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    totoro_iru

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    #銀新
    silverNew

    ファーストキスの定義 初めて銀時とキスをした後、新八はポツリと呟いた。

    「音しないんだ」
    「音?」

    銀時に尋ねられ、新八はしまったと顔を歪めた。どうやら無意識に口に出ていたらしい。無かった事にしたかったが、そうは問屋が卸さない。新八の顔を見て、案の定銀時は新八の呟きに興味を持ってしまった。

    「なぁ、音ってなに?何の音の事言ってんの?」

    ニマニマと笑いながら、銀時は新八に詰め寄った。新八は「あー、えーと」と曖昧な返事で誤魔化した。言いたくない。言ったら絶対に馬鹿にされる。どうにか切り抜けられないだろうか。新八は必死に思考を巡らせ、「そ、そろそろ買い物に…」と言いながら玄関に向かおうとした。
    その瞬間、ガシッと両肩を掴まれた。

    「お前この状況で逃げられると思ってんの?甘ぇなぁ、甘過ぎるよ新八くぅん」

    軽口を叩く銀時の瞳は、目の前の獲物をどう調理してやろうかと愉快そうに瞬いていた。駄目だ、逃げられない。どうしてこのドSの前で口を滑らせてしまったんだろう。後悔してもしきれない。新八はせめてもの抵抗として、目線を下に向けた。

    「キ、キスした時って音しないんだなって思って…」

    さぁ、言った。言ったんだから早く開放してくれ。そう思っている新八の頬にチュッと可愛らしいリップ音が響いた。

    「えっ?」

    新八が驚く間もなく、反対の頬や鼻先、目尻、おでこと口付けが降りてくる。慌てて相手の口を手で抑えた。

    「ちょ、ちょっと 急に何するんですか!?」
    「んー?」

    銀時は口を抑える新八の手を剥がすと、その手のひらにもチュウと音を立てて吸い付いた。湿った唇の感触に、新八はゾクリと背中が粟立つのを感じた。

    「音がした方がいいなんて、新ちゃんのスケベ」
    「そ、そういう事じゃなくて!前にパンデモニウムさんとの時は音がしたから、キスってそういう物なのかなって思ってただけです」
    「お前アレを基準にしてたの?」

    銀時は嫌そうに眉間に皺を寄せた。新八が小声で「だって初めてだったから…」と溢した事で、みるみるうちに銀時の機嫌は下がっていった。

    「パンデモニウムなんざ犬猫に噛まれたのと変わらねぇだろ」
    「でもCV能○さんですよ」
    「それは最高だけども!とにかく、俺ぁアレがお前のファーストキスとは認めねぇ」
    「いや何でアンタが決めつけてんですか」

    勝手に憤慨する銀時に、新八は呆れた。

    「それじゃあ銀さんのファーストキスはどうだったんですか?」
    「んなもん覚えてねぇよ」

    いつ、どこで、誰としたのかも覚えていない。そもそも恋や愛に現を抜かす時代ではなかったのだ。切っては切られる闘いの日々。甘酸っぱい思い出など皆無に等しかった。

    「覚えてないんですか?」
    「おー」

    銀時の返答に、新八はどこか楽しそうに「そっか」と言った。

    「なに笑ってんだよ?」
    「いや、なんか…僕ら録なファーストキス経験してないなって」

    たしかに。片や闘いの暇に捨て去り、片やハプニングの最中に散った。なんて無惨なファーストキスだろう。銀時もクククと笑った。

    「そんじゃ、今日のがソレでいいんじゃね?」
    「そう、ですね」

    銀時に言われ、新八は満足そうに頷いた。初めて好きな人としたキスなら今日この日が新八にとってのファーストキスになる。無意識に新八の頬がふにゃりと緩んだ。その様子をじっと見ていた銀時は、おもむろに新八の頬に手を添えた。

    「ぎ…」

    銀時は名前を呼ぼうとする新八の口を優しく塞いだ。銀時の厚い舌が新八の唇を割って滑り込むように侵入してきた。グチュグチュ、ピチャピチャ。粘着質な音が新八の脳内を駆け巡る。ヌメヌメした感触が口内を這い回り、やがて舌を絡めとられる。舌と舌が重なると臍の下がジンと痺れた。ヌルリと舌を嘗められる感覚が堪らなく気持ちいい。新八は咄嗟に銀時の着流しの裾を掴んだ。
    ようやく長く深い口付けが終わる頃、膝の力が抜けた新八の身体を銀時の両腕が支えた。

    「よし。んじゃ、買い物行くか」
    「行けるかぁぁぁ!」

    散々新八の口内を弄んでご満悦の銀時に向かって、新八は盛大にツッコんだ。
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