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    MondLicht_725

    こちらはじゅじゅの夏五のみです

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    MondLicht_725

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    夏五版ワンドロワンライ第65回お題「喝采」お借りしました。
    原作軸の夏五+α。
    暗い?

    #夏五
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    夏五版ワンドロワンライ第65回お題「喝采」 さあさ、お立会い。
     ご用とお急ぎでない方は、ゆっくりと聞いていってね。

     ここにおりますのは、非常にグットルッキングな男。姓は五条、名は悟。京都の名家のひとり息子として生まれ、かなりレアな力を併せ持って生まれたがために蝶よ花よと大切に育てられました。広大な屋敷の外に出ることはほとんどなく、ゆえに頭の中に詰め込まれたのは世間一般とは少々、いやかーなーりーかけ離れた常識。
     五条家の常識は世間様の非常識。世界が屋敷の中だけの子供の頃はそれでよかったが、この五条悟、高校1年にして初めてひとり外に出ることになりまして。場所は首都東京、大都会――と思いきや、ずっとずーっと山の方。ひっそり隠れるように佇む専門学校。
     ここで悟は初めて、五条家以外の人間と長く接することになりました。
     初めて出会った人には「はじめまして」、これから少なからず生活の大部分をともにする相手には「どうぞよろしく」。その程度の挨拶もわからないものだから、当然ながら校内に入って早々に同級生となる少年と大喧嘩する羽目になったのでございます。
     悟が持っていた常識と同級生となる少年が持っていた常識、まるで異なっていたのですから当然です。
     ただ悟にとって幸いだったのは、たった2人しかいなかった同級生がなんだかんだ世話を焼いてくれたことです。再び五条家にだけ引きこもって生きていくのならば今まで通りで良かったでしょうが、外の世界で生きていくと決めたからには知らなければならないことはたくさんありました。
     初っ端派手に喧嘩をしたというのに男の方の同級生はなかなか面倒見がよく、都度喧嘩をしたり汚い言葉で罵り合いながら、いろんなことを教えてくれました。今の悟を形成している大抵のことは、彼から聞いたと言っても過言ではありません。
     いつしかふたりは親友になり、一緒にいることが当たり前になりました。この先もずっと、隣に並んでいられると思っていました。
     ――少なくとも、悟はそうでした。
     きっと、完璧に”こちら”側の人間になれたのだと勘違いしていたのです。悟はずっと、五条家のお坊ちゃまのままだったのです。
     だから、親友の様子がおかしいことにも気づけなかったし、何に絶望して、何に怒って、背を向けて去っていたのかも結局は理解できないままでした。
     ひとりになった悟は、それでも自分なりに頑張ってきました。
     腐った界隈を少しでも改善するために何が必要なのかを考え、たとえ自分ひとりが最強でも手から零れ落ちていくものの多さに気づき、後進を育てることに決めました。やっていることが本当に正しいのか、なんて考えることは止めて、ただひたすらに走り続けました。
     そうして10年後、悟は大きな敵として、かつての親友と再会したのです。
     親友は、悟の生徒を殺そうとし、傷つけました。かつては守るべき存在だと正論を履いていた非術師を殺そうとしました。世界を、ひっくり返そうとしたのです。
     しかし生徒との戦いに敗れ、悟が駆け付けたときにはすでに風前の灯火。ほんのわずかに残っていた炎を完全に吹き消したのは、悟でした。これからどんなに話し合っても、諭しても、親友の意志は変わらないとわかっていたからです。だから再び敵として相対することのないように、悟は親友を殺しました。
     喧嘩別れしても、考えていることが理解できなくても、悟にとって親友は親友のままでした。だからその喪失感は大きく、ふとした瞬間影を落とすこともありました。
     それでも、切り替えて前に進もうとしました。世界の状況は、なにも変わっていなかったのです。呪霊は増えていくどころかレベルもどんどん上がっていく始末、新しい生徒たちも迎え入れて、後ろを振り向く暇などありませんでした。
     また、必死に走り始めました。
     走って、駆けて、そして――――悟は再び親友と再会しました。正確には、親友の皮を被った”何者か”と、顔を合わせたのです。
     その瞬間、脳内に溢れ出したのは、3年間の青い春。

    「それで結果はどうなったか?ご覧のとおり、閉じ込められて身動き取れないままだとさ」

     ”外”で何が起こっているのかわかりません。どのくらいの犠牲者が出ているのかも知りません。どんなに足掻いても、ここから出ることは叶いません。
     できるのはただ――――だけ。

    「以上。クソつまらない話、ご清聴ありがとうございました」

     拍手喝采。
     これにておしまい。

























     ノートを閉じる。人のものを勝手に見てはいけない。たとえ、これ見よがしにテーブルに広げたままであっても、一字一句隅から隅まで覗いてはいけないのだ。
     わかってはいたが、いつもは単語で書き殴るだけなのに珍しく長文があったのでどうしても気になってしまって、読んでしまったのだ。
    「あ、それ読んだ?やっぱネタとしては面白くないよなぁ」
     パンツ1枚だけの姿で頭からバスタオルを被り、ぽつりぽつり、水滴を廊下に垂れ流しながら相方が短いシャワーから戻ってくる。またろくに乾かさずに出てきて、廊下がびしょ濡れじゃないか!
     って、それどころじゃなくて。
    「さ、悟、これって」
    「もうひとつ考えてんのはさ、そんなクソッタレなことがあったのに今も相変わらず親友と一緒に居ちゃうバカな男の話なんだけどさ、どう思う?」




    ***
    最後の祓本は記憶有で五記憶なしだと思ってる夏と全部知ってる五です
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    ❤☺
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