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    Laugh_armor_mao

    @Laugh_armor_mao

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    Laugh_armor_mao

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    #鬼狐ワンドロワンライ
    お題 『デート』

    Autumn’s the mellow time. 「デート?」
    「不服か?」
    「お前と二人でメシ喰いに行く以外に何処行くんだよ」

     ゆらゆらと温もりを立ち登らせるホットレモネードに、寒さで結晶化した蜂蜜をたっぷり溶かしながら、ミスタは首を傾げた。スプーンに残るサリサリとした甘い結晶をあむあむと舐める。パッと弾ける香りは目の前でヴォックスがレモンを絞ったからで、男二人の朝にはちょっと爽やか過ぎる。

    「映画観てメシ喰って軽く呑んでベッド。家で全部出来るジャン」

     お前のメシ旨いし。澄んだ青翡翠の眼が上目遣いに外出を拒む。
     ヴォックスはちょっと眉を下げて笑いながら、咥えたままぴこぴこと上下に振れるスプーンの柄を摘んでそっと外す。

    「あぁ、息子よ。お前のデートプランの貧弱さは扨置き、私がミスタと一緒に見たい景色があるんだ。我儘に付き合ってくれないか?」
    「前置きがムカつくけど、いいよ」

     下唇をうぃっと突き出して、ミスタは同意のウインクを1つ。

    「お前の『ちょっと其処迄』の距離感、バグってるからな!」
    「まだ映画一本分にも満たない時間だろう。ドライブデートだよ。ほら、サンドイッチを食べさせてくれないか?ハムとチーズのやつだ」

     ヴォックスの運転する車で彼之2時間。州を越えている。もう、生きる時間の違いなのか、単位の認識に差があり過ぎる。
     バスケットの中には乱雑だがサンドイッチとフルーツが詰め込まれていた。朝の時点でこの外出は決定事項だったのか。嬉しそうにミスタの手からサンドイッチを喰むヴォックスに絆されて、悪く無いとむにむにしながら自分の分を選ぶ。
     ココア生地のパンに、水切りしたヨーグルトへたっぷりとオレンジのマーマレードを練り込んだクリームが挟まったのを口に運ぶ。ここの所ミスタがハマっている組み合わせ(作っているのはヴォックス)だ。
     炭酸水を片手に、おやつでご機嫌になった辺で、目的地に着いたらしく、ヴォックスは入口の料金所へ入場料を払いながら係員と何やら会話して再び車を走らせる。
     随分田舎に来たようで、見渡す限り黄色に色付いた楓。秋の風物詩だ。
     結構人が多く居て、有名な景勝地なんだろう。ホントにドライブデートだな。
     車を停めて、少し歩くと、ひらり。紅い掌。

     ざうっと風が吹いて、俺を紅とオレンジと黄色が包む。
     この國には無い秋の色彩。

    「日本の紅葉はお前のイロだね」

     微笑みに流れる金色の瞳は、俺と一体化しそうなこの風景を写して。

    「ヴォックスの見たい風景、マジ最高!」

     いつか、俺が居なくなっても忘れない様に、沢山焼き付けておいて。
     絵画の様なロケーションで、俺は甘く微笑った。




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    iori_uziyama

    DONE勢いで書いた。
    🦊😈🦊、🧡❤🧡
    置いていかれたヴォと置いていってしまったミの話。死ネタ。
    いっそ愛さなければよかったなんて鬼の生は長くて、今まで何度も人を愛したし、見送ったし、それでも時間が傷を癒やして、また人を愛せたし。だからミスタを愛したときも、彼の人生いっぱいいっぱいまで最大限の愛を注ごうと決めていた。そこに悲観はなかった。それは本当だったのに。彼を抱きしめて寝るのが好きだった。彼の体温が好きだった。彼の声が好きだった。彼の笑顔が好きだった。あぁ、忘れていた。そうだった。愛するものを失うのは心が引きちぎれるほど悲しくて、過ぎ去ることはわかっていてもその時間が果てしなく長く感じる。彼のことをずっと覚えて抱えていたいのに、あまりにも辛すぎて今すぐ忘れてしまいたくもなる。あと何年で忘れてしまうのだろう。あと何年で忘れられるのだろう。この傷が愛おしいのに辛くて堪らない。日本では49日で魂があの世へ行くらしいけれど、私の心にはミスタが染み付いて離れない。死んでしまいそうなくらいギュウギュウと締め付けてくるのに、決して殺しはしてくれない。ミスタに会いに行かせてくれない。鬼の身体を呪うしかない。焦がれて、力の制御もうまく行かずに引っ掻いたシーツが引き裂かれても、もがくことをやめられない。ああ、いっそ愛さなければよかったのにと思ってしまうほど、苦しくてつらい。楽しい思い出が輝くほどに、彼を思い出すほどに、憎くなる。なぜ私を置いていく。頼むから、置いていかないでくれ。泣き叫んで、縋り付いたっていい、どんなに情けない姿になってでも、ずっと側にいてくれるならそれでいい。たのむ、みすた、一人にしないでくれ。金色の瞳からポロポロと涙が溢れる。牙のある口から嗚咽が溢れて、雨の日も、雪の日も、晴れの日も風の日も、嵐の日も、昼も、夜も、朝も、ひたすら墓にすがりついていた。一ヶ月が経ってもニヶ月が経っても三ヶ月が経っても、半年が過ぎても、四季が巡ろうとも、涙は止まらなかった。両手の指を超える年を経ても未だに夢に思い、起きては絶望した。取り繕う余裕もなく、余りにも変わらず居るものだから、街中の話題になっても、国中の話題になっても世界中の話題になっても、頭の中にはミスタしか居なかった。ひとりぽっちになってしまった鬼が、いまだにわんわん泣いている。
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