ガンガンに裸で抱き合って、セックスして、慈しむみたいに鼻を擦り寄せて、はにかんだような笑顔でくすくす笑う二人で幸せを体現したあとに、服をカッチリ着て、目すら合わさずにただ雨の音とぽつりぽつり話す声だけが響く寂しさと切なさの滲む空気の対比がしたいけど映画でやれって話なんだよ。あ、ミスタとシュウ、リアスと光ノの話ですね。
皆シーンは夜だけど、イメージ的にはミスタ達は23~2時過ぎ、リアスたちは3~4時って感じ。
ただ、手を繋ぐというより、上から重なる感じ。手のひらじゃなくて指が。ほんとに儚い感じ。雨音が窓越しの部屋に響いて、それをゆったり見たあと、お互いそっと目を合わせるんだ。指先が少し絡んで、肘、肩、ってだんだんと寄っていく。最後にひたいをあわせて、伏し目がちになって、ゆっくり話すんだ。
「アイツら、幸せそうだな」
「そう、ですね」
「俺たちはもう、必要ないんだろうな」
「ええ」
「いつ消えるんだろうな」
「………遠くはないでしょうね」
「俺さ」
「ええ、」
「お前らに会ったこと、後悔してねぇよ」
「………、私もですよ」
「だけどさ、寂しいよな」
「……はい」
「俺は、ミスタのために生まれたけど、最近は、俺も、俺のために生きてみたかったなって思う」
「リアス、」
「でもさ、もう、あんまり外にも出られなくなってっし。遅いんだよなぁって」
「………」
「なぁ、お前と話せて、俺、良かったよ」
「………」
「おまえと居るの、楽しかった」
「……っ、」
「好きだよ。どーにもならねぇけど」
「なんで、そういうことを口に出すんですか。僕達には続きがないでしょうに、無駄です、全部」
「言わずに消えるよか良いだろ。残り時間もわかりやしねぇ。また会えるかもわかんねぇのに、後回しにできねぇよ」
「、私は」
「ん」
「私は、わかりません。好きとか、そういうのは、まだハッキリとわからないんです。でも、」
「オウ、」
「でも、あなたと過ごす時間は、とても心地良くて、もっと長く、続いてほしかったと思うんです」
「それでいい、十分だ」
ポロポロと光ノの瞳から涙が溢れて、リアスはぐりぐり額を擦り付けながら空いている手で涙を拭った。
闇の中の希望を見つけたミスタとシュウ
その希望の中の闇であるリアスと光ノ
毎日話していた副人格とも、2日に一度、3日に一度1週間に一度、どんどん頻度が下がっても、目の前のことに夢中で、頭の中でいつでも会話できた彼が黙ることが増えても、気にすることはなくて、
ある日、ふと思い立って話しかけたときにそこにもう彼らが居ないことに気付くのだ。
2人は慌てて、悲しんで、困惑して、もう一度会うために駆け回るけれど、いずれ諦めて、2人で寂しさを抱えて寄り添う。やがて時が傷を癒やして、思い出さなくなる。
そして2人は末永く幸せに暮らしましたとさ。