夜でもないのに、目の前が真っ暗になったようだった。長い廊下にずらりと等間隔に並ぶ扉は、全て何の部屋か知っているはずなのに迷路に見える。
今あったことは果たして真実なのだろうか。
思考がストップしている。脳がそれ以上考えてはいけないと警報を出している。
ずるりと真っ白な壁に背中を預ける。そうやって、何かが過ぎ去るのを待とうとしたがブーツを履いた足の内側から身体が冷えていく一方だった。そのまま、どのくらいの時が過ぎただろうか。目の前をひらひらと動くものに気づいて、一護はようやく顔をあげた。
「おーい、生きてるかー」
視界に、暑苦しい顔と分厚い手が映って顔を顰める。
一護の騎士団の制服の上からマントを羽織った軽装とは違い、全身が鋼の鎧で覆われている。
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