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    omoti_022

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    POIPOI 19

    omoti_022

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    リクエスト頂きました、押しかけ女狐暁人くんです!趣味で九尾の狐にしてしまいました🦊
    あと、凄い趣味を詰め込みまして、長くなりましたので後日に続きをあげるつもりです。

    お狐様と!夜も深まった時間。KKは家路に着いた。
    玄関に荷物を投げるように置き、そのまま倒れ込むように床に伏した。
    「〜……疲れた……」
    思わず言葉が出るほどに疲労困憊だった。
    もう一歩も動きたくない。そんな思いで、ひんやりとした床に突っ伏す。

    KKはこの数日間、エドや凛子の指示を受け、東京の街を駆け回っていた。ここ数日、突如として増えた不可解な事件。その原因究明に西へ東へ北へ南へ。妖怪であったり、マレビトであったり、要因は様々だったが、KKが出向く事に変わりはなく。身一つの為、疲労は大きくなり、また、超常現象に対処出来る代わりもいない為にKKの疲労は溜まる一方だった。そして、妖怪やマレビトが活性化した原因も分からず終い。また奔走する事になると凛子から言われ、一旦アジトへと帰宅した所だった。

    これからまた駆り出される億劫さに、KKは深いため息を吐き出す。もう歳も歳だ。幾ら元警官と言えど動き回るのは辛いし、やりがいというものが無い。誰にも理解されない事をしている自覚は、彼自身充分に感じていたし、虚しさもあった。けれど、人一倍正義感の強い彼は、理不尽な目に会い、文句を言いながらも、力を使い続けるのだ。
    そんな自分を自嘲し、明日に備えて風呂に入ってから寝るか。と泥のように重い身体を起こそうと、床に手を着いた。

    と。

    「大丈夫?____」

    前から、声が聞こえてきたのだ。しかも、捨てた名を呼ばれ、咄嗟に顔を上げる。

    「____」

    再びKKの名を口にしたのは目の前の男だった。電気の着いていない部屋を背に、しゃがんで自分を見る、身に覚えのない男。
    ぬばたまの髪に夜空のように煌めく瞳。すらりとした顔立ち。直衣と袴を纏った歳若い青年だった。何より目に着いたのは、頭部から生えるイヌ科の耳とゆらりゆらりと揺れる九本の尾。
    ヒトではない彼は、驚きに硬直するKKに微笑んだ。

    「来ちゃった♡」


















    ところ変わって、リビング。
    あの後、KKは直ぐに風のエーテルを放った。それは男に直ぐに受け止められ、反撃の代わりに号泣が返されたのだ。
    「……いい加減泣きやめよ」
    「…ゔ……だって…」
    ローテーブルを挟んで、KKと男は顔を合わせる。男の方はまだぐすぐすと涙を零していた。それを見て、KKは今日何度目かのため息を吐き出す。
    「だって、____が僕の事覚えてないなんてぇ…」
    「知らねぇもんは知らねぇんだよ」
    KKは気が長い方ではない。いい加減鬱陶しくなった吐き捨てた彼に、男はくしゃりと眉を寄せ、夜空の瞳からボロッ…と大粒の涙を零した。
    「ほんとに?ほんとに覚えてないの?」
    「知らねぇって言ってんだろ」
    「____の方から結婚しようって言ってきたのに?僕のこと、弄んだの?」
    「はぁ?」
    覚えのない謂れを出され、低い声が出た。
    それでも、男は続ける。
    「ねぇ、思い出してよ、____。今更、覚えてないなんて都合が良過ぎるよ。僕のこと嫌いになったの?やっぱり麻里の言ってた通り、ヒトなんて、そういうものなの?」
    泣き腫らした顔で、男はKKに詰め寄る。ローテーブルから身を乗り出し、KKの頬を白魚のような手で包み込んだ。KKは咄嗟に振り払おうとしたが、何故か身体が動かなかった。仕舞ったと感じた時にはもう遅く。
    星の瞬く瞳が、KKを絡めとった。

    「あぁ…… ____、名前を捨てたんだね。どうして…って聞くだけ野暮だよね。じゃあ、今の名前は?僕にも教えて?」

    まるで染み込む蜂蜜のように。甘くトロリとした声色で問われ、『お願い』をされると何故だか逆らえなかった。

    「け、KK…」
    「KK。うん、いい名前。組織のコードネームみたい」

    きゃらきゃらと無邪気に笑い、男は続けた。

    「じゃあ、KK。改めて、僕は暁人。妖狐の暁人だよ。ちゃぁんと、思い出してね」

    そして、綺麗な顔が近付いて来たかと思った時には、唇に柔らかいものが触れた。
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    recommended works

    りんご

    DONEK暁デー、初デート。K←暁のようでK→〈超えられない壁〉←暁です。
    理想のデート像を黙って実行するおじと、訳も分からず振り回されるあっきーの話。
    過去それなりに色んな話を書いてきましたが、ぶっちぎりで砂糖吐きそうな話になったと思います。けけは所々横暴だしあっきーはちょっと暴走気味です。そんな二人の初めてなんて、絶対事件になるに決まってるじゃないですか(笑)
    閻魔帳のきれはしには(1)


    待ち合わせは、やっぱり駅前かなあ
    ベタなのは分かってるよ! でも後に来る僕が気になって、その後ろ姿がどこかそわそわしてるの、きっとかわいいなって思うんだろうな


    ◆◆◆◆◆


    『KK

    今日午前11時。渋谷駅北側に集合。』


    凝り固まった肩を回しながら、ネオンが薄まりゆく都会の路地を暁人はゆったりと歩いていた。長期の仕事が終わって漸くまともな寝食にありつけると思えば、心も穏やかになる。
    こんな職業なので、どうしても一日の行動が普通のそれとは大きくずれ込む時がある。今日はそういった日で、数日掛かりの依頼を何とか終わらせたときには、すっかり空が白み始めていたのだ。

    自分の名前をした空を背にしながら、暁人は連絡のためにスリープモードにしていたスマホを起動させた。そこに表示される、送り主と簡素な一文。暁人が首をひねるのも無理はない。めったに文字でのやり取りを行わない人物から突然こんなものが来たら、誰だって困惑するだろう。自分がいない間に向こうで何かあったのかもしれない。それにしても……メッセージ? 凪いでいた心情の波が僅かに揺れて―――まあいいか、と持ち直した。暁人が暁人たるゆえんは、この微妙な状況に対しての構えがやたら大きいことである。波乱万丈な生い立ちのせいで大概のことは受け流せるようになった結果だった。
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    32honeymoon

    DONE #2023年初めK暁ワンライ
    (盛大に遅刻遅刻ゥ~!!!)
    もうすっかり専売特許になりつつある、あの夜を超えて戻ってきた二心同体K暁でお送りいたします。
    しかし結局今回もワンライどころか3時間かかってしまいました・・・これがポンコツたる所以・・・!
    でも書くのは楽しかったのでこれで良しとしてくださいませ!
    白雀さま、いつも素敵な機会を作ってくださりありがとうございます😊
    雪と兎とおみくじと。ーちらちらと舞い散る、白い雪。
    窓の外、視界を覆うその白さにほう、と息を吐けば、まだ温まり切っていない部屋の空気が暁人の吐いた息のかたちを煙のように可視化してみせた。

    『ー今日は都内でもそれなりに積もるらしいぜ』
    今日が休みでよかったな、と呟くその声にそうだね、と返して、そっと揺れるカーテンを閉める。ぺたぺたとスリッパの足音が、ちいさなワンルームの部屋に響いた。

    「・・・KKはさ、雪って・・・好き?」
    『あ?・・・・まあ、雨よかはマシだな』
    「・・・そうなんだ」

    どこか浮かない顔で、誰にともなく呟くその表情。
    もしKKが目の前に居たなら、きっと「オマエなんて顔してんだ」とでも言われただろうが、暁人の表情を映すものがない今、彼の体の中に居るKKがその顔色を知ることは叶わない。
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