Eureka ぱたぱたぱた、と軽やかな足音に続いて、ばん、とキッチンの扉が開いた。
「ラーハルト! 帰ったぞ」
弾んだ声。やたらと機嫌がよさそうだ。
ラーハルトは薬草を選り分けながら振り返る。
「なんだ、早かったな……むぎゅ」
ただいまのハグが力強い。
「ど、どうした。落ち着け。今日の習い事がうまく行ったのか」
「習い事じゃないぞ。これも修行だ」
と、ヒュンケルは嬉しそうに額を擦りつけてくる。
「国王と二人で不吉な儀式を執り行うのが?」
ぽんぽんとその背を叩いてやりながら、ラーハルトが冷たく聞き返す。
「先生に教わっているのは化学実験だ。不吉な儀式じゃない。それに今日の修行は『お掃除』で、師匠は花屋の店番だ」
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