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    芦緖(あしお)

    @futa2ai

    20↑shipper。 ふたあい(二藍)はイーベン小説中心に活動中。M:I(イーベン)、 TGM(ハンボブ、ルスマヴェ)の話題多め。字書きですが、絵を描くのも好き。
    通販(基本イベント開催前後のみ公開)→https://2taai.booth.pm/

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    芦緖(あしお)

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    さわやかMDRマルシェ2_2305展示作品。
    あぶ空展示の続き。
    「LOVELESS」という漫画のパロです。
    生まれつき耳と尻尾が生えていて、性交渉を行うと耳と尻尾がなくなるという設定を使わせていただいてます。
    今回はハングマン視点。本にするつもりでちょいちょい書いてます。
    追記:時系列問題発生したので一部修正しました。

    #ハンボブ
    humbob
    #TGM

    A Midsummer Night’s Dream 2 ハングマンは優秀だ。トップガンでの成績も1位であったし、そこに至るまでの学生生活でも学業・スポーツともに常にトップ。やんちゃな時期ももちろんあったが、ふざけているようでも成績を落とすことはなかった。
     唯一、優秀さに加え恵まれた容姿のおかげでミミを落とすのが早かったせいか、アナポリスに入学する前の年まで遊び回らないようにサマー・キャンプに強制参加させられていた。しかし自分から相手を探すほど性的なことにハマっていたわけではないので、親の思惑とは反対にキャンプを満喫していた。夜中に出歩いて洞窟の中を探索してみたり、滝壺に飛び込んで遊んでみたり、星空が反射して見える湖を見つけたり……。最近は思い出すことも滅多にないがハングマンにとって良い記憶だった。



    「ジェ……ハングマン」
     久しぶりにトップガンに戻ってきた翌日、ハードデックで会った変わり者のWSOに声をかけられた。同じ基地の所属らしいが、ハングマンはボブのことを知らなかった。部隊が違えば大して珍しいことではない。
    「なんか用か? ステルスパイロット」
    「っ……いや、なんでもない。呼び止めてごめんね」
     鈍臭そうでも招集されている以上腕はあるのだろうとは思いつつ少しからかうように返事をすると、この年では珍しくまだ残っているミミがシュンとへたれた。表情も暗くなって、逃げるように立ち去っていく。
    「……何なんだよ」
     傷付くようなことは言っていないはずだが、ひどく自分が悪いことをしたような気持ちになったハングマンは、もやもやしたものを抱えながら集合場所に向かった。



     最初のミーティングでは昨日店から放り出した客が教官だっというハプニングがあったが、早速空を飛べるとあってハングマンは気分が上がっていた。フェニックス・ボブのペアと組むことになったのが少し気がかりではあったが、ボブの様子はいたって普通だった。むしろ皮肉を返してくるぐらいだったので、謎の罪悪感を感じたことが馬鹿みたいだった。
     テスト自体はマーヴェリックに完敗という悔しい結果であり、ハングマンは次は絶対キルを取ると意気込んだ。残念ながら次の機会もそれは達成されなかったが。
    「あ」
    「あ……」
     訓練のあとシャワー室でハングマンはボブとばったり会った。ボブはシャワーを浴びてきたところなのかミミや尻尾から水が滴っている。メガネもなく元より童顔なのが普段より幼く見えた。
    「僕はもう出るとこだから、その、おつかれ」
     ボブはぱっと眼鏡をかけると足早に出ていこうとする。バタバタと自分を横切っていくボブの腕をハングマンはとっさに掴んでいた。
    「なっ、何」
    「いや、これはその、なんだ……」
     ボブの毛が逆立って警戒しているのがわかる。これはそうなっても仕方がない。しかしハングマンにもなぜボブの腕をつかんだのかわからなかった。立ち去る姿に誰かが重なって、止めなくてはと思ったのだ。
    「……とりあえず、腕離して」
    「わ、悪い」
     ボブに言われて掴んだままだった腕を離すと少し赤くなっていた。さすがに怒らせたかとハングマンがボブを見ると、腕を抱えながら先日初めてボブから話しかけてきた時のよう暗い表情をしていて、またちくりと胸に針が刺さったような気持ちになる。
     ボブは結局その後は何も言わず無言で立ち去っていった。ハングマンは自分自身の不可解な行動の原因がわからず、しゃがみ込むと大きくため息をついた。

     
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    芦緖(あしお)

    DONE前回書いたハングマンとボブの話(マヴェ達帰還直後の話)の続き。
    今回はハン側の視点で。ハンボブの民ですが、まだまだそこに至るまでの道が長い。
    ※ポイピクの話をもとに書いた「それは雫のように」はオンイベなどで頒布してます!
    それは雫のように ほっとした瞬間、ハングマンの視界がぐらついた。周囲の音が聞こえなくなって、代わりに自分の鼓動だけが耳に大きく響いて、今いるこの場が現実なのか分からなくなった。
     本当に自分は二人を救えたのか? もう手遅れで、何もできず自分も撃墜されて死ぬ間際に都合のいい夢を見ているんじゃないか? そんな疑問がハングマンの思考を支配する。
     そのうち歓喜に湧くデッキにいるのが耐えられなくなり、悟られないように人混みを抜けた。一人になると少し冷静になって、現実と悪夢の区別がつくようになってくる。それでも身体の震えが止まらなかった。
     ハングマンにとってこんなことは初めてだった。危険な任務はこれまでもあったしパイロットとして命の危機に瀕したこともあった。きっと今までのハングマンであればこんな状態にはならなかっただろう。しかしマーヴェリックに教えられる中で知ってしまった。パイロットとしての生き様だけでなく、チームが、仲間がどういうものなのか。そしてそれを失う恐怖も。
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