ワンドロお題「太陽」暑い。
というか熱い。
ギラッという擬音がぴったりの太陽を遮る雲は一つもなく、マントを頭から被らなければ死すら脳裏によぎる。
「この太陽ならバーンにくれてやってもいいな…」
「おいヒュンケル、目が座ってるぞ…ところでどういう表現だそれは」
ラーハルトとしては当然の疑問なのだが、ヒュンケルはきょとんとした表情でまじまじと相方を見つめている。
時間としては10秒くらい経っただろうか―ヒュンケルはぽん、と手を打った。
「ああそうか、お前はバーンの地上破壊の目的を知らなかったな!!!」
ラーハルトとしては妙な顔をせざるを得ない。そもそもバーン本人に何か思う事は超竜軍団時代ですらない。
「太陽を欲しがったのか」
「本人はそう表現していた。地上破壊はそのための手段だと。」
バーンパレスの記憶を遡っても、ラーハルトはとにかくバランの遺言通りにダイの役に立つ事と、遺志を託したこの友のこと以外考えていなかった。
故にバーンの、切実さは妙に伝わる行動の理由を聞くのは新鮮だった。
「…まあ、都合の悪いものだけ押し付けるわけにもいかないか」
暑さに辟易した末の軽口とはいえバーンの心情を想えば不適切だったなと反省するヒュンケルだったが、ラーハルトはそれには構わなかった。
「魔界とは如何なる所か、興味が増すな」
「…何故妙に嬉しそうなのだ??」
「??別に嬉しくなどないぞ」
(自分は魔界に郷愁を感じるのか否か、それが判明するのは楽しみだが)