その日報告書で帰れなかった。明日から三日ほど家にいません、と帰ってきてリビングにいた僕をカバンも置かずに抱きしめながら涙声でそう言うので「静かになるな」と言えば「寂しくはないんですか……?」と悲しそうに眉を下げた。
寂しくなるか否かなんて、分かりきったことを聴く。
「仕事だろう、僕みたいに半年や一年帰らないわけじゃない。
ただの三日だ」
「ただの三日でも、ボクは寂しいです」
力を込めて抱きしめてくる、走ってきたのだろうか微かに汗の匂いがして僕は押し退けるように腕で胸板を押す。
「ハララさんも着いてきてください」
「僕は久しぶりのオフだ。
と言っても、用事でカナイ区には立ち寄るつもりだがな」
カナイ区、という言葉にユーマがぴくりと反応する。
「なんでカナイ区」
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