情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ③初夜編・絶対付き合えないと思っていた長谷部と初夜を迎えている現実に喜びと緊張と興奮を感じて一周回って勃たない審神者。い、いつもは元気なんです……。
・緊張してなかなかゴムをつけられない審神者。もういい、なまでいい、と急かす長谷部。
・激しく事に励んだ次の日、長谷部がツヤツヤしており審神者は腰を押さえているので逆だと思われる。
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どこに出しても恥ずかしくない童貞だった。
だった、し、一生そうだと思っていた。一生、長谷部に片思いしたままなんだと思ってた。でも色々あって、両想いだってことが分かって、そうと分かったらお互いその先にも進みたいタイプで、それで、いま、
「ち、ちがうんだよ」
俺は泣きそうだった。
どうしていつもこうなんだろう。長谷部の前では非の打ち所がない完璧な主でいたい、完璧な恋人でいたい、そう思うのに、気付けば喉から情けない震えた声が零れている。
「主……」
そんな俺にも長谷部は優しい声を出すので益々申し訳なくてついに鼻を啜った。ぽた、と涙が零れて布団の上に染みを作った。俺の部屋の、俺の布団だ。長谷部と膝を突き合わせて、さっきまでキスしたり触り合ったり、とてもいい雰囲気だったのに、いざとなると俺の愚息は何の兆しもなく下着の中に大人しく納まっている。
「ちがうんだよ、ほんとに」
俺はもう一度訴える。
「いつもは、長谷部のこと考えると絶対部屋から出られないくらい元気になるし、さっきキスした時既に勃ってたし、だからほんとは昼間長谷部にキスされるのも結構やばくて、だってその後演練とかあったら俺、出かける前にトイレから出られなく、」
「わ、分かりましたから」
長谷部の綺麗で長い指が俺の唇に触れる。灯りを最低限にしてはいるけど、耳まで赤いのが見てとれた。
「緊張していらっしゃるんでしょう。分かっていますから……俺は共寝だけでも、じゅうぶん、」
「で、でもさあ」
俺はぐすぐすと鼻を鳴らしながら首を振った。
「三回目じゃん、もう」
別に不能じゃないのは自分でもよく分かっているはずなのに、そういう雰囲気の夜が既に二回、健全なまま過ぎ去っていったのだ。焦っていた。長谷部と一線を越えるぞ、と意気込んだ最初の夜からずっとそうだ。絶対片思いで終わると思っていたのが嘘みたいに嬉しくて、緊張ももちろんしたし、興奮もしていたし、それなのに、いざそういう雰囲気になると体だけが追い付いてくれなかった。
「はせべ」
「はい」
涙声で呼べば、長谷部は困ったように、けれど優しく返事をする。
「長谷部のことが大好きなんだよ」
「はい」
「だ、きたいと、思ってるし」
「っ、はい」
「なのに、なんで……」
「あるじ」
どんどん頭が下がっていってしまう俺の顎は途中で長谷部の手に掬い取られた。そのまま顔を上に向けられて、ちゅ、と触れるだけの口づけが落ちてくる。俺はきっとひどい顔をしているのに、口づけも、長谷部の表情も優しくてまた泣きだしそうになる。
「俺も、貴方のことが好きです。貴方の気持ちも、分かっています。それでいいじゃないですか」
「っ、う」
「機会は何度でもあります。……そうでしょう?」
「は、長谷部が、いやになったり、してない、なら……」
「なるわけがありません」
拗ねたように、でもきっぱりと言い切った長谷部は俺をぎゅうと強く抱き締めてくれた。首筋に顔を埋めれば、湿った肌から石鹸の匂いがする。みんな同じものを使っているはずなのに、特別いい匂いがするから不思議だ。背中をぽんぽんとあやすように叩かれて、やっぱり情けなくてまた嗚咽が漏れそうになったけど、ぐっと飲み込んで我慢する。寝ましょうか、と少し乱れた布団を直し始めた長谷部に、俺は「待って」と声を絞り出した。
「ね、寝る前に、さ」
正座したままの長谷部の膝に手を伸ばす。遮られてしまう前に、布越しのそこに触れる。
「っ、」
張りつめた熱。息を呑む音が聞こえた。
「……これ、俺が、する、から」
「だ、だめです、そんな」
さっきまで俺を嗜めていた長谷部が急に慌てだす。うまく隠されていたけれど、三回目ともなればいい加減放っていくこともできない。寝巻の裾をはだけさせると、下着の上からでも形が分かるほど、性器が硬度を持って布を持ち上げていた。
「……前も、夜中に起きて、お手洗いに行ってたの、一人でしてたんでしょ」
「そ、れは」
下着に手を掛けると、肩を押さえられる。
「……いや?」
「い、いやというか、」
本気の抵抗では全然なかったので(というか本気で抵抗されたら俺は手も足も出ない)構わず下着をずり下げる。重そうに首を擡げたそれがまろび出て、思わず生唾を飲み込んだ。血管がくっきりと浮き出ていて、既に先走りで濡れた性器がそそり立っている。綺麗でかっこよくて凛々しくて最高に美しい俺の長谷部にも、俺と同じものがついているんだということに今更ながら感動を覚えた。根元に手を添えると僅かに震える性器。髪と同じく色素の薄い下生え、はだけた寝巻からは綺麗に割れた腹筋も覗いていて、見れば見る程彫刻のように美しい。もう一度、ごくりと喉を鳴らして、申し訳なさそうにしている長谷部の顔をそっと覗く。
「舐めてもいい?」
訊いてはみたものの、返事を待たずに身を屈めて、先端に唇を寄せた。
「っな、主、待っ」
制止の言葉は聞こえなかったことにして、まずは舌先で先端を舐める。想像より抵抗はなかった。つるりとした亀頭にぺろぺろと舌を這わせる。
「っ、ふ……」
唾液の溜まった口を開き、ぱくりと口に含んだ。全部は入りきらないので、竿に指を添えて擦りながら頭を上下させてしゃぶる。口の中に苦みが広がったけれど、溢れてくる唾液を纏わせながら吸い付くと然程気にならなくなっていた。
「ぁ、んぅ……っ、ふ」
じゅぶ、じゅぶ、と濁った水音と、鼻にかかったような甘い吐息が耳を打つ。気持ちいいかな、大丈夫かな、これで合ってるかな、と思うけど、口の中の質量がぐぐ、と増して喉を圧迫したので、え、まだ大きくなる? という戸惑いと、ちゃんと反応してる、という安堵で、俺はより喉の奥に性器をくわえこんだ。苦しい。
「んっ、ぐ、んぶ」
「! あ、るじ、そんな、あっ」
切羽詰まった声が振ってくる。口の中いっぱいになった性器がびくびくと震えていた。そっと見上げると長谷部の眉間には深い皺が寄っていて、目尻に涙が溜まっている。その表情に、声に、カッと頬が熱くなった。かわいい。口がふさがってて、伝えられないのがもどかしい。股間のあたりが苦しくて、手を伸ばすとあんなに大人しかった愚息がむくりと下着を持ち上げている。片手で布越しに性器を揉みながら、口いっぱいに膨らんでいるものをいっそう強く喉奥で扱いた。
「っ、んむ、う、ふ……っ」
「ぁっ、だめです、も、あ、あるじ、あるじ、だめ……っ」
「~~~ッ」
肩を掴まれたけど、俺は引かなかった。口の中で性器が脈打ち、喉奥に熱いものが叩きつけられる。
「んっ、うえ、げほっ」
「あ……っ」
ずるりと性器が引き抜かれ、真っ青になった長谷部が枕元のティッシュを差し出す。
「も、申し訳ありません!! 俺……」
「だ、いじょ、ぶ……っ」
長谷部が焦ってるの、珍しいな、とちょっと面白くなったものの、咳き込む度にぼたぼたと白濁が溢れて、差し出されたティッシュに落ちた。
「すご、いっぱい出た……」
「あ、も、申し訳……」
おろおろして何度も頭を下げる長谷部に、俺はぼうっとした頭を振る。嬉しかった。やっと、長谷部にお返しができた。
「良かった、俺、ちゃんとできてた?」
「そ、れはもちろん……」
今度は真っ赤になった長谷部の視線が、俺の股間に落ちる。舐めている内にこっちの寝巻もはだけて、勃起した性器が下着を湿らせていた。
「主も……」
「な、なんか舐めてたら俺も興奮しちゃって……」
苦しかったし、まだ口の中はねばついているけど、俺も長谷部のことを気持ちよくできるんだと思うと、その苦しさも嫌じゃなくて、むしろ高揚していた。今更臨戦態勢になってもさあ、と苦笑いしたい気持ちではある。
「す、する? あっ、でも準備とか、今からじゃ、!?」
今夜もこのまま寝るしかないだろうと思って、でもこれをなんとかしないことには、と前かがみでそっと身を起こそうとしたのに、次の瞬間には布団に転がされていた。え、と思う間もなく影が覆い被さってくる。ぎらついた藤色に見下ろされていて、ぞくりと腰が震えた。
「主……っ」
「んっ、」
噛みつくように口づけられて、差し込まれた舌が口に残った精液をかき混ぜてぐちゅぐちゅと音を立てる。音を立てているのは、そこだけじゃなかったけれど。視界の端で、長谷部が下肢に伸ばした手を動かしているのが見えた。そっちからも、ぐちゅ、じゅぶ、と濁った水音がしていて、口づけの合間に掠れた喘ぎ声が漏れている。
「はぁ、あっ、ぅん……」
「な、に……っ」
一度兆しを見せた俺の股間はすっかり元気になって、ずらした下着から勢いよくまろび出た。唇を離した長谷部がそこへ腰を下ろそうとするので俺は慌てる。
「ま、待って、待って」
「待ちません」
体を跨がれていて、思うように動けなかったけれどどうにか長谷部の肩を押さえる。天を仰いだ性器の先端が、今にも狭い孔に吸い付かれそうだった。
「じゅ、じゅんび、」
「できてますから」
「えっ? いや、待って、でも、ちゃんとしないと、あれ、」
ぷちゅ、と柔らかいところに先っちょが飲み込まれた気がする。ぞく、と背筋を微かな快感が走る。待って待ってと繰り返しながら俺は手を彷徨わせた。ティッシュの横に置いてたはずなのに。あ、あった。
「ゴム、つけないと、あ、開かない……」
練習したはずなのに、手はべたついていてコンドームのパッケージが破れない。また泣きそう。
「はあ……」
悩まし気な溜息が降ってきて、俺が泣く前に、コンドームはひょいと取り上げられてしまった。そのままぽいと軽い動作で放られてしまう。え、と思っている内に、ぬる、と亀頭が暖かいものに包まれて、悲鳴を上げかけた。
「いいですから……このまま、ね……?」
「あっ、まっ、て」
「ふ、ぁ……あっ、」
「んぁ、あっ! あ、ま、って、ってばぁ……ッ」
ぬち、と粘着質な音をさせて性器が飲み込まれていく。熱くて狭くて、きゅう、と締め付けられて堪らない。長谷部はゆっくり腰を下ろしていく。時折ゆらりと腰を揺らして、その度に性器が刺激されて俺は息をのんだ。どうしよう、と思った。じわじわと快感の波が押し寄せてくる。飲み込まれる度、うねる肉壁に性器が扱かれる。こんなの、すぐ出ちゃう。いやそもそも、何の準備もしていないのに……気持ちいい――長谷部は、大丈夫なのか。ほんとは、……腰の後ろがぞわぞわする。――ほんとは、俺が、……またびくってなった――あれ、なんだっけ……そうだ、俺が、ちゃんと慣らさないといけなかったのに、
頭が「気持ちいい」と「どうしよう」でいっぱいで、でも絶え間なく与えられる刺激でくらくらして、まともに考えられなくなる。
「っは、あ……」
腹の上で、長谷部が荒い呼吸を繰り返している。顔が真っ赤で、でも満足そうに薄く笑っている。綺麗だ、と思うのと同時に、艶めかしい表情にこっちの顔も体も熱くなる。ぐぷ、ぐちゅ、と淫靡な音が響いて、長谷部の尻たぶに俺の下生えが触れ合った。
「ふ、入っ、た……」
「っ……ん、ぅ」
声を出すと出てしまいそうだった。
「……も、しかして、さあ……」
ゆっくり息を吐いて、長谷部と視線を合わせる。
「準備、してきた……? 前も、その前も……?」
ふふ、と照れ笑いが返ってくる。結合部から、先走りとは別のぬるついた液体が溢れている。微かに人工的な花の香りが漂っていた。いくらなんでも、すんなり入ってしまうのは変だと思ったら、やっぱり。心底申し訳なくなる。長谷部は準備してくれていたのに、俺は前も、その前も……。
「主……」
「んっ、」
長谷部が身を屈めて、繋がった部分が擦れる。思わず漏らした声はそのまま唇に飲み込まれた。色々言いたいことはあるのに、キスされると何も言えなくなってしまう。舌先が絡み合って、すぐに思考が蕩けていった。行き場のない手は敷き布に縫い付けられるように抑えられて、動けない。
「ん、ふぁ、」
「っは、あ、んむ、んぅ」
ちゅ、ちゅ、と何度も舌を吸われて、荒い呼吸が混ざり合う。俺の上で長谷部は腰を揺らして、動く度、息を吐く度、柔らかくて狭い肉の壁がうねって、ぬぷぬぷと性器を扱いてるようだった。二人の体の間で、長谷部の性器も、腰を下ろす度ぶるんと反り返っている。
「あ、んっ、あるじ、俺の、ナカ……っ、気持ちいい、ですか……っ?」
「うぁ、あ、っそ、んな、の、~~っ、ま、って」
「ン……っどう、です……?」
「は、ひッ……」
気持ち良かった。気持ち良かったけど、絶え間なく押し寄せる射精感を乗り切るのに必死で、今日何度目かの「待って」が口をついて出る。
「で、ちゃう、からっ、あ、ああっ、う…ッ うう~」
「ふ、ふふ、どうぞ……?」
「ンぁ、う、うっ、あぁっ」
長谷部の火照った顔に不敵な笑みが浮かぶ。待って、と言う前に、ずるる、と性器が解放される感覚に腰が震えた。そしてまたゆっくり腰が落ちてきて、先端がちゅうっと吸い付かれる。エラのところが何度も擦られて、声が出ない。
「~~~ッ、」
「っはぁ、ここ、お好きなんですね……?」
「ん、んっ! す、き……きもちい……」
「おれも、です……ッぁ、んっ」
気持ちいい。ぐぽぐぽって、いやらしい音に耳を塞ぎたくなるのに、もっとして欲しくて、でももう限界が近くて、我慢できない。思考がぐるぐる回る俺を見透かしているみたいに長谷部は益々艶やかな笑みを浮かべると、見せつけるようにゆっくりを腰を上げていき、また落としてを繰り返す。ぬぷ、ぐちゅ、と粘着質な音を立てて、また太い幹のところが飲み込まれていく。暖かくて、きゅうきゅう締め付けられて、全身を痺れるような快感が走る。
「はっ、あ、あっ、はせべ、も、だめ、出る……っ」
「ん、ぁっ、~~~っ!!」
足の指先に力が入る。目の前がちかちかして、俺は無意識に腰を下から叩きつけていた。長谷部の中に納まった性器がびく、びく、と脈打って、先端から精液を吐き出す。
「ぁっ、は……んっ」
ややあって長谷部がそっと腰を浮かせると、ずるりと性器が抜けて、白濁と潤滑油のようなものが腹に落ちてきた。くぱ、と開いた穴はひくひくと収縮を繰り返していて、俺は思わず目を逸らした。えっちすぎる。
「ぅ、えと、ごめん……我慢できな、くて」
恥ずかしさと情けなさで消え入りそうな声が漏れたけれど、長谷部の笑う気配があった。
「いいんです」
手を引っ張られて、体を起こす。目線が揃って、長谷部はまた軽く唇を合わせて微笑んだ。
「俺が、欲しかったので」
満足げに言われてしまっては返す言葉もない。俺もお返しに、ちゅ、と唇を啄んで、そっと長谷部の肩を押した。抵抗せず押し倒されてくれた長谷部に覆いかぶさると、さっきとは逆の体勢になる。
「こ、今度は、俺がするから……いい?」
長谷部は嬉しそうに「はい」と返事をして、両手を広げてくれる。
「どうぞ、主のご随意に……」
俺だけに向けられたその甘い囁きに、また体が熱くなるのを感じた。
***
「――るじ、あるじ」
「う……ん?」
眠気と疲労感に抗いながら目を開けると、もうすっかり身支度を整えている長谷部が俺の顔を覗き込んでいる。
「はせべ……? おはよう……」
「はい、おはようございます」
ちゅ、と額に口付けを落とされて、昨晩はもっとすごいことをしたはずなのになんだか恥ずかしくて笑って誤魔化した。一気に記憶がよみがえってくる。長谷部が上に乗ってくれたり、その後今まで元気なかったのなんだったの? ってくらい張り切った俺が上になったり、一緒に擦り合ったり、体勢を変えたり……最終的に一緒にお風呂に入ったのに、お風呂でも色々盛り上がってしまった気がする……いつ寝たのか覚えてないけれど、きちんと寝巻を着て布団に肩まで入っているのは長谷部のおかげだろう。
「ごめ、んっ」
声が掠れている。ん、んん、と咳払いしている俺に長谷部はコップを差し出してくれた。
「あまり無理なさらない方が……」
「あ、りがと……」
なんか逆じゃないか? と思いながらありがたく水を飲むと、少しマシになった気がする。長谷部が普通に話しているのが不思議だ……あんなに喘いでいたのに……あ、でも俺もすごい声たくさん出した気がする……。恥ずかしい……。けれど恥ずかしくても何でも、今日もいつも通りの一日だ。とりあえず顔を洗って、食事をして、仕事を―――
「! 主」
布団を退けて、立ち上がろうとしたのに、かくんと膝をついてしまった。長谷部が支えてくれたので倒れずに済んんだけど、腰から下にうまく力が入らない。
「え、待って、腰が、立たな、えっ? なんで? なんで???」
助けを求めるように長谷部を見上げると、す、と目を逸らされた。
「すみません……その、俺が、ねだりすぎて……」
耳が、赤い。意識を手放す前の記憶が追加でぼんやり戻ってきた。
『はせべ、はせべ、ね、きもちい? ちゃんと、ッ、おれ、できてる……?』
『んっ! ああッ! イ、イです……っあるじ、もっと、突いて、あるじの、たくさん……っ』
たくさん、とは言うけど、既に何回も何回も注ぎ込んで、穴から溢れた白濁は、俺が腰を打ち付ける度にぐじゅぐじゅと泡立って。
『ッうん、また出るからっ……長谷部のなか、いっぱいに、するからっ』
『あっ! うれし、ひァ、ああっ!』
『は、ふ……ぅう、んっ……ん……』
ぐぷっ、ぐぷっ、と濁った音を打ち消すくらい、肉が肉に叩きつけられる音が響いて。
『ぅあっ、出る……っ! あっ、あ~~~ッ』
『ひッ、ん、んんっ……ぁ、あ、っ!!』
性器で蓋をするように埋めた孔の縁は擦れて赤くなっていた。もうやめなきゃ、と思うのに、引き抜こうとするときゅうと締め付けて俺を離さなかった。
『ぅあ、長谷部、も、出ないから……っ』
『いや、です……もっと、もっと……欲しい……』
『ッ! ぁ、あ、動かないで、ってば……ァ』
『あ、はは、また……びくびく、って…ッ』
根本までずっぽりと咥えこまれているのに、ゆらゆらと腰を揺すられて、また全身にぞくりと痺れが走って、それで……
「……っ、あの、長谷部は、体……平気……?」
「俺は平気ですが……」
昨日、多分俺よりもたくさん動いて乱れて嬌声を溢れさせていた長谷部は、困ったように目を伏せているけれど、まったくもって普段通りの長谷部だった。刀剣男士ってすごい。俺って、あまりにも弱い……。
「主、今日はお休みになっては……」
「そういうわけにも……」
ぐっ、とさっきより力を入れてみるけど、膝が笑ってすぐに布団に腰を落としてしまった。つらい。筋トレとかしようかな。
「……午前中は、休む……」
「そうして下さい。食事をお持ちします」
長谷部が部屋を出ていって、俺は完全に布団の上に座り込んだ。情けなくて、ちょっと泣いた。
午後からはなんとか部屋から出られるくらいに回復したものの、嬉々として俺の世話をする長谷部に支えられ、腰を押さえながら移動する俺には憐みの視線が向けられた。俺と長谷部の仲はほとんどの刀剣達が知っていたので、何人かは「主に無理させるな」と長谷部に釘を刺したし、俺に「嫌なら嫌と言った方がいい」と優しくしてくれた。無理したのは本当。けど、嫌じゃなかったから後悔はない。心配する面々に「大丈夫だよ」「合意だよ」と告げたものの、これ……絶対逆だと思われてるよな……? 誤解を解きたいような、けれど情けなさ過ぎて解かなくてもいいような、複雑な気持ちだった。
おしまい