ワンドロお題「狩り」とある山奥に、ひっそりと建つ家がある。
そこに勇者の仲間であるアバンの使徒の長兄と、親友の陸戦騎が住んでいる。
「旅をしていたときを思い出すな」
ヒュンケルがフフっと笑いながら言うその先には、毛皮をなめす作業をしているラーハルトがいる。
旅では狩りをしながら進んでいた。基本的には食べるだけをその都度採るのだが、そのうち毛皮をどうにかできないかと考えたのがラーハルトだ。
元々身の回りの物を作る性分だったラーハルトには、基本的な知識と技術があった。
とはいえ旅先でのこと、十分ななめしができるわけもない。
防腐処理のみ施して町の毛皮業者に買い取ってもらうのがせいぜいだ。それでも路銀になるのでヒュンケルとしてはひたすらありがたかったが、ラーハルトは欲求不満がたまったらしい。
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