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    みみみ

    @mmm_scboy

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    みみみ

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    #スタオケ版深夜の60分コンサート
    【花束】で公然の秘密で付き合ってる堂唯です。

    【花束】堂唯 コンクールが終わり、制服に着替えた朝日奈が控室を出ると、廊下に緊張した面持ちの男子生徒が立っていた。
    「あの、朝日奈さん、あなたのヴァイオリンのファンですッッ!これ、受け取ってください!」
     そう言って半ば強引に押し付けられた衝撃で花束の花からひらりと一枚花びらが落ちる。
    「えっと……あ、ありがとうございます」
     その気迫に気圧された朝日奈がそう答えると、男子高生は顔を紅潮させて
    「スタオケ、応援してます!!」
     そう言って朝日奈が止める間もなく走り去って行った。
    丁度グランツの控室から出てきた堂本は、あっけに取られている朝日奈の背中に声を掛ける事もせず、自販機のある反対側の曲がり角へと足を進めたのだった。



    「……それでね、急にこんな大きな花束を渡されて私、びっくりしちゃってね」
    「へぇ~、そうかい」
     木蓮館メンバーと一緒に帰るためにロビーで朔夜達を待っていた朝日奈が、堂本に首根っこを掴まれてタクシーに乗せられたのは1時間程前の出来事で、
    成宮のマインに、先に帰っててと送ると特に何の詮索もなく【了解しました、あまり遅くならないでくださいね先輩】と返って来たことに安堵の溜息を吐いた朝日奈が連れて来られたのは、堂本が寝泊まりしているウィークリーマンションだった。
     最低限の生活用品と着替えが入ったトランクとファゴットケースしかない殺風景な部屋は家と言うよりはホテルの様で、早速朝日奈は先ほど我が身に起こった出来事を堂本に話して聞かせるが、当の堂本は聞いているのか聞いていないのか、ベッドの端に腰かけると適当に相槌を打ちながらスマホの画面に視線を落としていた。
    「もう、聞いてるの堂本君?」
    「あー聞いてる聞いてる」
     明らかに聞く気のない堂本に口を尖らせて、朝日奈はガラスコップに生けられた花束に視界を移した。
    「そんなに花をもらって嬉しいのかい、お嬢さん?」
    「そりゃあ、嬉しいよ」
    「花なんて腹の足しにもなりゃしねえのに」
    「堂本君はそう言うだろうと思ってました~」
    「ハハッ、拗ねるなって……まあ、お嬢さんが欲しいって言うなら俺だって花束の一つや二つ、贈ってやらない事もないんだぜ?」
     思わず花束を抱えて自分の前に立つ堂本を想像した朝日奈は、どうあっても似合ってしまうだろうその姿に何故だか負けた気持ちになってしまった。
    「う~ん、でも堂本君にもらうなら花束よりもファゴットの演奏が良いな」
    「へえ、可愛いこと言うじゃないか」
     そう言って、朝日奈の腰を抱き寄せると堂本がその唇に自分の唇を重ねた。
    「んんッ……」
     経験の差か、技術の差か、あっという間に舌を絡めとられて朝日奈は口の端から甘い声を漏らした。
    「イイ声で鳴くんだな、アンタ……」
     鼻先が触れ合う程の距離で囁く堂本の声に、朝日奈の熱は上がっていく。
    「ま、まって堂本君ッ……」
     プリーツスカートの中に侵入した大きな手に太ももを撫でられると、朝日奈が慌ててその胸を押して静止する。
    「シャワー先に浴びるか後に浴びるか選べ、唯」
    「お……お先に、失礼しますッ!!」
     上擦った声を上げて、そのままバスルームに消える朝日奈の背中を見てクツクツと堂本が声を立てずに笑いを漏らす。
    「残念だったなあ~間男さん」
     その姿が見えなくなった事を確認すると、堂本は花束のセロファンの間に挟まっていた連絡先が書かれたカードを握りつぶすと、中身を見る事なくゴミ箱へと放り投げた。
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    DOODLE一緒にいても何とも思わないけど一緒にいなかったらなんとなく不安になる夜帳と比鷺
    #お題ガチャ #男ふたりの色んなシーン https://odaibako.net/gacha/1739?share=tw

    早野の夜鷺さんへ贈るタイトルお題は、『書を捨てよ、此処を発とう』 です。
    #shindanmaker #同人タイトルお題ったー
    https://shindanmaker.com/566033
     浪磯の部屋を引き払って別の部屋を借りる予定だと聞いたのは、その部屋を明け渡すほんの数日前の事だった。というかつまり、今日初めて知った。
     萬燈夜帳が契約している部屋はいくつか存在しており、浪磯にあるマンションの一室もそうだった。バルコニーから海が見えるその部屋に、比鷺は何度か足を運んだ。山ほど本やCDがあるんだろうと思ったが、それほど物はなかった。当然だ。彼の自宅は別にあるのだから。広くてシンプルなのに殺風景ではない、趣味の良い部屋だと思った。
     良い風じゃん、日当たりも良さそう、トマトでも育てれば? なんていい加減なことを言いながら不思議な気分になったのをよく覚えている。出会ったばかりの頃はずっと萬燈に怯えていた。今は……今はどうだろう? 怯えたって仕方がない相手だとは思う。怖い部分もあるし、可愛い部分もある。人間らしいな、と思うときも人間らしくないな、と思うときもある。まあだから、つまり、慣れたんだろう。慣れた比鷺はふかふかのソファに寝そべってテレビで洋画を見たりもした。自分が介入できない映像を二時間も見続けるのは大変だな、と思って、次はあまり使ってないゲーム機を持ち込んだ。萬燈と対戦して、勝ったり負けたりする。……まあ、トータルでは俺が勝ったけどね。
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