闇に添う灯火小さな子供の声が聞こえた気がして、シマボシは目を覚ました。
「……?」
しんとした部屋の空気から、まだ夜中である事がうかがえる。
隣の布団には、こちらに背を向けたウォロの姿があるだけで、他に人の気配は無かった。
普段ならシマボシの布団に潜り込んでピッタリと添い寝するウォロだが、明日は仕事で早出だからと今晩はそれぞれの布団に寝ている。
なお二人の間に子はいないので、そもそも子供の声が聞こえる可能性はほぼ無い。
──気のせいか。
シマボシが目を閉じようとした時。
「…ぅ…」
小さな声が、確かに聞こえた。
「…?」
シマボシは息を潜めて、耳を澄ます。
「……寒、い………よ…ぉ…」
発音がはっきりしないが、確かにそう聞き取れた。そして声は隣の布団の中から聞こえる。
1974