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    時間旅行者

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    時間旅行者

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    幼少期フリ→サンからの大人サン→フリ
    いつ書いたかわからない、書きたいとこだけ書いたであろう文です。まじで何も整えてないので情景やセリフがあっちこっち切り替わります。おそらく最後までかけないので供養。
    ゆっくり追加してくかも。

    #sansxfrisk
    freshAsADaisy

    無題「サンズ、じぶんと結婚してください。」
     引っ掛かったものの正体を掴もうとして顔を傾けたとき、もっちりとした顔にそう言われたのは突然のことだった。
    「……あー……」
     目を泳がせてからふとこどもの手を見ると、服の端が固く握り込まれていた。あぁ、これか。と納得してから、子供の指を優しく解かせて、「あぶないから突然掴むのはやめてくれよ」と頭を撫でる。
    「結婚しよう」
    「聞こえてるって」
     フリスクは鈴がなるような、しかし強かに声を上げ、バッと突然腕を持ち上げた。その剣幕に押されて、その手に握られたものとフリスクの顔と見比べる。
     サンズは服を整えてから、差し出されたクローバーを受け取った。まじまじと眺めて、そしてその視線をフリスクに移す。
    「きれいなクローバーだな。」
    「でしょう。」フリスクは誇らしげに腕を組んで、「きみのこと考えてたら見つけたんだ」とぱちりと星を鳴らした、気がした。ウインクでもしたつもりなのだろう。
     あぁ、そうかい。なんでもないように相槌を打って、クローバーに視線を戻す。小さいけれど、形が整っていて瑞々しく、淡く優しい色をしていた。その様子を眺めるこどもの表情筋はどこへやら、三本線が弧を描くことはない。
    「きみのこと考えてたら見つけたんだ」か。よくもまぁそんなキザなセリフが言えたもんだ、と軽く肩をすくめる。
     だいたいアンタそれ、いろんなやつに言ってるだろ。それでパピルスにも、アンダインにも、アルフィーにも、ツンデレひこうきにも断られてたじゃないか。
     そうこぼそうとして、口を閉ざす。これは言うべきじゃない。
    「それで……」
     フリスクがそわそわとこちらを見ていない隙に、足元の水溜りで寝癖がないか確認した。水溜りのフリスクと目が合う。
    「……ううん、なんでもない。ゆっくり仲良くなろうじゃない、サンズ。クローバー気に入ってくれた?」
    「……あぁ。」
     それはよかった。こどもはそう言って目尻を下げると、「じゃあ、また」と踵を返した。なんだ、案外さっぱりとしている。パピルスのときなんかはもっとしつこくなかったか?
     クローバーを見た時すぐ、フリスクとパピルスの掛け合いを思い出していた。あのときも確かクローバーを渡していたっけ。断られていたけれど。
     フリスクからもらったクローバーと共に、離れていくフリスクの背中をそっと見守った。

     ところで。
     人間は短命である。ご存知だろうか。
     一つのものに固執なんかしていたら、あっという間に世界を知らないまま御陀仏してしまう生き物なのである。そうはならないように、短命を哀れんだ神が、短命を解決するわけではなく飽き性という性質を人間に備わせることで、無理矢理にでも人の短い生にたくさんの色彩を加えてやろうとしたのである。
     目移りするというのは実はそんなに悪いことではない。人間にとってごく当たり前で、当然あるべき特性なのだ。
     それは――そう。例えば、飽き性とは縁遠いような、決意が固いニンゲンにとっても。

    「結婚することになった」
     フリスクは長年一緒にいないと気づかないくらいの微笑みを携えて、長らく付き添っていたらしいパートナー、そしてこれからも長くともに過ごすらしい人を紹介した。最初、サンズはフリスクが何を言っているのか理解できたかった。ただ、「まぁっ」とトリエルが声を上げたのを皮切りに、やっと頭の中にぬるりと言葉が入り込んでくる。それは奇妙なもので、なんとなく、サンズはフリスクが誰とも一緒にならないような気がしていた。だから理解してもなおなにかの冗談かと思ったし、そして同時に、裏切られた、と。そう思ったのだ。

    「人間は短命だ」
    「だから、あいつは、あいつもきっと飽き性だ。アンタのことなんか、きっとすぐ飽きる。」
    「おいらはモンスターだから、人間みたいにすぐ飽きないし、一途だよ。あんなやつよりそういうやつと一緒にいたほうが絶対幸せになれると思うぜ」
    「それに、人間よりも、モンスターのほうが変わり種っぽくて面白いだろ?アンタは面白いものが好きだ、そうだろ」
    「そもそも、結婚自体アンタらしくないな。あちこち走り回っていろんな物に興味を寄せて。そうやって、定住できるような質じゃないだろ。」

     フリスクの服の裾に土やシロツメクサの花びらがついているのを横目で捉えた。頑張って草むらを掻き分けているフリスクの姿を想像して、愛おしさと同時にない胸がときめいた。自分のためにその時間を割いてくれているのかと思うと頬が緩んだ。
     パピルスや他のモンスターを口説いているのをずっと見ていた。木の陰から、そっと。最後には必ず振られるフリスクに、「アイツら見る目がねぇな」ともやもやしたものを抱えるのと同時に、安心感も覚えていた。
     誰のものにもならないと思っていた。ならば興味ないふりをしようと思った。こどもは大変飽き性であったから。
     誰しも、正体がわからないものほど興味をひかれるものだ。
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