされると出られなくなっちゃいます」
    半泣きのサニーから、少しずつ目が醒めてきたシュウは体を離した。
    「わかった〜」
    渋々、といったその様子がたまらなく愛らしい。
    サニーは目の前の真っ白な額にひとつ、キスを落とした。
    ちゅ、という音を立てて唇が離れると、突然やけに静かになった。
    心配になって顔を覗き込んだサニーは、1年以上の付き合いから事の全てを察した。
    「…せんぱい。やっと目、醒めましたね」
    真っ赤な顔をして今にも消え去りたい様子の彼を、ぎゅっと抱きしめた。
    「…はなして」
    まだあまり呂律が回っていない。
    「いやです。充電中なので」
    彼は再び腕の中でおとなしくなった。
    その耳は茹でたように赤い。
    くすくす笑ってから、俺はやっと体を離した。
    やり返しができてすっかり気が済んだ様子のサニーを、シュウはもう一度強引に引き寄せた。
    「おっ、と」
    彼の小さな頭が、俺の左肩に収まる。
    なにかもぞもぞ動いているな、と余裕を醸していた次の瞬間。
    ちゅぅ、と、音を立てて首筋を吸われた。
    信じられない出来事に、目を白黒させる。
    目の前で、ふへ、と間抜けな顔が笑った。
    「僕のもの。」
    伝導するような愛が、心の端っこまで広がって。
    次の仕返しまで、あと3秒。
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