一番、最初のキス 前回は七人で来た道を、今日はふたりでゆっくりと自転車を漕いで進む。
空は灰と白が混じったかのような色合いをしていた。まさに寒空といった様子に天彦は空を見てから、チラリと隣にいる十一個、年下のふみやを横目で覗く。
「ええっと、ふみやさん。海に行くんですよね?」
「うん。そう」
白いダウンを羽織っていても外気にあたる耳と鼻の先は赤くなっていて実際の年齢よりもその様子は幼く見える。
「フフッ」
「何笑ってんの?」
セクシーな坊やだ、と天彦は考えながら自転車のペダルをぐっと押してスピードを上げた。潮の匂いが微かに混じる空気を吸い込む。
もう坂道はすぐそこまで来ていた。
「あの後、調べたんだけど坂道登ってから横に行くと砂浜に出れるんだって」
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