cookie十六時を過ぎれば、校内はつい三十分前までの喧騒が嘘のように静かだった。校庭からは熱心な体育系の部活のランニングやら模擬試合やらの掛け声が響いている。俺はぼんやりとその様子を窓から眺めていた。特に何をするわけでもないが、人を待つというのは案外暇なものなのだ。待つついでに開いてみた参考書と問題集は、結局あまり進んでいない。
そういえば、石田の家の冷蔵庫に、もうお菓子のストックが少なかった気がする。帰りにコンビニでも誘おうか。
そんなことをつらつらと考えていると、ふと甘い匂いがした。
「あのー……、すみません」
同時に声をかけられて振り向けば、見知らぬ女子生徒が二人、おどおどと教室の前で俺の方を見ていた。
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