Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    hjm_shiro

    @hjm_shiro

    ジャンル/CP雑多

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💓 👏 💕 🙏
    POIPOI 62

    hjm_shiro

    ☆quiet follow

    凪玲/今日の朝を半分こ

    同棲して初めての朝を過ごすngroの話。
    3/17の春コミ無配でした。当スペースまで足を運んでくださった皆さま、ありがとうございました!

    #凪玲
    #なぎれお
    lookingHoarse
    #ngro

     いつもとは違う朝だった。見慣れない天井、ふかふか過ぎるベッド、大きな枕、広すぎる寝室。
     そんな、眠り慣れていないキングサイズの大きなベッドに、俺だけがぽつんと取り残されている。昨日、玲王と一緒に寝たはずで、なんならたくさん楽しんでから眠ったはずなのに。
     同棲して初めて迎える朝に玲王が隣にいないのは酷く寂しかった。
    「レオ〜〜」
     一体、どこに行っちゃったんだろう。まだ、もう少し眠っていたいけれど、俺は仕方なくベッドから降りて、玲王を探しに行くことにした。ベッドから出たときにパンツ以外履いてなかったから、ちゃんと床に落ちていたスウェットも着てリビングの方へ向かう。
     案の定というべきか、玲王はキッチンで忙しなく手を動かしていた。
    「れーお」
    「うおっ、凪⁉」
     後ろから勢いよく抱き着いたら、玲王がビクッと肩を跳ね上げた。起きたばかりなのか、少しだけ瞼が重たそうだ。珍しく前髪も下がっている。いつもはきっちりと左右に分けてセットされているのに、今朝は前髪が下りて、あのつるりとした可愛い額を隠していた。ちょっぴり幼く見える玲王の前髪をかき分けて、露わになった額にキスをする。
    「おはよ、レオ」
    「おう、おはよ」
     ニカッと朝から眩しい笑顔を向けられて、うっと心臓に衝撃が走った。これがバトル漫画か何かだったら、俺は必殺『玲王の笑顔』で死んでいた。
    「ほら、もうすぐ朝ご飯できるから、そっちで待ってろ」
    「ヤダよ。っていうか、なんで勝手に起きちゃうのさ。俺、もっとレオとベッドの中でイチャイチャしたかったのに……」
     同棲初日の朝なのだ。もっと甘い朝を期待していたし、朝から玲王とイチャつく妄想までしていたのに。
    「やらしー凪くんから逃げようかと思って」
    「ひどい……」
     真横に俺の頬を抓って、冗談だと玲王が笑う。だけど、やらしいことを考えていたのは事実なので、たとえ冗談だとしても弁明できない。
    「それにさ、お前と同棲したらやりたかったことがあったんだよ」
     玲王がボウルを手に、冷蔵庫へ向かう。
     俺も玲王の腰にくっついているので、必然的にそのまま冷蔵庫まで移動した。歩きづらいと文句を言う玲王の言葉を無視して、ぎゅうっと腕に力を込める。
    「お前に、朝ご飯を作ってやりたくてさ」
     玲王が卵を取り出して、殻をボウルの縁にコンコンとぶつける。柔らかなヒビが入って、玲王は器用に卵をボウルの中に割り入れた。とぷんとボウルの底で波打って、ふたつ分の黄身が揺れる。
    「あ、」
    「双子だ! すげー!」
     割り入れた卵の黄身がふたつになっている。玲王は初めて見た! と声を弾ませて言った。
    「俺も初めて見た……」
    「ラッキーだな! なんか得した気分」
    「っていうか、このたまご、俺たちみたい」
     だって、ずっとくっついているから。薄い殻の中でくっつき合って、こうして外に出て来てもまだ
    くっつき合っている様はまるで俺たちみたいだ。
    「……お前、ときどきロマンチックな発想するよな」
    「そう?」
    「たまに恥ずかしー奴って思うけど……まぁ、嫌じゃねぇ」
     玲王がキッチン棚から菜箸を引っ張り出す。その箸先を黄身に突き立てようとして、やめた。もう一つ割り入れる予定だった卵を冷蔵庫に戻し、代わりにフライパンを取り出す。
    「混ぜないの?」
    「……なんか、勿体ないからやめた」
     そう言って、玲王はフライパンに薄く油を引くと、ボウルに割り入れた卵をそっとフライパンの上に落とした。
    「なぁ、この卵、半分こしようぜ」
    「うん」
     玲王の提案に、俺は力いっぱい頷く。
     そうして卵を焼いて、パンを焼いて。玲王は終始、くっつくなと言っていたけれど、結局テーブルに着くまで俺たちはくっついたままだった。

     このくっつき合っている卵みたいに、俺たちもこの先、ずっと幸せも朝も半分こにできたらいいなぁと、玲王と熱々とろとろの目玉焼きを半分こにしながらそう思った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💜☺🍳💕💒😭💖🙏❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    hjm_shiro

    DOODLE凪玲/【最新】nagi_0506.docx
    ⚠監獄内の設定を少しいじってる

    凪に好きなものを与えて、うまくコントロールしているつもりの玲王と、いやいやそうではないでしょ、って思ってる周りの人たちが思わずツッコんじゃう話。
    プロフィール情報は常に最新の状態にしてください。
    「たまにレオってすげぇなって思うわ」

     千切がぽつりと呟く。千切は本場よろしく油でベチャベチャになった魚――ではなく、さっくりと揚がったフィッシュフライをフォークに突き刺すと美味そうに頬張った。玲王としては特に褒められることをしたつもりはないのだが、ひとまず適当に話を合わせて、そう? と軽く相槌を打つ。

     新英雄大戦がはじまってから、選手たちは各国の棟に振り分けられている。それぞれ微妙に文化が異なり、その違いが色濃く出るのが食堂のメニューだった。基本的には毎日三食、徹底管理された食事が出てくるのだが、それとは別に各国の代表料理も選べるようになっていて、それを目当てに選手たちが棟の間を移動しに来ることもあるほどである。今日はフィッシュ&チップスと……あとはなんだったかな、と思い出しつつ、玲王はナイフでステーキを細かく切った。そうして隣にいる凪の口にフォークを突っ込む。もう一切れ、凪にやろうとフォークにステーキを突き刺したときだった。千切の隣に見知った顔ぶれが座った。
    2587

    related works