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    キスの日K暁❣️
    健全な初キスをお届けします。

    #K暁

    キスの日キスの日 K暁


    湯船にぽつんと浸かりながら、遠くに聞こえるテレビの音をぼんやりと聞く。鼻先には新品のシャンプーのいい匂いがする。
    恋人って、付き合ってからどれくらいの期間でキスをするものなんだろう。今まで付き合った女の子たちは、申し訳ないことに自らアプローチしてくれる子たちだったから自分から、ということはなかった。だから、長くても1ヶ月だったのだ。それなのに、KKとはいわゆるお付き合いをする、という関係になってから4ヶ月が経った。忙しさも相まって時間が過ぎるのはあっという間だったので気がついたら、という感じではあった。そしてそれだけの時間を接触なく過ごしてしまうと、今更、という恥ずかしさもある。
    そもそもKKがしたいかどうか、というところもネックだ。僕は……僕はしたい。唇に触れたいし、KKがどんな顔するのか気になるし、もっと言えばどんなキスをするのか気になる。して欲しいし、したい。日本にキス文化がないからこそ特別な行為だと思うし、だからしたいんだけど……でもそれって僕がしたいだけだしなぁ。
    今日もKKは気まぐれに泊まりに来ていて、このあと当たり前のように一緒のベッドで眠るのだ。引っ越した時に僕のベッドがボロいからと新しいのを買ってくれたのだが、大きめがいいからとダブルを買ってくれた。一緒に寝るのにいいだろ、としれっと言ってのけた表情があまりにも平然としていたものだから、当たり前のように僕も受け入れていたけど、その日の夜はソワソワしてしまった。今じゃ慣れてしまって一人じゃ広いなぁ、くらいに思うだけになってしまった。なんだかもったいない気もする。それに一緒に眠るのだって、初めはそりゃあもうドキドキして仕方なかったのに……今となっては、KKが居てくれる方がすんなり眠れるしすんなり起きられる。だから一緒に眠ること自体はすごく好きな時間だ。
    それまでに、キスができたらいいなぁと淡い期待を抱きつつ、そろそろのぼせそうだと湯船を出る。体がほんのり赤みを帯びて熱を持つ。この熱は風呂のせい、うん。ちゃんと着替えて髪を拭きながらリビングに戻ると、テレビに向いていた視線がふとこちらを向いた。
    「長かったな、のぼせてないか?」
    「ちょっと暑いかな」
    「お茶飲め、お茶」
    ローテーブルのグラスに注いでもらったお茶を一口に飲み干して、何気なく隣に座ってテレビを見る。よくあるバラエティだ。美味しそうな料理が写っている。ぼんやりと眺めながら髪を拭いて、ある程度乾いたらドライヤーをかけに戻る。なかなか乾かない、少し伸びてきたな、そろそろ切りに行かないと。
    リビングに戻る時、少しだけ考えてからKKのすぐ隣に座る。膝がすぐ触れそうでひとりソワソワとしてしまうが、そんなことは知らないKKがスンッと鼻を鳴らした。
    「シャンプー変えたか?」
    「え?ああ、うん。新しいの開けたんだ」
    「へぇ、いい匂いだな」
    何気なく寄せられた顔、頭に添えられた手、そういう意図はなく耳のすぐ上の髪をすんすんと香られる。フワッとタバコの匂いがして、その後にKKの匂いがする。ああ、近いな。
    「ねぇ、KK」
    「ん?」
    「今日ね、キスの日なんだって」
    僕の視線は足元に落ちたまま。なんて返してくるのか、分からないままじっと待つ。まだすぐ真横に体温を感じる。じっと見られてる。耳まで赤くなってるんじゃないだろうか。だんだん緊張してくる、なんで何も言ってくれないんだろう、言わない方がよかったかな。じわじわと後悔が広がる胸中をグッと堪えていたら、耳元に囁かれる。
    「したいのか」
    いつもより低く、落ち着いて吹き込まれたその音を理解するのに少し時間がかかった。耳元にかかる吐息がいけない刺激を生む。僕だって健全な男子だ、恋人にそんなことされて何もないわけがない。
    「し、したいよ」
    少し声が震えてしまった。恥ずかしさに思わず目を閉じると、すぐ隣で笑ったように空気が震える。
    「暁人」
    名前を呼ばれ、ゆっくりと顔を上げる。カチッとぶつかった視線に捉えられ、呼吸もうまくできているか分からなくなる。
    「そんな顔するな、取って食ったりしねぇから。ほら、目ェ瞑れ」
    言われるがままにキュッと目を閉じると、近づく気配、唇に触れる柔らかく湿った感触。それだけなら今までと変わらない。それに加え、口周りに触れるちくちくとした髭の感触、頭に添えられる大きな手、さっきより強く香るタバコの香り。あぁ、KKだ……!
    触れるだけで離れていってしまう温度が寂しい。それに、もっと深いのも……って、それは求めすぎ?今日はこのくらいにしておいた方がいいのかな。ゆっくりと目を開けたら、今までに見たことがないくらい柔らかく笑うKKと目が合った。
    「お前、そんな顔するんだな」
    「……どんな顔」
    「すげぇ可愛い顔」
    「馬鹿にしてる?」
    「んなわけないだろ。真面目に言ってんだ」
    フッと緩んだ口元に視線が吸い寄せられる。さっきまで、触れてたんだ。唇に残る感触を思い出して、つい欲しくなる。
    「……あの、さ」
    「うん?どうした?」
    「もう一回、したい」
    KKの服の裾を握るのが精一杯で手すら握れないのに、なんて気がついたのはだいぶ後で、ニヤッと笑ったKKに距離を詰められて視線を泳がせる。
    「一回、でいいのか」
    「……やだ。いっぱいして」
    「暁人くんは欲張りだな。それでいい」
    後頭部をすりすりと指先が撫でる。近くで感じるKKの匂いに気持ちが落ち着けばいいのか、それとも近づく唇に心臓が暴れればいいのか、混乱してるうちに触れる柔らかさに意識が持っていかれる。
    ああ、もう、いいや。
    ぐちゃぐちゃになった気持ちも吹っ切って、その背中に腕を回す。少しずれた唇を合わせ直して、さらに強く抱き寄せられる。不安定な体勢なのにしっかり抱え込まれて、温まっているはずの体がさらに熱を上げる。今までリードされたことなんてほとんどなかったから、キスをされることすら新鮮なのに新しいことがたくさんあって、抱き寄せられる腕の強さとか、控えめに唇に触れる舌の感触とか、そっと背中を撫でる指先の優しさとか、一つ一つが自分の身に刻まれていく。どれを取っても優しくて暖かくて、幸せだって思う。
    KKからされるキス。初めても、2回目も、そしてこれからも、きっとこうして幸せを重ねていくんだろうな。
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