霧を突っ切る方法を見つけ、ガソリン、タービンホイール、そして冥界の香油を集めたところで暁人が倒れた。
俺はふらふらとする暁人の身体をなんとか動かし、一旦ベンチで横になる。
無理もない。もともと事故で死にかけてた身体に俺が入って無理矢理霊力を使わせている。飲み込みが早いので忘れそうだがどれも一日で使いこなせるような技ではない。
適宜回復しているとはいえ、霧や穢れにも触れている。
何よりこの雨だ。いくら夏だからと言ってもずっと体が濡れているのは流石に堪えるだろう。
「僕は大丈夫だよ…KK…早く麻里を助けに行こう」
気力で立ち上がろうとする暁人の意識を抑え、無理矢理座らせる。クソッ雨がまた降ってきやがった。
一旦屋根のあるところでちゃんと寝かせてやりたいが、残念なことにアジトもガレージもそこそこ遠い。このまま暁人の体を引きずっていくのは骨が折れる。
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