※強めの幻覚
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「おや、祓い屋の弟子じゃないか」
住宅街の中にある小さな公園に足を踏み入れた瞬間、声を掛けられて暁人は反射的に声の方へと顔を向けた。
公園に置いてあるベンチに座る一人の男。
眼鏡にマスク、それに白衣を着ている。周りの風景から少しばかり浮いている男は、軽く手を上げた。
誰だろうと、僅かに首を傾げる。
男は小さく笑ってから、手招きをした。
祓い屋、というからには暁人のしている仕事を知っている人物。
今、暁人は超常現象だの霊だの妖怪だのといった普通では目に見えないもの「怪異」を調査したり祓ったりする仕事の手伝いをしている。
渋谷の街で起こったある事件からの縁だ。表向きには渋谷の人間が一瞬集団で意識を失ったということになっている。
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