拝啓ウルフ様 交通事故をきっかけに、ケイゴの生活はがらりと変わった。これまでの基盤だったスケートを辞め、何をするでなく、日々を浪費していた。
スケートに未練があるのか、わからない。成長期を越え体が完成すれば、今より高く跳べるだろう。
ただ、最近のケイゴは、事故が起こる以前から、少しだけ、おかしい。
きっかけは何かわからないが、時折意識がなくなるのだ。一瞬なら、ぼんやりしていた、と片付けられるのに、それはその時によって長さが違う。
先日は、赤い郵便ポストの前で気が付いた。もちろん、ポストに用はない。
自分が生きる価値を、見出せないでいる。
今日だって、腫れ物扱いされる学校の雰囲気が嫌で、かといって寄り道する気にもなれず、真っ直ぐ帰宅した。
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