犯人に告ぐ!!「オーイ暁人ぉー」
「・・・・・・」
「あーきーとー。あきとくーーん」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「だからここ開けろっつってんだろーがァ!!!いつまでそうしてるつもりだオマエ!!?」
「だからもう放っといてってば!!!!」
怒号が響き渡る、昼下がり。
いつもは和やかな時間が流れるアジトの部屋の中、
繰り広げられる攻防。
「もうお願いだから許して・・・・・!!放っといてくれよ!!!」
「だから放っておけるワケねえだろっつーんだよ!良いからとにかく出て来い!!」
「無 理 で す」
「だァあああああああ!!!」
(ったく・・・!どうしてこうなっちまうかな・・・・!!)
正直、襖を蹴り飛ばして引きずり出してやることは容易だが、KKにはそれができない理由があった。
(ここで無理やり引きずり出せば、オレの聞きたい言葉は永遠に聞けねえ・・・!耐えろ、オレ!)
チッ、と舌打ちしたくなる気持ちを必死で抑えて、開かない押し入れを睨みつける。
押し入れの中で震えているであろう相棒は、先ほどから消え入るような、泣きそうな声でもう無理、やだ、嫌われちゃう、と呪詛のような独り言を吐いていて。
(だから、そうじゃねえんだよ!むしろさっさと抱き締めてえし、その先もーーークソッ・・・・!)
はあ、と深いため息をつきながら、ずるずるとその場に座り込む。
襖一枚隔てて向かい合うふたり。
事の始まりは、何気ない朝の一コマから、だった。
ーーー
「おはようございま・・・・・あれ」
良く晴れた土曜の朝。いつものようにアジトのドアを開いた暁人は、普段なら開けっ放しになっているリビングへのドアが閉まっていることに気づき、口を噤んだ。
(ひょっとして、KK寝てる?)
未だにアジトで寝起きしているKKは、よく調査資料をまとめながらソファで寝落ちていることがあったから、今日もそれかもしれない。
そっと音を立てないようにドアを開く。
人気のない、しんとした部屋の中、微かに聞こえる寝息。
そっと近づけば、ソファの上でだらしなく体を投げ出したKKの姿。
(やっぱり・・・昨日も、徹夜だったのかな。・・・お疲れ様)
そっとずり落ちた毛布をかけてやれば、キィ、と同じように小さく音を立ててドアが開く音がする。程なくして、廊下から凛子が顔を出した。
「暁人くん?今日も早いな。おはよう」
同じように状況を察したのか、小声での挨拶に微笑みを返す。
「おはようございます、凛子さん。KK寝てるみたいで・・・」
「ああ、そうだろうな。メールが来たのがついさっきだったから、多分しばらくは起きないだろう。そのまま寝かせておきなさい」
「やっぱり・・・」
つまりは凛子もほぼ寝ていないという事だ。ふぁ、と欠伸をしながらモニターの前の椅子に腰かけ、ヘアピンを留め直している凛子を見ていると、ほんの少しだけ、もやり、とした感情が暁人の胸を締め付けた。
ー敵と戦うための能力も、類まれなる頭脳もない。何も持たない自分は、本当にここに居ていいのだろうか。
本当は皆、足手まといだと、言えないだけなんじゃー
「・・・暁人くん」
「えっつ・・あ、はい、何ですか」
「何もできなくて申し訳ないって、思ってるんでしょう?ー貴方も大概、顔に出るのよね」
「え・・・??」
胸のうちを見透かされて、思わず声が上ずる。自分はそんなに分かりやすい顔をしていたのだろうか。
「・・・すみません」
「謝る必要はないわ。それに貴方、意外に自分のこと分かってないのね」
「え、」
くい、と視線を奥へと向ける仕草。長く垂れた前髪が揺れる。
「・・・・彼、貴方と逢って、変わった。険が取れた、って言うのかしら?」
「ーーそれは」
「アイツを葬って、平和な世界を取り戻したから。もちろんそれもあるだろうけれど、貴方が彼に与えている影響は少なからず大きいものよ。ー信じなさい」
彼の事も、自分の事も。
彼女の持つ聡明さをそのままかたちにしたような、澄んだ瞳。
もちろんあたしの事も信じてほしいものだけど、ゆるやかな声がそう付け足すのを聞いて、暁人のこころを揺さぶっていた不安が晴れていく。
「凛子さんがそう言ってくれるなら、信じられるような気がするーありがとうございます」
「そう。良かった」
ひとときの静寂。ふ、と緩んだ緊張の糸。KKの寝息だけが微かに聞こえるその空間が、暁人の心をほんの少し、素直にさせた。
「実は・・・・いつからかは、分からないんですけど・・・僕にとっても彼が与えてくれている影響は、とても大きいなってことに、最近、気づいたんですよね」
「・・・・ふぅん?」
視線に先を促され、ぽつりぽつり、と言葉をつむぐ。
「KKが側に居てくれると・・・自分が強くなれるような気がして。あの夜みたいに、何でもできるような気になってしまうと言うか・・・ だから、逆に離れてるとすごく不安になってしまうようにもなって。無意識に右手に話しかけたり・・・でももうそこに居ないんだって思ったら、苦しくて。何なんでしょうね、これ」
「・・・・そう」
誰にも話すつもりはなかった。だってこれはきっと自分のエゴだ。KKに認められることで自分の承認欲求を満たしているだけ。
そう、分かっていた。そのはずなのに、一度口をついた言葉は溢れるようにとめどなく唇から零れ落ちてしまう。
「酷いですよね、僕。今でもたまに、ずっとここに居てくれたらよかったのにって思うことがあるんです。そんな自分が、怖くて、だから、離れた方がいいって思うのに、できなくて、それでーーーごめんなさい、こんな話」
「・・・・続けて。いい機会だから、ちゃんと自分と向き合った方がいい。今、そこで眠る彼を見て、どう思う?」
「やっぱりーーーそばにいたい、と。そう、思います」
「・・・そう」
合格ね、そう静かに笑った凛子の声はどこまでも優しくて、思わず胸がぎゅう、と痛んだ。
「・・・・・・今はそれだけで、充分だと思うわ。彼の側に居たいって気持ち、忘れないでいて。ー支えてあげなさい、相棒なんだから」
側にまとめておいてあった資料を手に取り、椅子から立ち上がる。
自分よりほんの少し背の高い暁人の、戸惑い気味に見下ろす視線に凛子がにやり、と口端を上げて笑った。暁人の顔にも自然と笑みが浮かぶ。
「ーありがとうございます、凛子さん」
「そうね、貸しにしておいてあげる」
だからコレ。二人で調査、よろしくね。資料の一番上の束を暁人に寄越すと、凛子は黒いコートを手に、リビングを出ていった。
(・・・・なんか・・・・かなり恥ずかしい事言っちゃった気がする・・・)
今更心臓がばくばくと鳴る。ああよかった、KKに聴かれてなくてーーー
ほっと胸を撫で下ろした暁人は、それでも奇妙な違和感に気づく。いや、気づいてしまった。
(うそ、まさか、いや、でも)
いつの間にか、先ほどまで聞こえていた寝息は止んでいた。そして、背中越しにぎしり、ソファの鳴る音がする。
恐る恐る振り向きかけた視界の端、ゆらりと揺れる影を認めたその時、その影が自分の名を呼んだ。
「暁人」
「ぎゃああああああああああ!!!!!!!」
口から飛び出した言葉にならない絶叫。思わず固まったKKを押しのけ、暁人はたまたま開いていた押し入れの下段に潜り込んだ。
「は!?オイ、暁人!!!待て!!!」
「わーーーーー!!!やめて来るなああああああああ!!!!!!!」
聞かれた。絶対に、聞かれた。
まるで告白とさえ取れそうな、あんな恥ずかしい言葉を、こともあろうに本人に聞かれてしまうなんて!
「オイ!開けろ暁人!!」
いつの間に手にしていたのか、使い慣れた弓をつっかえ棒にした押し入れはガタガタと震えながらも開かれることを拒む。
少しかび臭い押し入れの中で、暁人はただ、自らが招いたこの非常事態に、蹲って震えるしか出来なかった。
ーーーー
「ーーーーーーーー。ーーー、・・・す」
(・・・・・・・・ん、朝か?)
耳が聞き慣れた声を微かに拾って、KKの意識がふわふわと覚醒していく。
どうやらまたソファで寝落ちたまま、朝が来たようだ。
最近はやたらと顔を出してくれる、年若い相棒の声が耳をくすぐる。
そのまま起き上がっても良かったが、KKの心の中にどこか甘酸っぱい気持ちがひろがった。開きかけた目をもう一度閉じて、聞こえてくる暁人の声に耳を澄ませる。
(アイツに起こされてはじまる朝ってのもー悪くねえ)
そう、ふた周りほども年下の相棒のことを、ただ側に居てほしいと。
抱き締めて、甘やかしたいと思い始めたのは、いつからだったか。
笑顔も怒った顔も、涙を零す顔も愛しいと思う。
思わずふ、と口端がゆるむ。
「K・・・が、・・・・・なって・・・・・」
(んだ・・・?オレの、話・・・・・?)
「僕・・・・・ある・・・・が、怖くて・・・・、だから、離れーーーごめんなさい」
(離れ・・・?離れる・・・・?何言って・・・・)
今すぐ飛び起きて何の話だと問い詰めてやることも出来たけれど。KKはそっと、さらに紡がれる暁人の言葉を拾うことに集中した。
「ーーー今、そこで眠る彼を見て、どう思う?」
「ーーーそばにいたい、と。そう、思います」
今度ははっきりと聞き取れた、相棒の声。そうだ。オレの側にいろよ、ずっと。
そこまで思って、また思わずふ、と笑う。
そうだーずっとそばに居てほしい。オレもそう願ってる。オマエも同じように、考えていてくれたんだな。
自然と笑みが浮かぶ。同じ思いをともに抱いていた喜び。
ぱたん、とドアが閉まる音がして、そっと身を起こせば、どこか照れくさそうに笑う相棒の姿。
「暁人」
おはようーそう、挨拶を交わすつもりだった。けれど声を掛けた瞬間、ぎくり、と肩を震わせた暁人から出た言葉は、挨拶の言葉ではなかった。
「ぎゃああああああああああ!!!!!!!」
何が起きた?思わず固まったKKを突き飛ばすように、暁人が横を駆け抜ける。
逃げ込んだ先は布団を出しっぱなしにしていたがためにガラ空きになっていた押し入れだった。
「は!?オイ、暁人!!!待て!!!」
「わーーーーー!!!やめて来るなああああああああ!!!!!!!」
ーーーそして冒頭に至る。
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
互いに一歩も引かないまま、無為に過ぎる時間。
ったく、天の岩戸の神話じゃねえんだぞ。天照大御神よろしく、<暁>たいようーが隠れちまうなんざ、洒落にならねえーー
そこまで思って、はた、と気づく。
そう、隠れてしまった太陽神を引きずり出したあの神話のように、本人が思わず出てくるように仕向ければいい。
神話の中では扉の前でどんちゃん騒ぎをしたということだが、あいにくとここには自分一人しかいないし、そもそもそれでアイツが出てくるとも思えない。
だとすればー
ニヤリ、と笑みを浮かべ、立ち上がる。側にあった仏壇の中から目的のものを取り出し、KKはそっと目を閉じた。
てのひらに乗せたそれをそっと握りしめて、願いを込めるように胸にあてる。
(・・・・さあーーオレの太陽を、取り戻そうか)
未だ開く様子の無い押し入れの前へと戻ったKKの手の中で、きらりと光がきらめいた。
ーーーー
(あれ・・・静かに、なった)
しばらくわめいていた相棒の声が途切れ、突然の静寂が訪れる。
(・・・呆れて、出ていっちゃったのかな・・・)
KKならあり得ないわけではない。それか諦めて、コンビニに朝食でも買いに行ったのだろうか。なら今のうちに出ていってしまおうか、そうも思ったけれど。先ほどまでの自分があまりに情けなさ過ぎて、暁人は結局震える膝を抱えたままそっと目を閉じた。
(・・・・・きらわれちゃった、かな。それともー軽蔑された、だろうか)
相棒だと思っていた男に、急にそういった意味での愛情を向けられても、困惑するだけだろう。
それでなくとも、相手は最近家族との別離を経験したばかりなのだ。
そこにつけこむように、自分勝手な愛情をぶつけてしまうなんて。
(どうかしてたんだ、僕。でももう、無かったことになんてできない・・・
謝って、どうなるわけでもないかもしれない。ひょっとしたらもう、二度と来るなって言われるかもしれない、でも自分が招いた結果だ。・・・・許してくれないかもしれないけど、ちゃんと謝ってーーーー)
「暁人。そのままでいい、話を聞け」
「・・・KK?」
突然先ほどとは違う、静かな声が届く。その声はどこか切なげで、暁人はこらえきれずに零れた涙を拭うこともせず、KKの声に耳をすませた。
「暁人、なあ。オレたち、あの夜はずいぶんと無茶したよな。いろんなところ走り回って、マレビトぶっ倒してよ」
「・・・・・そうだね」
「アイツの野望はぶち壊してやった。オレはこうして身体を取り戻したーきっと、残された最後の大切なものを守るために、オレはこうして帰ってきたんだ」
「・・・・うん、」
KKに残された大切なもの。そうだ、分かっていた。
それは残してきた家族。一度は自分に託したそれも、今や自分の手で守ることができるようになったのだ。遅かれ早かれ、自分の元から去ってしまう時がくるのはわかっていた。それがほんの少しだけ早すぎたと思うだけだ。
直接聞くのは辛かったけど、それでもそれが彼の本心だとやっと聞けたのだ。これで僕は安心して身を引ける。今度はすんなりと言葉が零れた。
「KKーーーーありがとう、これで僕は、」
「なあ暁人、今、オレの手の中に、オレが次こそ生涯をかけて守りたいモノがある。・・・・見てやってくれねえか」
笑ってさよならを言える。そう伝えようとした暁人の言葉を、KKが遮った。
ーああ、ひどい人だなあんたって。
いま確かにあんたの手の中に在る希望。きっとそこには、僕が返したパスケースの写真がある。でもそのほうがいいのかもしれない。これがあんたの最後の優しさなんだろう。
やっと覚悟を決めて、そっとつっかえ棒にしていた弓を外す。ふ、とかるく息を呑む音がする。
(ごめんなさい、凛子さん。結局僕は、KKの良き相棒たり得なかったんだ)
みっともなく泣いたって、生きていくってきめたんだ。だから涙を拭いて、笑って「しっかりやれよ。KK。応援してる」
そう言って、ドアから出ていこう。
ゆっくりと深呼吸して、襖に手をかける。
震える右手を、左手で支えて。そっと開いた隙間からこぼれてくる、眩しい光。
(いっそこのまま光に溶けて、消えてしまえたらいいのに)
眩しくて思わずぎゅっと瞼を閉じる。拭ききれなかった最後の涙のしずくが、頬を伝って掌へと落ちた。
「・・・・・暁人、目を開けてみろ。大丈夫だから」
まるで子供をあやすみたいに、優しい声が届く。
(ーーさよなら、KK)
ー今彼はどんな顔をして、僕を見てるんだろう。
暁人は覚悟を決めたように、ぎゅ、ともういちど強く目を閉じ、ゆっくりと目を開けた。
「・・・・・ッ、・・・ふぇ・・・・・??」
目を開けた暁人が見たもの。それは、怒ったKKの顔でも、パスケースに写った彼の家族の写真でもなく。
「・・・・・・・ほら、よく見な。これがオレが守りたい、愛するやつの顔だよ」
ーーー涙で顔をぐしゃぐしゃにした、一人の男。
そう、そこにあったのは誰あろう、鏡に映った暁人自身の顔だった。
ーーー
ー天岩戸に隠れた天照大御神は、「貴方より素晴らしい神がお出でになったから喜んでいるのです」と言われ、動揺して一体どんな神なのかと岩の隙間から外を覗き見た。
そこには、まさに太陽のごとく美しく輝く女神の姿があったーだがよく見ればそれは、八咫鏡に映った自分自身の姿。
神々が知恵を合わせたことにより地上には光が戻り、世界はかつての輝きを取り戻したのであるー
「・・・・・・これで神話の通りオレの世界にも太陽が戻って、めでたしめでたし、ってな?」
「・・・・・・・ほんと、そういうとこあるよね、KKって・・・・恥ずかしくて消えたい」
「オイオイ、また閉じこもるとかナシだぜ、お暁人くんよ」
しっかりと確保され身動きの取れない暁人が、不満の声を漏らす。
ハッキリ言って、もう一度押し入れに籠ってそのまま穴でも掘って埋まってしまいたい。
そう思う暁人だったが、その願いはもう叶いそうになかった。
「・・・・・・ねえもういいだろ、早く放してよ・・・」
「駄目だな。元警察官としては、オレの心を奪った犯人をここで放す訳にはいかねえんだよ」
ま、つうわけで、オマエはオレが終身雇用してやるから安心しな?
「ッふ、なにそれ・・・」
口説き方がおっさんなんだよ、呆れたようにため息をつけば仕方ねえだろオッサンなんだからよ、と軽口が返ってくる。
それがなんだか嬉しくて、暁人がやっと声をあげて笑った。
「なあ暁人。オレたちの物語はここからだ。・・・・頼むから、勝手に終わらせようとすんな」
「・・・・うん・・・・・ありがと、KK」
「分かれば、いい」
きつく後ろから抱きしめられたまま、耳元で囁かれて腰が震える。
おまけに尻には何やら熱くて硬いモノがぐりぐりと押し当てられていて、暁人の心臓は破裂寸前だった。
「それより・・・・!なんか当たってる、んだけどッ・・・・!!?」
「あァ?そりゃ当ててんだよ分かれよここまできて無理ですとか言ってんじゃねえぞコラ」
「無理、ほんっとうに、それは無理!!!」
じたばたと暴れる暁人を抱きこみながら、それでも心底幸せそうに笑うKK。
「まさか一回死んで生き返って、また同じ要求することになるとは思わなかったぜー
『その体、寄越せ』!ってな?」
「・・・・・・ほんとそれ、笑えないんだけど・・・・ッ!」
観念したというようにKKに体を預け、暁人もまた、耐えきれずに笑う。
「いいよ・・・あげる。KKが生涯をかけて僕を守ってくれるって言うならさ、この体だってあげなきゃ、フェアじゃないからね」
「ははッ、そうだなー今度は、後悔させねえ、って言わせてもらうぜ」
「ーーうん」
暁人もまた、心に誓う。自分もこの人を最期まで守り切るのだと。
ーKKに残った最後のものが僕だっていうなら、僕に残った最後のものはきっと、KKなんだ。
そっとどちらからともなく、甘くとろけるようなキスをして。
ふたりはまた、街を駆ける。
太陽は今日も変わらず、ふたりとこの街を見守っていて、重なり合う影がひとつのシルエットを作り出していた。
ふたりが通り過ぎたあと、長く伸びる影のなか。虹色に光る破片が一瞬だけちかりと煌めき、すぐに消えた。
END.
ーーーー久しぶりに、あとがきという名の言い訳。
もっとギャグっぽく明るくバカっぽい話が書きたかったのに、
出来上がってみたらなんだかしんみりなんだかなんだかわからない話になってしまいました・・・がくり・・・_| ̄|○
アヤコ様、いつも妄想ブッ飛ばしてて申し訳ございません・・・!
でもどうしても書きたかったんや・・・!
勝手に寄稿シリーズ、きっとまだまだ続きます。いろんな方のいろんなイラストや他の方の書かれる妄想が日々の創作の糧になっていて本当に感謝することしきりです。書きたいものが無限にあるのに時間が足りねえ・・・!!
こんなへっぽこ物書きのわたしですが今後ともどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m