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    hjm_shiro

    @hjm_shiro

    ジャンル・CP雑多

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    hjm_shiro

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    凪玲/真昼の部屋で船は漕げない
    ⚠同棲してるけど付き合ってない

    お昼寝しようとした玲王に、膝枕してあげる凪の話。だけど結局、お昼寝はできませんでした。

    #ngro
    #なぎれお
    lookingHoarse
    #凪玲

     玄関の方が慌ただしくなった。のんびりとした「ただいまー」の声と、扉が閉まる音。凪が練習から帰ってきたのだ。
     廊下の上を移動する足音を聞きながら目を瞑る。起きていたいけれど、眠気の方が勝った。

    「レオ、ただいまー」
    「んー……」
    「ありゃ、おねむさん?」

     凪は声をひそめると、こちらに近付いてきた。それから衣擦れの音と離れていく足音、シンクから水が流れる音がして、ちゃんと俺の言いつけを守っているんだなぁ、と関心する。外から帰ってきたらコートを脱ぐこと、手洗いを済ませること。と、凪には同棲してから再三言い聞かせていた。

    「ここで眠るの?」

     すべてを終えて戻ってきた凪がソファーに沈み込む。軽く肩が触れて、そっと目を開いた。

    「ちょっとだけ……。まだ昼間だし、ベッドで寝たら寝過ぎちまう」
    「そう」

     だったら俺の膝で寝なよ、と凪に肩を抱かれた。こんな提案は初めてだ。そもそも、いつもの俺ならば、ソファーでは眠らない。
     リビングは便宜上、凪との共用部になっている。本来はこのリビングも、寝室も、クローゼットも、書斎兼客間用として使うはずだった部屋も、すべて自分のものになるはずだった。
     それなのに半年前、凪がやってきた。凪は考えなしなのか、はたまた度胸がありすぎるというべきなのか。俺とほぼ同時期に海外リーグから国内に戻ってきたというのに、部屋を借りていなかった。
    「部屋が見つかるまでの間、レオのところにおいて」と言った凪は、やけに自信に満ち溢れていた。俺が断るかもしれない可能性なんて、これっぽっちも考えていないみたいな顔だった。
     だから、俺も凪のことを受け入れた。
     それに凪との生活は俺にとって願ってもみないことだった。凪のことは好きだったし、凪の方から来てくれるのであれば、こちらとしても罪悪感を抱かなくて済む。男同士ってだけでも抵抗があるのに、友人から恋心を向けられているなんて、それこそ地獄だ。そういう意味でも、凪からこの部屋に転がり込んで来てくれたことはラッキーだった。
     それからは、客間用の部屋が凪の寝室となり、それ以外は共用部になった。共用部はなるべく私物化しすぎないようにというルールを決めたから、ソファーで眠ることは滅多にない。うたた寝するにしたって、凪がいないときだけと決めていたから、まさかこうして膝枕されるとは思ってもみなかった。

    「どう? 寝心地は?」
    「まぁ……悪くない」

     枕にしては硬いけど悪くはない。というより、睡魔の方が勝っているせいで、気にならない。
     そのまま目を閉じたら、さらさらと髪を撫でられた。
     気持ちいい。凪の頭を撫でることはあっても、凪に撫でられるのは初めてだ。
     ふっと意識が遠のく。撫でられている感触も、小さな生活音すらも消えて、意識が落ちかけた瞬間、何かで口を塞がれた、気がした。

    「……」
    「……」
    「……今のなに」

     必死に声を絞り出す。眠いけれど、いま聞かなければ一生問いただせない気がした。

    「何もしてないよ」
    「……あっそ。いま、好きな奴からキスされた気がしたけど」
    「え、」
    「残念。夢だったかー」
    「ごめん、今のもう一回言って!」

     珍しく凪が切羽詰まった声を上げる。起きて、起きて、と俺の肩を揺らし始めた。

    「バカ、目が覚める」
    「ねぇ、好きな奴って俺のこと? ねぇ?」
    「さぁ……? どうだろうな」
    「はぐらかすのなし。ちゃんと教えて」

     今度こそ完全に目が覚めて、じっと凪に顔を覗き込まれる。
     逃げ場はなかった。いや、むしろ踏み込む気でいたからちょうどいいのかもしれない。そもそも、キスをしてきたのは凪からなんだし。

    「好きなじゃなかったら、半年も家においてねーわ、バーカ」
    「いてっ」

     ぎゅむっと鼻先を抓む。
     俺はゆっくりと体を起こすと、下からすくうように唇を重ねた。ハッと息を詰めた凪がちょっとだけ可愛くて、ぺろりと下唇を舐める。次の瞬間、物凄い勢いで唇を押し付けられた。

    「ちょ、凪っ!」
    「今のはずるいでしょ」

     完全に押してはならないスイッチを押してしまったようで、凪の目つきが変わる。形ばかりの抵抗も虚しく、凪に抑え込まれてしまう。
     ほんのちょっとのお昼寝のつもりが、そのまま凪とソファーに沈み込んでしまい、気付いたら疲れ果ててこんこんと眠っていた。
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