お転婆姫失踪事件「美味しい!美味しい!」
アホ毛をぴょこぴょこ動かしながらそう告げる少女の口にはお菓子の食べかすがついている。それを指摘すると少し恥ずかしそうにしながらまた次のクッキーを手に取るのだ。本当に作りがいのある食べ方をしてくれる子だ。
「ドラルク!お代わり!」
「ヌンヌ!」
「ごめんよ。焼いた分はもうなくなっちゃったから…」
「お代わり!」
「今から生地こねて焼くから時間かかるけどいい?」
「もちろんだ!」
「はいはい…おや?」
早々に食べ終わったのかお代わりを要求してきたので小麦粉を取り出そうとすると、棚の奥に何もないことに気づいた。手元の袋も残り少ない。
「すまないねヒナイチ君。小麦粉が切れてしまったみたいだ。最近地上に行けてなかったからね。他すぐに出してあげれるものあったかな。」
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