スイートスリープ 自室で資料を読み込んでいたふみやは背後に落ちた水音に振り向き、眉を顰めた。金色の粘液のような物体が水溜まりのようにフローリングに流れ、浮き上がる。
「うわ、最悪」
ぶわりと金色の液体が溢れ,人の形になった。
ふみやと同じ顔をしたソレは無垢な顔のまま、羽を広げ白と黒の混じる存在に成る。
「伊藤ふみや、貴様まだもだもだしておるのか。いつ天堂天彦に想いを伝えるのだ? 我は飽いたぞ」
「あー……ウザい」
ふふん、といったように正邪のカリスマは浮いた足を踏み出した。
「ふぅん……恥ずかしいから何も言えないとは、まるで子どもではないか」
ふわりふわりとふみやに近寄ると摘み上げた何かを差し出す。小さな金色のハンドベルがふみやの目の前にボトリと落ちた。
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