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    slow006

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    slow006

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    及菅でDom/Subユニバース。よく見るハードなやつじゃなくて、Dom菅原とSub及川の優しい関係が見たいんじゃよ……。ここからハードな感じを試してみる二人も良いけどさ……。

    #及菅
    andKan

    「Look(こっちを見て)」

    菅原と及川のPlayは、いつも決まったCommandから始まる。Subである及川は、Domである菅原のCommandに従い、すぐさま視線を合わせる。すると菅原がニコリと笑う。それだけで充足感があり、そして、これから始まることに期待で胸が膨らんだ。

    「おいで」

    トントンと菅原が座っているソファーを叩く。菅原は二人掛けのソファーの片側に寄って座っているから、隣に座れということだ。視線はそのまま、テーブルを挟んで向かいに立っていた及川はすぐに隣へと腰掛けた。すると、隣に座っていた菅原は甘えるように
    及川の膝に乗る。そうして、わしゃりと及川の髪を撫ぜた。頭を抱えるようにして、両手で頭を撫でられる。「良い子、良い子」と上から降ってくる声に及川は上機嫌だ。Commandを出す菅原も同じようで、ふふふと声を漏らして頭を撫で回し続けている。

    及川はSubとしての欲求が弱い。だから躾もお仕置きもあまり好きではない。とはいえ、Subである以上ある程度の欲求は生まれるので、難しいところだった。何せ、Domの連中ときたら支配欲が強い人間が多い。及川の容姿や能力も手伝って、これまで出会ってきたDomは酷かった。曰く、加虐心を煽るのだとか。自分より優れた人間を屈服させるのが楽しいのだとか。そんなものは知らないと一蹴したいところだが、それは人によりけり。Domの本能が手伝っていると言うならばどうしようもない。詰まるところ、相性が悪かったのだ。

    そんななか出会ったのが菅原である。同じ地区のバレーボール部員であったため、試合で何度か顔を合わせたことがあった。そのときはお互いの性質は知らず、なんやかんやあって、卒業後に再開した際知ったのである。互いにパートナーがおらず、それじゃあ試しに付き合ってみるかと今に至る。
    最初は警戒していた及川だったが、それは杞憂に終わった。いざ付き合ってみると、菅原も及川同様、Domとしての欲求が弱かったのだ。ただたた簡単なCommandを出され、優しくされて、褒められる。こんなに心地の良いことはなかった。初めに決めたセーフワードも一度も使ったことがない。
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    Replies from the creator

    slow006

    DONEリプorマロ来たセリフで短編書くで、リクエストしてもらいました!
    思い出を全部大事に抱えているのは、及川の方だと思っている。
    ねぇ、こうちゃんいつのまにか眠っていたようだった。
    日曜の昼下がり、暖かな春の空気に包まれて菅原はすっかり眠くなってしまった。ぼんやりとした頭と気怠い身体に逆らうことなく、居間にあるソファーに深く腰掛け、微睡むこと早一時間。せっかくの休日が……と、のろのろ身体を起こすが、左手だけ自由が利かず、立ち上がるまでには至れない。仕方がないかと半開きになったベランダへと続くガラス扉のほうを見る。すると、網戸越しにベランダの手すりの上をするりと通るかたまりが見え、菅原は二十代の頃に暮らしていたアパートを思い出した。同じようにベランダの手すりの上を滑るかたまり。斑ら模様を歪ませながら手すりの上を器用に歩くのは、菅原の住むアパートの、二軒先の戸建てで飼われている猫だった。さぞ良いものを食べているようで、外を出歩いているのにも拘らず毛並みが良く、水晶玉のような瞳はきらきらと輝いていたのを覚えている。いつだって仏頂面をしているその猫はどこか及川の幼馴染である岩泉を彷彿とさせるため、菅原は勝手に「岩泉」と呼んでいた。それに対し、及川は「スガちゃんさあ、よく見て!岩ちゃんはもっと愛嬌ある顔してるし!」と遺憾の意を示したが、菅原がそれを受け入れることはなかった。そもそもこの猫が家人に「ミーコ」と呼ばれていることを知っている。それでも、菅原にはもう岩泉にしか見えないので「岩泉」なのだ。
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    slow006

    DONEリプorマロ来たセリフで短編書くで、リクエストしてもらいました!
    弱っている及川さん良いよねと思いつつ、こんな弱り方するか?と己の解釈と戦っている……。想定していたシチュじゃなかったら申し訳ない……。
    何も云わないで薄暗い玄関にいた。春からの新生活に向けて引っ越したばかりの部屋は物が少なく、未開封の段ボールがそこらかしこに鎮座している。引っ越した、と言ってもまだ準備段階。ここに住んでいるわけではなく、住環境を整えている真っ最中だ。照明もまともに機能しているのは部屋のなかだけ。玄関は用意していた電球ではワット数が合わず、そのままになっている。

    三月も終わりに差し掛かった頃、菅原のもとに一件のメッセージが届く。「これから会えない?」とただ一言。差出人は及川徹。半年ほど前から菅原と交際をしている、要は恋人である。恋人といっても付き合い始めた時期が悪い。部活だ受験だと慌ただしく互い違いになることもしばしば。そもそも通う学校が違う。きちんとしたデートは指で数える程度。なんとか隙間を見つけては逢瀬を重ねていたが、それでもやっぱり恋人というには時間が足りない気がしていた。そして、この春から二人は離れ離れになる。菅原は地元の大学へ進学。及川は単身、アルゼンチンに行くという。どうやら知己の人物を師事してとのことだが、よもや誰が予想できただろうか。それを初めて耳にしたとき、菅原は「そっか」とただ一言だけ返した。完全なるキャパシティオーバーで受け止めるのがやっとだった。
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