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    hbnho210

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    ルクアロ版ワンドロワンライ様より、お題:「落書き」「はじめから」おかりしました。ヒロルク、ルクアロです。キャラブネタ有。※だいぶ捏造した部分があります

    #ルクアロ
    rquaro.
    #ヒロルク
    heroin

    お題:「落書き」「はじめから」11/13「やあ、見て、アーロン、可愛い落書きだ!」
     アスファルトの上に白いチョークで丸や星型や様々な太さの線で描かれているそれが、具体的に何だかは解らずとも、歩道いっぱいに引かれた線の勢い、自由にひろがる図形や模様……見ているだけで楽しい。
    「なかなか芸術的だな、将来有望だぞ」
     ルークは顔を近づけて落書きの細部を観察したり、遠くから全体を眺めたりしていた。
    「興味津々だな、散歩中の仔犬かてめえは」
    「あ! あれビーストくんじゃないか?! ビーストくんをモデルに選ぶなんて……やはりこれを描いた子は天才!!」 
    「……イガグリじゃねえのか」
     往来に引かれた白墨の線は道行く人達の靴に踏まれ、少しづつ掠れてゆく。線を引いたその小さな芸術家の卵はもうすっかり自分が生みだした図形や模様のことなど忘れているだろう。誰かの心に灯りを点けて、遠い彼方の記憶を想いださせたことも知らずに。
    「そういえば、思いだしたぞ。僕も落書きをしたことがあったよな」
    「……そうかよ」
     その指は、いつか手にした石筆のことを憶えている。指先は白く、粉っぽくて、水分がどんどんなくなっていくのがわかるくらいにかさついても、それでも描くことが楽しくていつまでも夢中でその無限にどこまでもひろがるキャンバスに思いうかぶものすべてを描いては、二人で笑い合った。



    「……これ、どうやったらとっておけるんだろう。この煉瓦、はがせるかな」
    「それは無理だと思うな。……ルークってさ、ときどきびっくりするようなこと言うよね」
     赤茶色の煉瓦敷きに蝋石で書いた落書きたち。そのなかに、絵や図形とは違う、文字が書かれている一画がある。凹凸のあるキャンバスに書かれた文字は歪で、だけれど力強く堂々としていた。
    「落書きだよ」
    「落書きじゃないよ、これはヒーローがぼくに書いてくれた手紙だよ」
     ルークへ。という文字からはじまり、そこに書かれていたことは何ということはない日記のような独り言のような、手紙というよりも散らばった文字の群れだった。ルークはその文字を凝、とみつめたまま目をはなそうとしない。煉瓦を剥がして持って帰り大切にしまっておくことが出来ないのなら目に焼きつけて憶えておこうと、瞬きもせずに見ひらいた目がだんだんと赤くなってきて、ヒーローはあわててルークの目を手のひらでおさえた。
    「ルークの目が干乾びたオタマジャクシみたいになっちゃうよ! 今度は、紙に書くから、ね」
     ヒーローはルークの手をとって、紅碧の空と地上とが混ざり合って昏い水底を歩いているみたいに足元が見えなくなってきた道を急ぎ足で歩いた。ルークは名残惜しそうに何度も振り返った。文字も、落書きも、先程まで二人がいた場所も、ぜんぶ夜闇のなか、もう何も見えない。



    「……そうそう、それでそのあと思いっきり怒られたよなあ。帰りが遅くなっちゃって……」
    「どうでもいいことばっか思いだすな、てめえは」
    「君との想いでにどうでもいいことなんかひとつもないぞ」
     アーロンは聴いているのか聴いていないのか、欠伸をしながら通りの向こうのやけに賑やかなコーヒースタンドの店先をぼんやりと眺めていた。
    「そう! そのあと僕はちゃんと君に手紙を書いたんだ。うん、だんだん思いだしてきたぞ。ええと、何を書いたかまではちょっと思いだせないけど……。そういえば、君は返事をくれたか? 記憶にある限り君から返事をもらった覚えがないのだけれど……」
    「どうだったかな、忘れちまったよ」
     アーロンはまた欠伸をして、気のないふうに髪の毛を乱暴に掻いた。


     手紙をもらった日のことは……よく、憶えている。あの日、夕食のあとベッドのなかへもぐる前に小さく折りたたんだ手紙を、“ヒーロー”がくれた。嬉しくて嬉しくて、ベッドのなかで何回も読んだ。次の日に早く起きて返事を書こうと思った。でも、書けなかった。その夜は明けることがなかったから。もう、いつもとおなじ朝は、来なかった。


    「……何なら今、返事を書いてやろうか?」
    「え! アーロンが僕にラブレターを! くれるって?!」
    「……てめえはどうしてそう……」
     怒る気も失せたとばかりに心底、呆れた声で大きなため息をつくアーロンの様子などものともせずにルークは満面の笑顔でアーロンの手をとり、向かいの賑やかなコーヒースタンドへ誘った。どうやら本日開店のそのコーヒースタンドは、ホイップクリィムが無料で三倍まで盛れるサービスをしているということだった。コーヒーにクリィム盛る必要があるか、むしろクリィムが本体だぞ、そんな事を言い合いながら、二人は手をつないで爽秋の街を歩いた。




    ルークへ

     とってもぴったりな紙をみつけたんだ。ダン博士からもらった世界地図。おれね、ここはどんな国なんだろう、どんな人がいるんだろうって考えて、いつかルークといっしょに世界中を旅してみたいって思いながらいつもこの地図をながめていたんだ。だから、この世界地図の裏に手紙を書くよ。いつか、おとなになったらふたりでいっしょに旅をするときの計画をこれからふたりでこの世界地図に書いていこうと思う。書いたこと、はじめからぜーんぶ! いっしょにやって、この地図を持って世界中を旅しよう。そしてヒーローになったおれたちは世界中の人たちを救うんだ。だからね、ルーク、ずっとずっといっしょにいよう。約束だよ! 大好きなルーク。いつまでも、相棒でいてね。

    ルークの相棒のヒーローより

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    hbnho210

    DONEアーロンが宝石専門の怪盗ビーストとして世間を騒がせている頃のお話。ルークとは再会する前。オリジナルキャラがでてきます。※設定捏造アリ※本編と齟齬が生じている可能性アリ。展示①『Don't cry my hero』も読んで頂けたら嬉しいです。
    4/12「Hero`s echo」展示②『Give me a smile my hero』「またハズレか、……なかなか見つからねえもんだな」
     車のクラクション、海の遥か向こうの異国の言葉たち、石畳を歩く靴の音、店の前を通りすぎていった爆発音みたいな笑い声に店のドアにはめ込まれた色とりどりの色硝子が振動してカタカタと音を立てた。
    「おまえさんが何を探しているのか知らんが、どれも一級品だよ、まったくたいした腕だ」
    「ハッ、ドロボウの腕なんざ褒められても嬉しくねえんだよ」
     白昼の街の喧騒からうすい壁いちまいで隔てられた店の中はきれいに掃除が行き届いているのにどこか埃っぽく、店に並ぶ品はどれも古い映写機で映したように見える。何処かで嗅いだことのあるようなまったく知らないような不思議な匂いがして、壁に掛けられた時計の針が刻む音はどこかうさんくさい。アーロンは横目で時計を睨みながら店主が入れた茶を呑んだ。旨いが、何の茶なのかはわからない。
    2021

    hbnho210

    DONEアーロンがハスマリーで怪盗稼業をしていたときのお話。オリジナルキャラがでてきます。ルークはでてきませんが作中ではルーク(ヒーロー)の存在感がアリアリです。アーロンの心のなかにはいつでもヒーローがいるから……。アーロンが”怪盗ビースト”と呼ばれていますが、そのあたりは展示②の『Give me a smile my hero』を読んでいいただけると嬉しいです。※捏造設定アリ
    4/12「Hero`s echo」展示①『Don't cry my hero』「ねえ、聞いたかい? またでたってサ」
    「ああ、朝から物々しいからどうしたのかと思ったら、狙われたのは前々から黒いウワサのあった政府のお偉いさんの屋敷だっていうじゃねえか。相変わらず小気味がいいねえ」
     土埃と乾いた風、午前七時の太陽は容赦なく肌に照りつける、破れた幌の下にできたわずかな日陰で眠る猫、往来で市の支度をする者、共同水屋で衣類を洗ったり野菜を洗う女たち、野良犬を追いかける子ども、しきりに警笛を鳴らして怒鳴っている役人、いつもとおなじ変わることのない街の朝。だが、今朝の街はどことなくいつもより騒がしく街の人々もなにやら浮足立っていて、顔を合わせると目くばせをして何やら話し込んでいる。声をひそめながら、しかし時折、興奮して声が大きくなり相手にたしなめられている者もいた。
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