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    sumiwatari

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    つよつよ澄♀がみたいっていうらくがき

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    recommended works

    takami180

    PROGRESSたぶん長編になる曦澄その2
    浮かれっぱなし兄上
     どうしてこうなった。
     江澄は頭を抱えたい気分だった。今、彼は舟に乗り、蓮花塢への帰途にあった。そして、向かいには藍家宗主が座っている。
     川の流れは穏やかで、川面は朝陽にきらめいている。豊かな黒髪を風になびかせながら、藍曦臣はまぶしそうに目を細めた。
    「江宗主、あちらにいるのは鷺でしょうか」
     江澄は答えずに疑いの目を向けた。
     これが本当に食事もろくに摂らず、叔父と弟を嘆かせていたとかいう人物と同一なのだろうか。
     昨日、あの後、雲深不知処は大騒ぎとなった。とはいえ、家訓によりざわめきはすぐにおさまったのだが、藍忘機と藍啓仁を筆頭に誰もが戸惑いを隠せずにいた。
    「叔父上、お許しください。私は蓮花塢に赴き、江宗主に助力したく存じます」
     いや、まだ、俺はいいとは言っていないのだが。
     藍啓仁を前にきっぱりと言い切る藍曦臣に、江澄ははっきりと困惑の表情を浮かべた。これは口を挟んでいいものか。
     そのとき、背後から肩をたたく者があった。
    「江澄、何があったんだ」
    「俺が知りたい」
     江澄は即座に答えた。魏無羨は肩をすくめて、顎をしゃくる。
    「沢蕪君が姿を見せたのは半年ぶり……、いやもっ 2059

    takami180

    PROGRESSたぶん長編になる曦澄その5
    兄上はおやすみです
     昼時を迎えた酒楼は賑わいを見せていた。
     江澄は端の席から集まる人々をながめた。
     やはり商人、荷運び人の数が多い。
     川が使えないといっても、この町が交通の要衝であることに変わりはない。ここから馬に乗り換えて蓮花塢へ向かう者も多い。
     まだ、活気は衰えていないが、川の不通が長引けばどうなるかはわからない。すでに蓮花塢では物の値段が上がっている。これ以上、長引かせるわけにはいかない。
     そこに黒い影が駆け込んできた。
    「お、いたいた、江澄!」
    「魏無羨!」
     彼は江澄の向かいに座ると、勝手に酒壺をひとつ頼んだ。
    「何をしにきた。あいつはどうした」
    「んー、ほら、届ける約束だった写しを持ってきたんだよ。藍湛は宿で沢蕪君と話してる」
    「何故、お前たちが来るんだ」
    「写しだって、蔵書閣の貴重な資料だから、藍湛が届けるんだってさ。俺はそれにくっついてきただけ」
     魏無羨はやってきた酒壺を直接傾け、江澄の前の皿から胡瓜をさらっていく。
     江澄は茶碗をあおって、卓子にたたきつけるように置いた。
    「帰れ」
    「藍湛の用事が終わったら帰るさ」
     魏無羨がまたひとつ胡瓜をつまむ。
     江澄は苛立ちを隠すこ 2255

    takami180

    PROGRESS恋綴3-1(旧続々長編曦澄)
    あのあとの話
    同じ轍を踏む兄上
     西瓜は口に入れた瞬間に甘い果汁があふれ出て、とてもおいしかった。
     食べ終わるのがもったいないほどだった。
     さて、食べ終えたからには顔を上げなければいけない。
     江澄はひとつ息を吐いて背筋を伸ばす。
     向かいには、ものすごく機嫌の良さそうな笑顔があった。
    「おいしかったですね」
    「そうだな」
    「今日は何時までいられるのですか」
    「いや、急なことだったから、もう帰ろうかと」
     途端に藍曦臣はうなだれた。彼のそんな顔は初めて見た。
    「それはしかたありませんね。どちらで宿を?」
    「ぎりぎりまで飛ぼうと思っていたから、決めていないが」
     江澄は腕を組んで、天井を見上げた。今からであれば、日が沈む頃には姑蘇を出られるだろう。
     明日には蓮花塢に戻らなければいけないが、それは夕刻でも問題ない。最悪、明後日の朝一番に戻れれば……
     そこまで考えて、江澄はうっすらと頬を染めた。そんなことを言えば無茶をするなと叱られるに決まっている。だが、考えてしまうくらいにはここを離れがたく思っている。
    「あー、あのな、曦臣」
    「はい」
    「今すぐに発たなければいけないわけではなくて」
    「そうなんですか」
    「もう少 3119