天使を拾った。
しんと冷え切った冬の朝。
前日の夜から朝方にかけて降った、まだ誰にも汚されていない真っ白な雪の中、俺の家の前にそれは落ちていた。
「……酔っ払い……か?」
季節外れのというべきか、真っ白な布を一枚巻き付けたような服。そういう服なのか、うつ伏せに倒れたその背中に布地はない。だがその代わりに、真っ白な鳥のような羽根がついていた。
飲み会の帰りに行き倒れたのだろうか。
「あの、大丈夫ですか?」
この寒さでこの格好だ。
放置するのも忍びなく、露出している細い肩をゆする。その肌は不安になるほど冷たかった。
だがそれよりも、とんでもないことに気が付いてしまった。
「……ついてんな?」
羽根は、肩から背負っているものだと思っていた。しかし実際にはそこにあるはずのショルダーストラップはなく、よくよく見れば肩甲骨のあたりからごく自然に羽根が生えているようにみえる。
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